人材業界トレンド 派遣のお悩み相談室

現場じゃ聞けない!派遣営業のお悩み相談室 第2回

皆様、こんにちは。

D部長です。早いもので今年ももう残り僅か。

一時期は未曽有の流行り病で先行きの見えない日々を過ごしていた方も多いと思いますが、ワクチンの普及とともに経済も少し上向きになってきたかのように思います。読者の皆様も環境が移り変わる中で、日々多様な悩みを抱えながら過ごされていることとと推察します。そんな中、本日も頂いたお悩みに対して私なりの見解をお答え出来ればと思いますのでどうかお付き合いいただければ幸いです。

本日の質問

派遣先企業で派遣スタッフがこっそりと直接雇用されていました。正社員として採用されたことは喜ぶべきことですが、一方でモヤモヤした気持ちにもなっております。どう捉えたらよいでしょうか。また今後その派遣先とはどうお付き合いすべきでしょうか。

回答

以下プロセスで意思決定する必要があると考える。

  1. 1.契約内容の確認
  2. 2.事実確認
  3. 3.営業担当の対応に問題がなかったかの確認
  4. 4.対応方法の検討

各プロセスの詳細について解説していこう。

1.契約内容の確認

まず第一に契約内容の確認を行う必要があることは言うまでもない。ここで確認したい点は、

  • そもそも直接雇用が発生した場合、紹介料を支払う必要があるかどうか、という文言が入っているか
  • 支払う場合、目安はいくらとして料金を設定しているか

の2点である。

多くの派遣元では、基本契約書の締結時点で、「スタッフが直接雇用になる場合、個別契約書に基づき協議の上紹介料を請求する」等の項目を入れておき、そのうえで実際に直接雇用の相談が入った場合、紹介料を設定し協議する運用にしているだろう。

特に気を付けたいのが、「個別契約書の締結時点で明示しているか」ということである。基本契約書に明示している派遣元は多いものの、多くの場合、直接雇用を打診し諸々の調整を行うのは現場の指揮命令者であり、その担当者が基本契約書含めてすべての書類に目を通していることは少ない。特に派遣活用の少ない会社であればあるほど、良くも悪くも派遣スタッフを自社の社員と同様な扱いで、良かれと思ってオファーを出しているケースも少なくない。

これらの契約書に記載をしていない場合、後出しで紹介料を請求することは難しいので、もし記載がないのであれば社内で協議の上、契約書自体を変更する必要があるだろう。

2.事実確認

基本契約書・個別契約書内に記載があった、その上で次に確認すべきことは直接雇用に至るまでの流れである。

整理したいポイントは、

  • 派遣スタッフから直接雇用の申し出があったか
  • 派遣先から直接オファーがあったか

の上記2点で整理するとわかりやすい。

例えば、

  • 担当者から直接オファーがあり、派遣元にも事情等が隠されて内密に直接雇用が進んでいた。

といったケースは明らかな契約離反のため今後の関係性を守るためにも紹介料を請求する必要がある。

ただし、例えば

  • 派遣スタッフが一般に募集されている求人に直接応募をして合格した
  • 派遣スタッフが社内で公募されているポジションに直接応募をして合格した

等のケースだと、請求する難易度は少し上がる。

3.営業担当の対応に問題がなかったかの確認

事実確認と同時に進めたいことが、営業担当がこの事実を知った経路である。

大前提として紹介料とは、「派遣スタッフと派遣元の間に仲介し、就業条件を双方の希望を元にすり合わせ決定するためのコンサルティングフィー」として発生している。

また派遣元には雇用安定措置の観点から、就業社員の就業支援並びに、雇用安定の義務があり、派遣先で募集されている求人に関しては派遣スタッフに周知する必要もある。

本音としては、「派遣スタッフの直接雇用化=稼働者の減少=売上利益の減少」なので、その補填分として紹介料を頂く、という考え方はビジネスを行う上で先に来てしまいがちではある。しかし、私たち派遣会社の社会的な意義と立場についても考え方が浸透しているか、そして実際に支援を行えているかということは再度確認しておきたい。

4.対応方法の検討

上記、①~③を確認したうえで総合的に対応方法を検討する必要があるだろう。

対応方法としては、

  • 紹介料を請求する。
  • 今回の請求はしないものの、次回以降のために基本契約書・個別契約書の内容を見直す交渉をする。
  • 今後の取引を考え、目をつむる。
  • 今後取引を行わない。

等々があげられるだろう。

ここで念頭に置いておきたいのが、「今後の取引を考え、目をつむる。」という選択を安易に選んではいけないということだ。一度泣き寝入りしてしまうと、その関係を覆すことはなかなかに難しい。

特に現在は超売り手市場と言われている。直接雇用されるような評価の高い派遣スタッフであれば、紹介できる案件は少なくないだろうし、紹介料をきっちり支払ってくれる派遣先を探すことも決して難しくはないだろう。

とはいえ、自社のオペレーションに問題があるにも関わらず、むやみに紹介料を請求するのもあまり得策ではないだろう。個人的には、契約書内の記載有無で今回の紹介料を請求するか否かを判断し、今後また直接雇用が起きた場合に備え、派遣先と契約書に記載する文面について交渉を進めるのが良いのではないだろうか。

最後に

さて、今回は紹介料について私なりの見解を示したわけだが、残念ながら私自身も過去に不誠実な対応を受けた経験も少なくはない。そのような企業に対しては、先にも述べた対応の中で「今後取引を行わない。」という選択を取ることもあり得るだろう。

重ねてになるが、今は超売り手市場である。直接雇用されるような派遣スタッフは引く手あまたで、他の派遣先でも直接雇用に至る可能性はいくらでもある。派遣スタッフにとってもビジネスパートナーとして対等な関係を築けるような会社に入るほうが望ましいだろう。

また、このようなケースは自社の営業が派遣先や派遣スタッフに信頼されるようなオペレーションを出来ているか、という通信簿のような機能もあると私は考えている。もちろんどんな営業担当であれ、派遣スタッフに直接交渉を行うような派遣先企業も一定いることは確かだが、多くの場合、信頼関係が築けていれば派遣先からもスタッフからも、一番最初に営業担当へ相談が入るだろう。

そのため、このようなケースが起きた時、単にに紹介料を請求する、泣き寝入りする、取り引き停止する等の選択を取るだけではなく、一度俯瞰した目線で自社のオペレーションを再度見直してほしい。その中にきっと今後の事業をさらに成長させるヒントがあるだろう。

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