人材業界トレンド 派遣のお悩み相談室

現場じゃ聞けない!派遣営業のお悩み相談室 第4回

皆さま、こんにちは。大手人材派遣会社のD部長です。

オミクロン株も流行し、地域によっては蔓延防止の発令もされております。少し景気も戻ってきたかなというタイミングでの再来ということで、実際のビジネスシーンでも様々な対応に追われているかと思います。多くの会社では年度末かと思いますので、足元の売り上げを立てながら、未来に向けての準備を行なう必要がありますね。それでは本日の質問に回答させていただきます。

本日の質問

今年の4月に、営業として初めて数名の新入社員が入社します。今からどんな準備をすればいいでしょうか。

回答

持っているリソースに合わせて、

  • インプット (特に派遣法について体系的に学ぶ体制)
  • アウトプット (特にOJTでの教育体制)

の2点で整理すると良い。

大前提の考え方

まず大前提として、「インプットのみで派遣業務を理解することは叶わない」ということを念頭に置くべきである。初めての新入社員ということで張り切って、あれやこれやとインプットしたとしても、残念ながらそのまま実際の現場で活用できるケースはほとんどないと思った方が良い。大手企業でたくさんのノウハウを持っている会社だとしても、研修を終えたら一人前という形を取れるような企業は少なく、実際の現場で揉まれることによって初めて一人前の派遣営業になれる。

とはいえ、何もないまま放り出すというのはリスクもあるため、

  1. 1.最低限営業として出るための教育 (最低限のビジネスマナー、法知識 等)
  2. 2.営業独り立ち後の教育 (営業知識の装着、商談トークのフィードバック 等)

に切り分けて教育体制を敷くと良いだろう。

1.最低限営業として出るための教育

ここはポイントを絞って1週間〜2週間程度で一気に詰め込むと良いだろう。

各企業によって必要なポイントは違うものの、

  • 自社の理念、組織、制度の理解
  • 派遣ビジネスの理解
  • 営業、マッチングフローの理解
  • 派遣法、労働基準法に関する理解
  • コンプライアンス研修

は行う必要がある。

これに加えて、簡単なビジネスマナーの研修や営業シーンでの簡単なロールプレイングを行うと良いだろう。

重要な点としては、「詰め込みすぎない」ということである。新卒入社であればビジネス経験がないケースも多く、大量の知識を入れてしまうと重要なこと/重要でないことをジャッジできなくなってしまう。最低限営業に出れる程度に留めて、残りは後々振り返られるような研修資料や書籍の配布程度に収めておくことをオススメする。

2.営業独り立ち後の教育

ここに関しては各社対応が異なるものの、取る方法によってその後の成長スピードが大きく異なると感じている。何も戦略なしに、「メンターをつける」、「売れっ子営業のトークを見せる」、「ロールプレイングを定期的に実施する」、「座談会を実施する」等を行なっても最大限の効果は発揮しないので注意したい。

個人的にオススメしていることは、「新入社員をどこまでに一人前にしたいかを設定し、逆算した上で新入社員の教育コンテンツを敷く」ということである。例えば、入社して半年段階で一人前の営業にするとすると、

  • 半年後:先輩と同様、一人称で基本的な営業活動を行うことができる。
  • 〜4ヶ月:案件獲得〜成約、契約後のフォロー等含めて滞りなく行うことができる。
  • 〜2ヶ月:先輩や上長の指示のもと、適切な行動や対処を行うことができる。

等、各ターム毎にロールモデルのようなものを設定する。その上で必要な要素を洗い出す必要がある。上の例に当てはめると、

  • 半年後:必要な計画を立てて自身で営業ルートや行動をマネジメントすることができる。
  • 〜4ヶ月:派遣営業の全体感を理解し、一人称である程度の商談に参加している。
  • 〜2ヶ月:シーンに合わせて適切なトークを行うことができる。

のような形になるだろうか。

このようにあるべき姿とスキルとして持って置いて欲しいものを定義化した上で、適切なKPI(重要業績評価指標)とそれを達成するための手法を設定すると良いだろう。

例えば、半年後には業績目標の達成をKPIとして、行動計画を1人で立てられるようにするよう、4ヶ月〜6ヶ月の間では月次、週次での行動計画に対してフィードバックを行う、等である。

営業独り立ち後の教育で特に抑えたいポイント

上記のようなロードマップを設定する上で、特に抑えておきたいポイントは下記3点である。

  1. ①スモールステップでKPIを設定する。
  2. ②そのKPIを達成するためのマネジメントを着実に行う。
  3. ③新入社員にもロードマップを共有しておく。

例えば最初は担当者との対面数、担当者とのコミュニケーションになれたとしたら案件獲得数、案件が獲得できればマッチング数、等々、スモールステップでKPIを設定し、なるべき姿とリンクさせると良い。

マネジメントについても、初めのうちは多くのことに指摘したくなるだろうが、あれこれ展開してしまうと本当にやるべことが不明瞭になってしまうので、設定しているKPIについて丁寧に言及すると良いだろう。

その上で、新入社員がモチベーションを下げるケースの多くに、「自分の業務が何につながるのかわからなくなる」ということがあげられる。特に行動量をマネジメントしていると、なかなかやり切れない新人が多いことも事実である。だからこそ、なるべき姿を共有した上で、そこに向かっている道中であること、今やっている業務がその理想に繋がっていることを伝えると良いだろう。

上記のような教育体制を敷いた上で、メンターの導入や、部署横断での悩み相談ができるような座談会の企画等を行うことで効果が発揮できると感じている。

最後に

正直に申し上げると私自身も新卒社員の教育はまだ試行錯誤の途中である。良かれと思ってやったことがうまく伝わらず成長を阻害したこともあれば、最初は全然できなかったとしても、業務の中で急なブレークスルーを迎えた社員も多く見ているため、プログラム自体に正解がないことは確かである。

ただし、上記のような教育プログラムを作成することで、「自分たちの中でデキる社員はどのような要素を持っているか。」「新入社員に対してどのような業務を任せていくか。」等々、自社のリソースやタレントを顧みる良い機会にもなっていると感じている。

是非とも新卒社員を迎え入れる上で改めて、曖昧になっている様々な暗黙知を言語化してみる機会としてみてはいかがだろうか。

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