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【重要】同一労働同一賃金で中小企業の人材確保!制度のポイントを徹底解説

「同一労働同一賃金」の制度が中小企業にも取り入れられて、早くも1年が過ぎました。

人材派遣業界に従事されている方でも、次々と新しく施行される法令に戸惑う方も多いのではないでしょうか?

実際に「同一労働同一賃金」がスタートしてから、非正規労働者から「格差の是正がされていない」や「正社員が損をしている」といった声が聞かれることもあります。

そこで今回は「同一労働同一賃金」について、この制度のポイントや問題点、実施しなかった時の罰則について徹底解説します。

人材派遣業に従事している方は、ぜひ参考にしてください。

同一労働同一賃金とは

「同一労働同一賃金」とは「同じ仕事に従事する従業員に対し、正社員や非正規社員を問わず同一の賃金を支給しなければならない」という概念です。

これまでは、基本的に「正社員よりも非正規社員の待遇が劣る」のが一般的でした。

そこでこの制度により、正社員と非正規社員の間にあった「不合理な待遇差」を是正し、労働者が多様な働き方を選べる社会の実現を目指しています。

「同一労働同一賃金」では、従業員が、同じ労働に従事する他の雇用形態の労働者との間に待遇差を感じた時に、企業に対して待遇が違う理由の説明を求める権利が与えられます。

そして企業側には、その理由を説明する義務が生じます。

ただし、あくまで「同一労働同一賃金」は「雇用形態による格差を解消するための基本的な考え方」を示すための指針でしかないため、この指針に違反する企業への具体的な罰則は設けられていません。

実際にどのような待遇の違いが不合理となるのか、という基本的な考え方や具体例に関しては、厚生労働省が「同一労働同一賃金のガイドライン※」を公表しています。

※詳しいガイドラインの内容については、厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」を参照してください。

尚、この「同一労働同一賃金」の概念は、大企業で2020年4月1日、中小企業の施行は2021年4月1日より適用されています。また、大企業と中小企業における「同一労働同一賃金」の概念に違いはありません。

中小企業の定義

中小企業とは「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数※」のいずれかの基準で判断されます。※事業場ではなく企業単位の労働者数

中小企業の基準は以下の通りです。

  • 製造業その他の場合

資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社

又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

  • 卸売業の場合

資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社

又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

  • 小売業の場合

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社

又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人

  • サービス業の場合

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社

又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

上記の基準を超える企業は、大企業に分類されます。

同一労働同一賃金の対象者

「同一労働同一賃金」の対象となる労働者は「非正規社員(パートタイマーや派遣労働者など)」を指します。それは、これまで非正規社員への待遇が正社員に比べて劣っていたからです。

しかし「同一労働同一賃金」の推進により、非正規社員の待遇や働き方が、大きく変わる可能性があります。

非正規社員は「短時間(パートタイマー)労働者・有期雇用労働者」と「派遣労働者」の2つに大別され、現在では、それぞれの雇用を守るための法律が制定されました。

人材派遣会社は非正規労働者の人材供給役を担うため、派遣スタッフと派遣先企業のパイプ役として「同一労働同一賃金」が守られているかを監視しなければならない立場です。

中小企業における同一労働同一賃金の特徴

それではここで「同一労働同一賃金」を実現することで「雇用者」と「被雇用者」にどのようなメリットやデメリットがあるのかを解説します。

雇用者のメリット

非正規社員のモチベーションアップが期待できる

「同一労働同一賃金」を導入することで、賃金だけでなく労働環境の待遇が改善されることから、非正規社員の労働意欲が高まり、労働へのモチベーションアップが期待できます。

「同一労働同一賃金」によって労働意欲が高まれば、生産性の向上に期待できるでしょう。

人材の不足を解消できる可能性がある

正社員と非正規社員との間にあった待遇格差が是正されることで、正社員として雇用されることへの執着が薄れる可能性があります。これは、一見すると労働者の減少に繋がる危険性を感じますが、実は真逆の結果を導き出すと言われています。

それは、正社員と非正規社員の待遇格差が是正されることにより、自由な働き方を選択できるようになるからです。例えば、結婚や子育てで一度離職したスタッフが、非正規社員として再就職がしやすくなるでしょう。このように、中小企業の貴重な労働力の確保の観点からみても、職場復帰の希望者や求職者の増加が見込まれるのです。

非正規社員のスキルアップによる生産性の向上が期待できる

「同一労働同一賃金」によって改善される待遇は、賃金や福利厚生だけではありません。

この待遇には、職業の教育や訓練も含まれています。そこで、非正規社員が正社員と同等の教育訓練を受けることで、非正規社員の知識やスキルの向上が期待できるでしょう。また非正規社員が同業他社で得たスキルを共有できる可能性もあるのです。

このように、非正規社員のスキルアップによる生産性の向上にも期待ができます。

雇用者のデメリット

人件費などのコストや賠償のリスクが増える可能性がある

正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を是正することは、人件費などのコストを押し上げる可能性があります。それに加えて、もしも合理的に説明できない待遇格差があった場合には、非正規社員が企業側に賠償責任を問う裁判を起こされるリスクがあります。

人事や労務に抜本的な改革が必要になる

これまでにあった正社員と非正規社員の待遇差をなくすには、人事や労務の抜本的な見直しが必要になります。とくにこれまでに多くの非正規社員を雇用していた企業では、人事から労務、経理に至るまでの大幅な変更を余儀なくされるでしょう。そのためには、外部の専門家を入れるなどして確実な改革をスピーディーに完結しなければなりません。特に中小企業においては、そのコストが小さくはないかもしれません。

労働者のメリット

賃金のアップとモチベーション向上に期待できる

労働者にとっては「同一労働同一賃金」が適用されることにより、正規社員と同様の待遇を受けられるために賃金がアップし、仕事へのモチベーションが向上し、心身のストレスが解消される可能性があります。

スキルアップが会社の費用でできる可能性がある

これまで、非正規社員がスキルアップの勉強をするためには、原則自費で行うのが当たり前でした。しかし「同一労働同一賃金」の概念により、その費用を雇用先が負担してくれる可能性があります。しかも、その勉強時間にも時間外手当が支払われることがあります。

このようなスキルアップは、会社にも貢献できますし、今後の自身のキャリアアップにも繋がります。

自由で多様性のある働き方を実現できる可能性がある

非正規社員でも正社員と同様の待遇を受けることができれば、子育てなどで離職した方が非正規社員として復職したり、新たな現場で活躍できる可能性が高くなります。

ご自分に合わせたライフスタイルで、ライフワークバランスのとれた仕事の仕方を考える。これこそが働き方改革における「同一労働同一賃金」の目的のひとつといえるでしょう。

待遇についての説明を受けられる

もしも、自分が社内で受けている待遇に不満や疑問があっても、これまでは企業にその理由を問うことができませんでした。しかし、この制度によって堂々と質問ができるようになります。これは、労働者にとって大きなメリットと言えるでしょう。

「同一労働同一賃金」では、雇用者と被雇用者がそれぞれに納得して仕事に取り組むことが重要です。お互いに真摯な対応を心がけましょう。

労働者のデメリット

給与や福利厚生などの待遇が悪化する可能性がある

格差の是正によって、非正規社員の待遇が必ずしも改善するとは限りません。逆に、企業の資金状況によっては、新しいシステム構築や従業員へのコスト増による経営コストの増加で、正社員を含めた給与のダウンや賞与カットなど、全従業員への待遇を悪化させる可能性があります。

派遣切りや非正規社員の雇用が減る可能性がある

非正規雇用者を受け入れる企業が、人件費などの増加により、派遣社員などの非正規社員の受け入れを止めたり、減らす可能性があります。

大企業と中小企業での給与格差が生じる可能性

この「同一労働同一賃金」のメリットは「同一企業内」での「同一労働同一賃金」を意味するため、「企業間格差の是正」にはなりません。大企業と中小企業で待遇に大きな差が生じても、その改善を望むことは不可能です。ただ、この問題はこれまでにもあり、これから新たに生じる問題とは言えません。

罰則

「同一労働同一賃金」は、あくまでも雇用形態による格差を解消するための概念です。

そのため、違反する、または違反した企業に対する罰則は設けられていません。

ただし、違反した場合のリスクや社会的な影響が大きいことを自覚しておく必要があるでしょう。

同一労働同一賃金に違反するリスク

従業員の定着率や採用に悪影響が出る可能性がある

「同一労働同一賃金」を適正に実施しない場合、派遣社員などの非正規労働者が公正な待遇を期待できる企業に転職してしまう可能性があります。また、非正規雇用労働者に合わせて正規雇用労働者の待遇を落とすようなことがあれば、優秀な人材が流出するでしょう。また、そのような噂が広まれば、新たな人材の採用活動をしても人材の確保が難しくなります。

民事訴訟に発展する可能性がある

「同一労働同一賃金」は、法律によって定められた制度です。これに違反した場合、刑事罰とはなりませんが、民事責任を問われるリスクは存在します。

実際にこの制度が施行されてから、従業員が同一労働同一賃金の違反を訴えて損害賠償を請求し、企業側が敗訴するケースが増加しています。

関連する労働法に違反する場合は罰則がある

雇用形態以外の理由で給与や待遇に差を付けた場合でも、他の労働法で罰則が設けられています。この場合には、刑事罰を受けるリスクがあるため注意が必要です。

雇用形態以外での待遇差とは、性別や国籍、信条、社会的身分などで給与や待遇に差を付けた場合をいい、労働基準法に違反することになります。

まとめ

いかがでしたか?大企業で先にスタートし、1年遅れで中小企業にも導入された「同一労働同一賃金」ですが、この制度についての深い理解がないままに派遣スタッフを受け入れてしまう中小企業経営者も少なくありません。

そこで、人材派遣企業が制度を理解し、派遣先の制度の遵守や派遣労働者の保護に努めることが重要です。人材派遣企業が「同一労働同一賃金」はもとより、その他の労働基準法に関する知識を活用し、派遣元・派遣労働者・派遣先のすべての関係者が安心して働ける環境づくりをリードするのです。

人材派遣企業が持つ法律遵守への習熟度は、中小企業に浸透していないこともあり得ます。

派遣先や派遣スタッフとの良好な関係の構築と維持のために、人材派遣企業が担う役割は大きいのです。

「同一労働同一賃金」は「働き方改革」の一環としての取り組みですが、国際的に見れば、日本はまだまだ遅れているとも言われています。

「同一労働同一賃金」を実現し、正規労働者と非正規労働者の格差を完全に是正することは、日本の労働社会全体の利益に寄与することに繋がるでしょう。

そこで、人材派遣会社では「同一労働同一賃金」の実現が労働者全ての明るい未来への展望につながることを深く理解し、非正規社員の待遇改善・維持に取り組むことが強く求められているのです。

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