人材業界トレンド 挑戦する派遣・紹介会社たち

派遣業界の持続的な成長と次世代事業の成功~Man to Man 株式会社、手島雄一社長の「両利きの経営」とは~

Man to Man 株式会社は2001年2月に愛知県名古屋市で設立され、有料職業紹介事業、労働者派遣事業、再就職支援事業など多岐にわたるサービスを展開しています。

手島社長は1997年に日本リガメント(現Man to Man)に入社し、その後2009年7月に執行役員事業本部長、2017年7月に常務取締役本部長、2019年4月には取締役社長に就任し、2023年7月にはMan to Man Animo株式会社の取締役社長にも就任しました。
社長就任後は手島社長の信念である「とにかくやってみる」という姿勢で、グローバル人材、障がい者雇用、RPA、システム開発など、既存の派遣事業の枠にとらわれない次世代事業の開発・推進を次々と行っています。

そこで今回は、人材派遣会社が新規事業開発を行う意義や新規事業推進のための組織づくりについてMan to Man 株式会社の手島社長にお伺いしました。

「現状維持の経営」では派遣会社は生き残れない

ー新卒社員が定年退職を迎えられる会社を作りたいとお話しされていたことが印象的でした。なぜ、このようなビジョンを掲げているのでしょうか

手島氏:前提として、現在の人材派遣サービスと価値の提供をし続けているだけでは社員が定年退職を迎える会社を作ることは難しいかもしれないと考えています。

新卒社員が定年退職するには、大卒から計算しても40〜50年は続かないといけないですし、そもそも現状維持の経営では40年続けることはまず難しいです。この夢の実現のためには、会社を取り巻く問題や課題に対して向き合い、新しい価値提供を続ける努力が必要です。それに加えて、社員を巻き込んで事業を推進していく事も大切です。

一方で、「100年続く会社にしましょう」と言われても、それは経営者が言っているだけで、社員が自分事として捉えにくいメッセージです。その企業が100年続くかどうかは、社員個人には関係が無く、共感しにくい目標なのです。これを、「新卒で入社した人が定年退職できる会社を目指そう」と置き換えるだけで、自分事として捉えやすく、同じ夢に向かうことができます。

私は夢を叶えるために行動しているだけであり、私の言う発想や指示はすべて夢の実現への手段として位置づけています。私もそうですが、人は誰かのために尽力することが最も力を発揮すると考えています。ですから、私たちの夢として共感して理解してくれる仲間と共に進むスタンスを大切にしています。

「人材業界を良くしたい」Man to Manが新規事業開発を加速させる理由とは 

ー新規事業開発に積極的に取り組む理由をお伺いできますか

手島氏:大きく2つの理由があります。

まず、先ほどお話しした「新卒社員が定年退職を迎える会社を作る」ためには、現状維持の経営ではいけないということです。

私の考えでは現状維持の人材派遣は、誰にでもできる事業です。求人を獲得して、媒体に掲載して、入社してもらう、流れ作業の運営が現状維持の事業です。このような人材派遣のノウハウは本当の意味でノウハウではありません。効果的なスタッフ集客の方法を模索することや定着率向上の取り組みというのは、私たちからすれば当たり前の取り組みであって、特別なことではありません。

少子高齢化、グローバル社会、DX対応など数々の課題が人材業界全体を取り巻いています。これらの課題に向き合い、乗り越えていくためには現状を維持するだけでは不十分で、積極的に新規事業に取り組むことが不可欠だと考えています。

もう一つは、業界への恩返しとして、「人材業界を良くしたい」と考えていることです。人材業界を良くするために、一番に思い浮かんだことは、派遣スタッフの地位向上です。派遣スタッフの地位向上というと、「教育を充実させ一つ上のランクの仕事をしていただく」という発想が多いと思いますが、私は違っていて、「賃金の向上」が派遣スタッフの地位向上として分かりやすく、最も効果的だと考えています。これを実現するには、既存のビジネスモデルを大きく見直す必要があります。派遣事業単体で、多額の求人広告費は本当に必要なのか、システム関連の費用をもっと削減できないかなど、経費を見直すということももちろんあります。ただ、経費削減に取り組むだけではなく、新規事業開発を進めていき、新規事業で出た利益を派遣事業に還元する、といった事業多角化でのメリットを出し続けることの方が意味があると考えています。

社員を信頼し、事業を任せる組織作りが事業推進のカギ

ー「既存事業の成長と複数の新規事業開発の推進」どのようにして両立されていらっしゃるのでしょうか

手島氏:既存事業に関しては基本的に現場に任せています。当社の社員や拠点長は非常に優秀です。派遣事業について、私より彼らの方が現状に詳しく、目標に向けて主体的に戦略の立案と実行をしてくれます。私はそこに足りないと感じた場合はサポートしますし、十分であればそのまま現場に任せることにしています。

法律については専門家を頼るように、派遣現場については営業現場を信頼して任せるようにしています。営業だけでなく、求人関連にも責任者を置いていて求人関連はその責任者へ、営業であれば、現場を回っている社員に営業状況を確認します。

何度もお話ししますが、社員の方が私より派遣事業の運営についてよくわかっています。彼らを信頼し、派遣事業を任せるようにしています。その結果、自立した組織として、既存事業の成長につながっているのではないかと考えています。

ー社員が自発的に動く仕組みづくりについて、詳しく教えてください。

手島氏:Man to Manでは、行動評価制度を採用しています。結果は自分の力だけではコントロールできないのですが、目標に向けての行動は自分でコントロールができるという考えに基づいて、この制度を運用しています。例えば、拠点長は数字責任を持ちますが、役職を持たない社員に対しては、自分がやると言ったことを1ヶ月間でどれだけ実行できたかで評価します。結果だけを求められると挑戦することが怖くなってしまうので、行動を評価することでチャレンジしやすくなる環境を作っています。

この制度の背景には、私自身の営業経験が影響しています。「とにかくやってみる」ことの重要性を実感していて、それが会社全体の姿勢としても根付いています。「まずはやってみる」精神で失敗することがあっても、何度も新たな挑戦に取り組み続けたことが今に繋がっていると考えているからです。今から13年前、東日本大震災の影響で業績が落ち込んでいた時期がありました。何か手を打たなくてはいけないと試行錯誤し、当時まだ一般的ではなかったリスティング広告を活用した集客の取り組みが、爆発的な成果を得ました。当時は、求職者獲得方法を模索している段階で、何が効果的か分かりませんでした。しかし、社員からリスティング広告への出稿提案があり、私は躊躇なく実行しました。やってみたら大当たりしたのですが、そこに辿り着くまでに数えきれない施策を試しました。例えば、日本中有人島全てにチラシを配布したりしました。こんな施策は今では笑い話ですが、バラまいた結果、小笠原諸島から応募が1件取れたんです。

私自身が何事もまずは行動に移すことの重要性を強く実感していますので、会社全体としても「目標に向かってどれだけ行動を起こせたか」を大切にしています。

ー新規事業についても社員が主体的に取り組んでいると伺いました。何か特別な取り組みをされているのでしょうか

手島氏:特別な取り組みは行っていません。私は新規事業を思いつくような機会を社員に提供しているだけです。最近でいうと、ChatGPTについて社内で勉強会を行いました。以前はRPAの勉強会も実施したことがありますが、得意分野だったり、興味を持った社員が新たな「こんなこともできます、あんなこともできます」と、どんどん意見を出してくれています。社員がやりたいと言ったことに対しては前向きな姿勢で実現を支援し、失敗をしても私が責任を取るから大丈夫という安心感を与えることで、チャレンジしやすい環境を作っています。繰り返しになりますが、当社の社員は優秀なので、私は優秀な人材にインプットの機会を提供しているだけだと考えています。いつかアウトプットがあればいいなというくらいの感覚です。ただし、待つだけではなく、社員の心に火をつけることも重要です。研修を受けた社員と必ず話すようにしていて、身近な業務に置き換えて活用イメージを私から伝えることもしています。当たり前ですが、実施して終わりではなく、次に繋がるアクションを私自身が起こし続けることも必要なのです。

ー新規事業の中でも、派遣専門求人求人検索エンジン「GAYA」が印象的でした。詳細をお伺いできますか

手島氏:GAYAをスタートさせようと思った背景も業界に何か恩返しをしたいという想いがあったからです。特に「派遣スタッフの地位向上」の実現のためです。

派遣スタッフの地位向上のためには、「賃金の向上」が効果的で、システム費用と求人広告費の削減が必須であるとお話しましたが、「GAYA」では求人広告費の削減を狙いとしています。「GAYA」は派遣求人専門で、派遣で働きたい方は「GAYA」だけ見に来ればOKという世界観を目指しています。イメージ通りに進めば、「GAYA」訪問ユーザーは基本的に派遣勤務希望者になり、派遣会社は効率よく求人出稿ができ、求人広告費を大幅に削減できます。求職者・派遣会社どちらにとってもメリットが大きいサービスになりうると考え、サービス改善・拡大を続けています。「GAYA」で削減できたコストを派遣スタッフの時給に還元し、「派遣スタッフの地位向上」に一歩近づくことができます。ただし、これは当社だけが取り組んでもダメで、業界内で同じ思いを持つ会社を増やさないといけないと感じています。牽制し、ライバルとして戦うだけではなく、業界を良くするために同じ方向を向いていきたいですね、

編集後記

取材終了後、手島社長がすぐに社員と雑談していたのが印象的でした。このように、役職に関係なく、フラットなコミュニケーションが社内で活発な提案が飛び交う会社づくりの秘訣である、と感じました。

<企業概要>
Man to Man株式会社
愛知県名古屋市中区新栄1丁目7番7号 RTセンターステージビル
https://www.man-to-man-g.com/
1991年設立。製造業に特化した人材ビジネス企業。有料職業紹介・人材派遣のみならず、グローバル人材、障がい者の就労支援など、常に時代の変化に対応した新規サービスを開発し続けている。

<手島社長のご経歴>
1970年愛知県生まれ、1997年に日本リガメント(現Man to Man)に入社。現場営業経験を経て、執行役員事業本部長、常務取締役本部長を歴任した後に、2019年4月取締役社長に就任。          手島社長自身がリーマンショックや震災による市場の低迷といった厳しい時期を経験するも、「とにかくやってみる」という姿勢で逆境を何度も乗り越える。このマインドが社に浸透し、課題解決力・提案力・実行力が備わった人材育成に寄与している。新たな取り組みは派遣事業にとどまらず、障がい者雇用、RPA、AIといった新規事業を多数推進している。

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