人材業界トレンド派遣のお悩み相談室

現場じゃ聞けない!派遣営業のお悩み相談室 第1回

  • 公開日: 最終更新日:

派遣先とのトラブルでスタッフからクレームが…毎回落ち込んでしまうけれど、どうすれば?

皆様、初めまして。

大手人材派遣会社で勤続中のD部長と申します。

新卒から入社し、首都圏/地方拠点での営業、コーディネーターや経営企画と、派遣会社の何でも屋としてキャリアを歩んできました。今回より、派遣会社で働く皆様の悩み相談という形で連載をさせていただきます。派遣会社で働く皆様がどうかこの連載を通じて、少しでも日々の業務の悩みに光が差せばと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

本日の質問

スタッフや派遣先とのトラブルがあると毎回落ち込んでしまいます。うまく切り替えられないのですが何かいい方法はありますか。

回答

恐らく質問者の方は勤続年数がまだ長くない方なのだろう。

回答としては、「自分自身がコントロールできる部分にフォーカスする、それ以外は諦めて次に活かす」である。

大前提の考え方

まず大前提として、営業担当に巻き起こるトラブルの本質として、

「派遣会社で営業担当が対処するトラブルは営業起因だけのものではない」

ということを念頭においてほしい。

よくあるトラブルとしては、

「派遣先の案件が失注し、契約期間にもかかわらず契約を打ち切りにしてほしい、という相談があった」

「派遣先で席が隣の人が業務を教えてくれない」

「派遣スタッフの勤怠が悪く派遣先からお𠮟りを受けている」

「派遣スタッフが情報漏洩事故を起こしてしまった」

等があげられる。

例えば派遣先の案件失注を派遣元の営業担当として、コントロールすることはまずもって不可能である。

派遣先の隣の人が業務を教えてくれないという相談は、派遣先担当者の指揮命令の意識が薄いのかもしれない。もしくはスタッフ側の仕事の進め方がただ単純に合わないという可能性もある。

勤怠や情報漏洩事故については、過去の就業評価からそのような事態予測することは100歩譲って可能であるが、実際に就業してみないとわからない部分が多いのもまた事実だ。

営業担当に降ってくるトラブルの多くは、営業の努力不足ではなく、ある意味他者要因によって発生しているのだ。

営業担当がコントロールできること/できないこと

では、営業担当がコントロールできることとはなんだろうか。

一言でいうと、「契約に至るまでのプロセス」だと私自身は考えている。

もちろん、就業中におこったトラブルを派遣先/派遣スタッフの間に立ち、調整していくことも営業担当にとっては非常に重要な仕事であることは言うまでもない。

またベテラン営業であれば、うまく調整役として入り、トラブルシューティングから以前よりも良い関係を構築していく例も数多くあり、私自身も感銘を受けるような対応を何度も目にしたことは事実である。

ただ私の経験上、残念ながら就業中に起こったトラブルの8割方は、誰が調整しても少なからず解決に時間がかかる。

就業前に感じていなかったギャップがいざ就業後に発覚すると、後から調整することは派遣先企業、派遣スタッフ、そして我々派遣会社にとっても負担がかかってしまう。

となると、ポイントとなるのは、「契約前にスタッフ/就業先のトラブルになりそうなポイントを見極め、事前につぶしておく」ということである。

就業先については、どんな社風なのか、どんな指揮命令者なのか、どんな仕事の進め方なのか、商流はどこなのか、サービスは伸びているのか、活躍している人材はどういうタイプなのか、等々、商談をしていく中で仮説を立てることは難しくない。

スタッフについても、職歴、面談、家族構成、派遣を選んでいる理由等々から、そのスタッフが何をポイントに仕事を選ぶのか、逆に妥協できない点ははどこで、どんな時にモチベーションを感じるのかをしっかりと把握しておきたい。

契約前なのだから、お互い、ある意味取り繕っていい部分だけを見せることは非常に多い。しかしながら、派遣営業の価値は、双方の中立的な立場で、就業・並びに業務提供がうまくいくようにマネジメントすることなのだから、スタッフ/就業先双方に、「○○な部分もあります、ただ△△な部分は良い点です」と自分自身の言葉でプレゼンテーションできるくらい一つ一つのマッチングに対して準備をするべきであろう。

もちろん、そこまで準備したとしてもトラブルが起きることはある。残念ながら人と人のマッチングにおいて、100%というものは存在しない。ただ、そうなった場合、誠心誠意謝罪して、自身がすべきことを粛々と進めればよいのである。プロとして、自分がマッチングに責任を持っている姿を仮に契約前に双方に見せ、トラブル発生後も誠実な対応をしているのであれば、ケースにはよるもののそこまで大きな事態になることもないだろう。

派遣会社の営業担当として

先にも述べたように、営業担当が就業後にコントロールできることは実をいうとそれ程多くない。だからこそ、就業前にできる限りネックをつぶすことを優先的に行うべきである。

ただし勘違いしてほしくないのだが、「自分自身のせいではないから、自分は悪くない」という考えは全く間違っている。何かトラブルが起きた時、派遣会社に責任があることは派遣元として至極当然の話で、責任を取らなくていいということではない。自分自身の対応が後手になっていた場合はもってのほか、猛省して再発防止に努めることは大前提である。

ただ、営業担当として何ができたかという観点だと、なかなかハンドリングできない部分が多いことも事実である。 

悩んでいる相談者の方には契約関連についてしっかり遂行していたか、即レス即対応を心掛けていたか、就業前双方に隠していたことはないかを改めて考えたうえで、もしできていたのであれば、次から契約前までのプロセスをぜひとも磨いてほしい。

考えてみてほしい、自分自身でスタッフそれぞれの個性を理解をした上で最適な就業先を考え抜き、双方が納得して締結した契約の中で、もし万が一なにかトラブルが起きたら、あなたはどんな顔をするのだろうか。きっとくよくよ悩んでいる今のあなたより、一回りも成長し堂々としたプロの派遣営業の顔つきになっているはずだ。

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連載:現場じゃ聞けない!派遣営業のお悩み相談室

>>第2回 派遣営業のお悩み相談室「こっそりと直接雇用された派遣スタッフを見つけたら?」

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