お役立ちノート 各種ドキュメント解説

(テンプレート付き)求人管理簿の必要性と管理の仕方|テンプレートや管理システムも解説

人材紹介事業の立ち上げや更新、運営においては、さまざまな書類や帳簿の作成と保管といった管理業務があります。その中でも、求人管理簿などの帳簿に関しては、事業の運営中に必要となる重要な帳簿となります。

このような帳簿管理については「職業安定法」に基づく管理が必要となり、もし違反すれば厳しい罰則が課せられる可能性があるため、十分な注意が必要です。

また人材紹介事業に大きな影響を与える職業安定法については、頻繁に法改正が行われるため、常に新しい情報を収集することが求められます。

そこで今回は、求人管理簿の必要性と管理の仕方を解説し、法改正にも対応しやすいクラウド管理システムや、求人管理簿の無料テンプレートも紹介します。人材紹介事業を運営する方はもちろん、これから起業される方も、ぜひ参考にしてください。

職業紹介事業とは

職業紹介事業とは、企業や求職者を結びつけるために、求職者のスキルや経験に基づいて適切な職場を見つけるサービスです。一般的に、求職者が登録を行い、職業紹介会社が求人情報を提供し、求職者に対して面接や就業に必要な手続きのサポートを行います。また、求職者に代わって求人企業と交渉を行い、条件面の調整を行うこともあります。

職業紹介事業は、求職者が就職活動において求人情報を収集する手間を省くだけでなく、企業側にとっても適切な人材を採用することができ、効率的な人材採用が可能になります。

ただし、職業紹介事業には一定の手数料が必要であることが一般的であり、求職者に対しては就業までのサポートがある反面、求人企業にとっては採用費用がかかることがあります。

職業紹介の種類

職業紹介事業者には、主に「有料職業紹介事業者」と「無料職業紹介事業者」の2種類があります。以下では、それぞれの違いを解説します。

有料職業紹介

有料職業紹介事業とは、職業紹介を行う際に、紹介した企業から手数料や報酬を受ける事業者のことです。

有料職業紹介事業者には、主に「人材紹介」「人材バンク」「転職エージェント」などがあります。

無料職業紹介

一方の無料職業紹介事業は、職業紹介を行う際に手数料や報酬が発生しない、公共性の高い事業者を指します。

無料職業紹介事業者は、全国各地にあるハローワークや大学のキャリアセンター、再就職支援事業会社などが代表的な機関です。

なお、本記事では、有料職業紹介事業について詳しく解説します。

有料職業紹介事業の運営上必要となる帳簿

ここでは、有料職業紹介事業の免許取得や更新ではなく、事業運営中に備えつけておくべき帳簿について解説します。

なお、有料職業紹介事業の免許取得や更新手続き等については「人材紹介事業の立ち上げに必要な項目や必須要件、申請の仕方を解説」の記事をご参照ください。

帳簿の種類

有料職業紹介事業の運営については、以下の3つの帳簿を作成し、保管しなければなりません。

  1. 求人管理簿
  2. 求職管理簿
  3. 手数料管理簿

以下では、求人管理簿について詳しく解説します。

なお、手数料管理簿については「人材紹介の手数料規定や法律の解説と手数料管理簿のテンプレートを紹介」の記事をご参照ください。

求人管理簿とは?

職業紹介事業者は、求人情報を提供することで、求職者と企業をマッチングさせることが主な業務です。求人管理簿は、そのような職業紹介事業者にとって、重要な役割を果たします。

職業紹介事業者が管理すべき求人管理簿には、以下のような役割があります。

1.求人情報の管理

求人管理簿には、各企業の求人情報が記載されています。職業紹介事業者は、求人情報を的確に把握し、求職者に最適な求人情報を提供することが求められます。

求人管理簿は、求人情報を管理するための基礎的な文書として、欠かせない存在です。

2.人材のマッチング

求人管理簿には、求人情報だけでなく、採用条件や応募者の情報も記載されています。

職業紹介事業者は、求人管理簿を基に、求職者と企業をマッチングするための情報を収集し、採用成功につなげるための支援を行います。

3.法的な観点からの管理

求人管理簿は、職業紹介事業者が採用プロセスを適正に運営するために必要な文書です。求人情報の公正な取り扱いや、個人情報の適切な管理など、法的な観点からも求人管理簿の管理が求められます。

以上のように、求人管理簿は職業紹介事業者にとって求人情報の管理や人材マッチング、法的な観点からの管理など重要な役割を果たしています。

求人管理簿に記載する11項目

求人管理簿に記載すべき内容は、次の11項目となっています。

1.求人者の氏名又は名称

求人者が個人の場合は氏名を、法人の場合は名称を記載します。

この場合、求人者が複数の事業所を有するときは、求人の申込み及び採用選考の主体となっている事業所の名称を記載します。

2.求人者の所在地

求人者の所在地を記載します。

3.求人に係る連絡先

求人者において、求人及び採用選考に関し必要な連絡を行う際の担当者の氏名及び

連絡先電話番号等を記載します。

4.求人受付年月日

求人を受け付けた年月日を記載します。

なお、同一の求人者から、複数の求人を同一の日に受け付ける場合で、受付が同時

ではない場合は、その旨記載します。

5.求人の有効期間

求人の取扱に当たって、有効期間がある場合は、当該有効期間を記載するとともに、

有効期間が終了した都度、その旨記載します。

有効期間については、事前に求人者に説明しましょう。

6.求人数

当該求人として、募集する労働者の人数を記載します。

7.求人に係る職種

当該求人により雇い入れられた労働者が従事する業務の職種を記載します。

8.求人に係る就業場所

当該求人により雇い入れられた労働者が業務に従事する場所を記載します。

9.求人に係る雇用期間

当該求人により雇い入れられた労働者の雇用期間を記載します。

10.求人に係る賃金

当該求人により雇い入れられた労働者の賃金を記載します。

求人管理簿上に記載された賃金が、求人によって支払単位が異なるときには、時給、日給、月給等が判別できるように記載します。

なお、雇用する労働者の能力等によって、賃金額が異なる場合については、下限額及び上限額を記載することでも差し支えありません。

賃金額が都道府県ごとに設定されている最低賃金額を満たしているか留意することも重要です。

11.職業紹介の取扱状況

当該求人に求職者をあっせんした場合は、職業紹介を行った時期、求職者の氏名、採用・不採用の顛末等を記載することとし、採用された場合は採用年月日も記載します。

なお、求人管理簿の様式については、任意のもので良いとされています。

▲参照:職業紹介事業の業務運営要領(厚生労働省職業安定局)より

保管期限とルール

求人管理簿は「法定帳簿」であるため、職業紹介事業者には、2年間の保管義務があります。また、求人管理簿を廃棄する場合は「文書管理規程」に則り、厳密に処理する必要があります。

ただし、むやみに破棄するのではなく、紙媒体で管理している場合でもPDFなどのデータで残しておくほうが良いでしょう。また、帳簿の作成から保管、データの抽出などがいつでも簡単に行えるクラウドシステムの導入がおすすめです。

求人管理簿の作成や管理には、マッチングッドの人材紹介システムをぜひご活用ください。これ1つで、人材紹介事業に必要なさまざまな業務を一括管理可能です。

また、求人管理簿のテンプレートは「DiSPA!」の人材紹介会社様向け帳票テンプレートよりダウンロードできます。

法律違反の際の罰則

有料職業紹介事業者においては、上記の3つの帳簿の備え付けが義務となっています。

そこで、もしこれらの帳簿を作成しなかった場合には「職業安定法第66条6号の違反」となり「30万円以下の罰金」に処される可能性があります。

このような法律違反は、事業を運営する上で、絶対にしてはならない行為の1つです。なぜなら、事業責任者はもとより、法人にも刑事罰を課せられる可能性があるからです。

このような書類を作成・保管しなかっただけで、事業者が業務改善命令を受けたり、最悪の場合は営業許可が取り消されたりするケースもあります。

また、業務改善命令を受けるようなことがあると、自社の社会的信用を失い、求職者や求人が集まらなくなるといったリスクもあるため、帳簿の管理を徹底することが大切です。

職業安定法の改正について

職業安定法は、他の法律と比べ、頻繁に改正が行われている法律の1つです。そこで、以下では2018年に改定された求人管理簿に追記すべき事項について解説します。

求人管理簿の追記事項

求人管理簿へ記載すべき追加事項には、次のようなものがあります。

  • 期間の定めのない労働者を雇用した場合、詳しい内容を記載する
  • 転職勧奨が禁止される期間(採用年月日から2年間は転職推奨を禁止)を記載する
  • 無期雇用就職者については、就職から6ヶ月以内に離職したか否かを記載する

その他の追記事項

以下では、2018年の法改正による、求人管理簿以外の留意事項について解説します。

求職者への労働条件の明示

2018年の法改正では、求職者へ労働条件を明示することが義務化されました。

追記事項は、次の4項目です。

  • 雇用主の氏名または名称を記載すること
  • 試用期間の有無と期間、期間中の労働条件を記載すること
  • 固定残業代が含まれている場合はその内容を記載すること
  • 裁量労働制の場合はその内容を記載すること

雇用した求職者が早々に退職してしまわないよう、注意するべき点があります。次の4点に留意しましょう。

求職者の対応に関する留意点

人材紹介事業者は、紹介した求職者がすぐに退職してしまわないように、注意しなければなりません。

  • 自らの紹介により就職した者(無期雇用契約のみ)に対し、就職した日から2年間は転職の勧奨を行ってはならない
  • 手数料に関しては、返戻金制度を設けることが望ましい
  • 求職者・求人者双方に、それぞれから受理する手数料を明示すること
  • 求職者等を勧誘するに当たっては、お祝い金等の金銭支給は望ましくない

自社の職業紹介責任者への遵守義務の追加

人材紹介事業を行う会社においては、自社の職業紹介責任者に対し、以下の2つの法令遵守義務が追加されました。

  • 職業紹介従事者への教育義務(外部講習の受講も可)
  • 「厚労省人事労務マガジン」への登録と情報の確認

職業紹介責任者には、労働者の研修や教育の義務があり、スキルアップ支援を行う必要があります。また「厚労省人事労務マガジン」へ登録することにより、最新の労働関係法令を学べるため、常に最新情報を把握し、適切な方法で人材紹介事業を運営することが大切です。

求人管理簿のまとめ

このように、人材紹介事業の運営においては、職業安定法の規定に基づいた帳簿管理が必要です。人材紹介事業における帳簿管理を行う際には、職業安定法などの法令に準じて、適切に作成・保管することが大切です。もし、求人管理簿などの帳簿作成や管理にお困りの方は、いつでもブレイン・ラボにご相談ください。

ブレイン・ラボでは事業の立ち上げ相談会の実施や、提携する社労士事務所の紹介も可能です。人材紹介業の立ち上げや、立ち上げ後の事業の進め方などに不安のある方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まずはお気軽に資料請求!

まずはお気軽に資料請求!

マッチングッドは、人材派遣会社の
工数削減・生産性向上を叶える
クラウド業務管理システムです

CTR IMG