皆さま、こんにちは。大手人材派遣会社の部長です。
ありがたいことで本連載も第3回となりました。頂く質問も、抽象的なマネジメントやモチベーションの話から、実際の派遣会社現場だからこそ起こるような質問まで多種多様な質問を頂いております。今回は、オンラインでの派遣先職場見学についてです。
本日の質問:派遣先のオンライン見学で、気を付けるべきポイントは?
昨今のコロナ影響でオンラインの職場見学が増えています。
これまでは、直接職場に行くことで、職場の雰囲気を感じたりできましたが、今はそれもままなりません。
気を付けるべきことがあればご教授お願い致します。
回答:オンライン見学はメリットが多い。トラブル回避のためには「確認事項」を漏らさずに!
オンラインでの職場見学は、いつも行っている職場見学時以上にコンプライアンスに気を付けたうえで運用する必要がある。
そもそも職場見学会とは
こちらの記事を読んでいる皆さんはもちろん当たり前のように運用しているかとは思うが、大前提として、職場見学≠面接であることはまず念頭に置く必要がある。
現行の派遣法では、あくまで派遣元が人選権を持っており、派遣契約に基づきその業務を遂行できる人材を紹介するという大原則がある。
実際の現場に行くと、例えば仕事紹介時に、
「面接の日程ですが………」
「派遣先より、求められるスキルが満たないので不合格とのことでした…」
など、派遣先が面接しているかのような発言は、弊社でも特に新入社員を中心によく見る。
大手の派遣会社でも、職場見学会中にスタッフが録音等を行い、労働局に駆け込んだというケースも耳にしたことがある。
もちろん派遣会社に務める人間であれば、あくまで面接ではないとは理解しているだろう。しかし日々の業務においてこの様な文言が出てしまう場合は、私も温度感高く注意を促すようにしている。
大前提として「職場見学会とはあくまでスタッフが希望したときに実施できる、スタッフが業務や就業先の様子を知るのための機会である」ということを忘れてはならない。
オンライン職場見学にて起こり得るリスクとは
さあ、そのうえでオンライン職場見学時におこるリスクを職場見学前/中/後にわけると下記のようになる。
- ①職場見学前:スタッフに同意を得ているか
- ②職場見学中:コンプライアンス違反が起きていないか
- ③職場見学後:就業決定後、就業環境がイメージと異ならないか
① 職場見学前:スタッフに同意を得ているか
先にも述べたように職場見学前にスタッフに同意を得ているかという点は抑えておきたい。
職場見学という名前だと「職場見学って言っているけど、職場見れないのでは?」という風に言われるケースも発生するので、業務説明会、業務すり合わせ等、名前を変えると登録スタッフの方もわかりやすい。
また同意を得るうえで、もう一点気を付けなければならないのは「画面を録画しない」ということである。
実際の職場見学時には、仕様書や体制図等々、社内秘のような情報を見るケースも多くある。オンライン時には画面共有という形でシェアするというパターンが発生するだろう。スタッフからすると自宅から参加していれば、ボタン一つで機密情報を自分の手元に残すことができてしまう。内容によっては賠償金も発生するような事態に発展することも容易に想像できるので、職場見学前に同意書のような形で制約を設ける必要があるだろう。
② 職場見学中 :コンプライアンス違反が起きていないか
二拠点(営業担当+派遣スタッフと派遣先)での顔合わせであれば特にここはそこまで懸念する必要はないが、三拠点の場合、顔合わせ時の介入の仕方は少し意識しておきたい。
対面時だと、例えば派遣先がプライバシーに関係するような質問、面接で聞くような質問をしたとき、すぐに仲介し派遣先に注意を促すことができる。ただし、オンラインでの商談に慣れていない場合、話を入れるタイミングや間が対面と異なり少々難しい。気づかぬ間に、スタッフが個人情報にまつわるような情報を開示しており、それが結果として面接行為だと誤解されるケースも発生する。オンラインであるからこそ、あくまでも面接行為ではなく、業務確認の場であることを企業へ伝えることと、候補スタッフにも事前に何かあった際は答える必要がないこと、何かあれば営業が介入することを伝えるておく必要があるだろう。
こういった基本動作を行うことでしっかりとした仕切りを行えるように準備しておきたい。
③ 職場見学後 :就業決定後、就業環境がイメージと異ならないか
実際に就業決定した後もフォローは丁寧にしておきたい。
オフラインでの職場見学だと、職場や担当者の雰囲気もなんとなく理解でき、就業前後のギャップはそれ程大きくはない。
一方オンラインだと、担当者の雰囲気や職場の環境も何となくしか伝わらない状態で就業を決定している。長期就業を見込んでいたにもかかわらず、思っていたものと違う、というような形で満了してしまうというケースも発生するだろう。
職場見学前に派遣元と登録スタッフで打ち合わせを行い、一緒に働く人々や職場環境の事前情報は齟齬がないようにインプットすると、より効果的にオンライン職場見学を活用できるはずだ。
最後に
個人的にはオンライン職場見学は非常に良いスキームだと思っている。
派遣スタッフの方からすると、担当者と会話せずに就業先を決めることはもちろん不安である。ただ、ご時世的に見知らぬ職場に電車に乗ってわざわざ行くことは非常にはばかられるし、就業中であれば就業後や中抜けをして職場見学行くというのは、なかなか億劫である。
それが今はボタン一つで自分が気になることを質問し、次の職場を選ぶイメージを膨らませられる。移動時間やそのための費用が掛からず、より積極的に職場見学ができるのは非常に良いことだ。
もちろんこれは営業担当にも言える。今まで移動していた時間を自社の会議室から参加できるということは、ピュアセールスタイムを確保するうえでも非常に良い打ち手なのは間違いない。
その中で先に起きたようなリスクも多く発生することは確かである。個人的に弊社の中を見ていると、実は職場見学後に何かトラブルが発生する営業と、そうでない営業は差が大きいように感じる。
できる営業はそもそも顧客環境や担当者への理解が深く、就業前後でギャップを発生させない。オンライン職場見学を機に生産性を改善するだけでなく、営業としての手腕も磨けるようにオペレーションを磨くと、より一層強い武器になると考える。
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