人材不足時代を生き抜く派遣会社のみなさまへ。既存スタッフの定着率向上がもたらす効果とは

派遣登録の獲得競争よりも重要なこと

　人口減少と多様な働き方の広がりにより、人材獲得競争が年々激しさを増しています。新規の派遣登録者の取り合いに伴い、獲得単価の高騰に頭を悩ませる人材派遣会社も多いのではないでしょうか。そんな中、派遣スタッフの短期離職も大きな課題となっています。

　派遣社員のフォローアップシステムなどを提供するLife Ship株式会社代表取締役社長の田形氏をゲストにお迎えし、株式会社ブレイン・ラボの事業開発部GMの磯野とともに、派遣会社の現状とこれからの勝ち筋についてセミナーを実施いたしました。今回は、そのセミナーの中から、一部概要をお伝えいたします。

お話を伺った方（セミナー登壇者略歴）

■Life Ship株式会社 代表取締役社長 CEO　田形 正広 氏

【略歴】大学卒業後、 株式会社キーエンスを経てパーソルテンプスタッフ株式会社に入社。同社事業部長などを経て、 2020年、派遣社員のフォローアップシステム事業を主とするLifeShipを起業、現在に至る。

■株式会社ブレイン・ラボ　事業開発部　GM 磯野 哲也 

【略歴】大手派遣会社にて採用戦略の立案・実行を担当。派遣スタッフの離職率という課題を解決するため、独自のアルゴリズムとデータ分析に基づいた派遣会社向け定着支援サービスを開発。2024年にブレイン・ラボへ参画。

新規登録者獲得の注力だけでなく、既存スタッフの定着こそカギ

　派遣会社を取り巻く逆風を乗り越えるカギは「既存スタッフの定着率向上」にあると、Life Ship株式会社の代表取締役社長、田形氏は指摘します。新規登録の獲得に注力するだけでなく、既に登録済みのスタッフや、就労中のスタッフにフォーカスすることが、今後の人材派遣会社にとって実は大きなインパクトを持っています。

　特に、就労中のスタッフの離職の未然予防をし、定着率を上げていくことこそが重要だと株式会社ブレイン・ラボの磯野は強調します。そのためには、早い段階で離職の予兆を察知し、適切なタイミングでフォローすることが必要です。既存スタッフの定着に向けて実施すべきポイントは以下の5つです。

1.  声かけなどで接点を増やし、スタッフに肯定的な印象を与える
2. 入社後に定期的に面談を行い、不安を取り除く
3. 離職の意思が固まる前に、スタッフの悩みに寄り添う
4. 達成可能な目標を与え、承認欲求を満たす
5. 期待とのギャップを埋め、早期離職を防ぐ

「辞めたい」という意思表示をする前の、小さな違和感の時点でフォローしていくことが、スタッフの定着に最も寄与します。しかし、そのためには社内でのコンセンサスが欠かせません。決して一筋縄ではいかない問題ですが、まずは「定着支援」こそが自社にとって最善であるという認識を持つことが重要なのです。

「定着支援」は成長し続けるための差別化ポイントに

　多くの人材派遣会社が「派遣スタッフ不足」に悩まされている現代。新規登録にばかり目が向きがちですが、目の前にいる既存スタッフの満足度を高め、定着率を上げるためのフォロー体制の構築は、今後派遣業界において、不可逆的なトレンドとなっていくことでしょう。

　派遣先企業の要望を優先していた時代を「派遣1.0」だとすると、今こそ派遣スタッフとの信頼関係を築き、個々のニーズに寄り添う姿勢を重視する「派遣2.0」の経営へ、舵を切るときだと、田形氏は提唱します。求職者目線に立ち、真摯に向き合う姿勢を示せるかどうか。それが今後、求職者から選ばれる、すなわち成長し続けられる派遣会社となるための必須条件となってくるのです。

定着率向上のために、何をすべきか

　一方で、定着率向上を組織全体の目標として掲げ、戦略的に取り組んでいくことも欠かせません。田形氏は、明確なKPI（重要業績評価指標）を設定し、社員一人ひとりに浸透させることが大切だと強調します。営業職の評価基準を「新規開拓」から「定着率」にシフトさせ、日々の行動を変えていく。また、定期的な研修だけでなく、日常的な声かけや意識付けを通じて、社員の意識改革を促していく。このように組織を挙げて定着率向上に取り組む企業文化を醸成することこそが、他派遣会社と差がつき、圧倒的な競争優位性を生み出すことでしょう。

　セミナー内では、定着率向上に向けて、目標の立て方や社内への浸透のための具体的なアクションについても解説しています。スタッフの定着率向上がもたらす効果と、現場社員の方々に納得して取り組めるような仕事のフローについてなどを詳しく解説した資料をご用意しております。より詳細について知りたい方は、下記よりセミナー動画の視聴と、資料をDLし、チェックしてみてください。