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出社案件は全てお断り?!フルリモート特化型の「在宅派遣」が目指す労働革命とは?

新型コロナウイルスの流行により働き方が半ば強制的に見直されている昨今、派遣という就労形態でのフルリモート勤務も徐々に浸透しています。そして今、フルリモート型の派遣とは単なる感染対策ではなく、企業や社会にとって非常に価値のある存在となりつつあるのです。

そこで今回は、リモートワーク総合人材サービスを展開する株式会社キャスターにおいて、「在宅派遣(https://www.zaitakuhaken.com/)」事業の立ち上げに携わった坂井真吾様に、フルリモート型の派遣事業の実態や事業価値についてお話を伺いました。

最後までお読みいただき、皆さまが派遣事業の価値を改めて考えるきっかけになりますと幸いです。

「在宅派遣」とは

ー坂井様のご経歴と現在の業務内容をお伺いさせてください。

坂井氏:私が大学在学中は、パーソナルトレーナーのアルバイトをしながらヘルスケア事業の人材における問題点や、業界の課題を漠然と考えていました。そして大学の4年時にはインターンで入った人材派遣会社に週5日ほどの頻度で勤務しておりました。

その際に、自分は「100ある能力の人を101や110に伸ばす仕事」よりも「1の能力を10や100にする仕事」の方にやり甲斐を感じたこともあり、大学在学時からそのまま正社員として入社した人材派遣会社を経て2009年1月に人材派遣と人材紹介事業を展開する総合人材サービス会社を創業しました。

そして2017年に大学の先輩であった石倉(現株式会社キャスター取締役CRO※)から、2015年に立ち上げたもののスケールができていなかったリモートワークの派遣事業「在宅派遣」の本格的な立ち上げに誘われ、2018年3月から自身の会社と二足の草鞋を履く形でキャスターにジョインしました。

※CRO:Chief Remotework Officer

その後事業部長として「在宅派遣」の事業設計や基盤づくりを行い、ある程度形が整った現在では最前線で日々お客様と向き合うセールスとして活動を行っております。

一般的な通勤型の人材派遣事業と株式会社キャスターのフルリモート型の「在宅派遣」の両方に携わっていると、それぞれのメリットやデメリットが実感でき、より派遣事業に対する理解が深まると考えています。

ー「在宅派遣」とは、どのようなサービスですか?

坂井氏:株式会社キャスターが最初に始めた事業は「CASTER BIZ」というオンラインアシスタントサービスでした。これは、企業から受けるさまざまな業務にリモートで対応するものでした。

ただ、それだけではキャスター社内でリモートワーカーの雇用を増やせても、取引先の事業にフルリモートワークの人材の雇用や、そういった人材の受け入れ態勢の整え方を提供できません。

そこで2番目にできた事業が「在宅派遣」です。クライアントにフルリモートの人材を派遣するサービスであり、弊社のミッションである「リモートワークを当たり前にする」の根幹を担うサービスです。

事業の仕組みとしては一般的な人材派遣と同じです。

派遣先から直接フルリモートではたらくスタッフに指揮命令することが可能となっています。

引用元:「在宅派遣」サービス紹介資料

ー「在宅派遣」の事業価値は何ですか?

坂井氏:「在宅派遣」には、フルリモートだからこそ全国から人選できるという強みがあります。そのため「完全フルリモートの求人のみ」を取り扱っており、「初日だけ出社」や「有事の際に出社」といった条件の求人は全てお断りしているのが特徴です。

出社日があるリモートワークと、フルリモートワークは提供できる価値が全く異なります。1日でも出社が必要な求人は、「自宅でも仕事ができる」といった福利厚生のような価値であり、弊社のサービスは、全国どこからでも人選や就業ができるという提供価値があるのです。

参入当時は正直「完全在宅の派遣ニーズは本当にあるのか?」という懸念もありました。そして需要があっても「短期のデータ入力などが多そう」といったイメージしか無かったのも事実です。実際に複数のヒアリングを重ねたのですが、当時はそれほど良い反応を得られませんでした。ただ「スケールしたら面白そう」という直感があり、事業を押し進めていきました。

そして、本格的な参入を始めてから約3か月後の2018年6月に1社派遣が決まりました。そのクライアントは東京都内にあり、派遣スタッフの方は愛媛と東京の2拠点生活をしている方でした。これまでの派遣事業では、このようなライフスタイルの方とのマッチング例がなく、やはりこの事業の提供価値はこれまでと大きく異なる素晴らしいものだと感じました。

それからは、次から次へと派遣契約が成約し、滋賀-長野、北海道-東京など、今までになかったマッチングが生まれ始めたのです。様々な方が、それぞれの働き方を模索している現代で、住んでいる地域や通勤時間がネックになって最適な仕事に就けないのは本質ではないと感じるようになりました。

「在宅派遣」と一般的な派遣事業の違いとは

ーフルリモートにより、派遣スタッフや派遣先、派遣元が得られるメリットは何でしょうか?

坂井氏:派遣元の企業にとってのメリットは、まず求人・求職者に対してエリア(場所)の概念がないため、求職者とクライアントとなる対象が圧倒的に多くなることです。

全国に複数支店のあるような派遣会社がフルリモートの人材を募集していても、実際には各支店で予算や求人を管理しており、周辺エリアからのみの人材採用になってしまうといったこともありますが、弊社ではそういった垣根がなく、幅広いマッチングが可能です。

そして直接取引先に出向く機会もなくなるため、移動工数が削減される点です。クライアントも理解をいただいているので、そもそも来訪の要望をいただくこともありません。

派遣先企業の一番のメリットはやはり先述の通り、エリアに制限されることなくよりマッチした方をより早く採用できることです。また、感染症対策で従業員が在宅勤務をしていて、「派遣スタッフに出社されても困る」というケースも多いため、現代での就業形態に合っていると言えるでしょう。

派遣スタッフのメリットも、一番は自分の居住するエリアに関わらずよりマッチした求人を探すことができる点ですが、弊社は給与を首都圏の水準に合わせているため、エリアでの時給差がなくなるというメリットにも繋がります。

さらに通勤時間もないため、本来はフルタイムで働きたいのに育児や介護といった理由で短時間しか働けない方も、フルリモートだとフルタイムで働けるといったケースもあります。

そもそも派遣という働き方の本質には、必要な時に必要な人材をマッチングするという考え方があります。フルリモートがそれを叶える就業形態であり、これまで場所や時間の制限があった人にも就業機会を生み出せると考えています。

実は、在宅派遣のスタッフだけではなく、キャスターのメンバーも全国に在住しています。昨年、島根県在住のメンバーを迎えることで遂に当社所属メンバーの居住地が47都道府県に渡りました。

本社も以前は東京にあったのですが、賃料が高いにも関わらず1日に2〜3人しか従業員が出社していない状況でした。そこで、現COOである森岡が助成金を活用しながら地元の地方自治体と協業し、オフライン業務の拠点としていた宮崎に本社を移転しました。今のオフィスは地元の酒造メーカー建屋の2階部分にあります。

派遣に限らず、フルリモートでの勤務は地方創生といった問題をも解決できる、大きなきっかけになるのではないかと感じています。

ー新型コロナウイルスの流行で、「在宅派遣」の市場はどのように変わりましたか?

坂井氏:新型コロナウイルスの流行が弊社のクライアントに与えた影響は大きく、その時期はキャスター全体としても売上は一時的に落ちてしまいました。しかし、リモートワークが世間一般に浸透し始めたこともあり、売上は早急に回復することができました。

回復の中で印象的だったのは、フルリモートを希望する求職者が増えていったことです。派遣という雇用形態にもリモートワークが浸透してきたこともありますが、自身の働き方や生き方を見直すきっかけになり、場所にこだわらない就業を希望する人が増えたのではないでしょうか。

求人に関しても、これまではベンチャーなどの中小規模の企業が中心ではありましたが、現在は比較的大きな会社も社内の組織や制度を改革し、フルリモートの派遣社員の求人を出してくださるようになってきました。

ー在宅派遣を受け入れるには、派遣先も特別な準備が必要でしょうか。

坂井氏:派遣先企業側に必要な準備は、派遣スタッフの勤怠管理や契約締結ツールの使用や、メールやコミュニケーションツールなどのアカウント貸与、業務機器の貸与などです。

引用元:「在宅派遣」サービス紹介資料

上記のようなフルリモートの人材を迎える環境の整備を計画的に行っていただく必要がありますが、ほとんどのクライアントに対応いただいており、特段難しいハードルではないと考えております。

また、就業中の派遣スタッフとは定期的に1on1やアンケートを実施してフォローをしており、活用いただいている企業側にも情報を共有していますので、一般的な派遣と同様に安定稼働に向けて改善提案を行っております。

こうした派遣先企業の環境や、時には社内体制についてもアドバイスをさせていただくこともあります。こうした取り組みを続けることで、在宅スタッフの就業機会を一つでも多く作っていくことを目指しています。

ー「在宅派遣」特有のトラブルなどはありますか?

坂井氏:もちろん、想定スキルの不足などが就業後に発覚する、いわゆるミスマッチは稀にあります。しかし、弊社の「在宅派遣」は一般的な派遣会社と比べてトラブルがかなり少ないのです。

一般的に派遣スタッフの方は求人ベースで就業を決めていて、派遣元企業へのこだわりは少ない傾向にあると思います。しかし、フルリモート派遣だけを取り扱っている派遣会社は弊社以外にほとんどいないので、派遣スタッフの方も弊社との関わりを大切にしてくれているのかなと感じます。

派遣先企業からは「フルリモートでは派遣スタッフに目がいき届かず、ちゃんと仕事をしているか不安」というお声もよくお伺いします。しかし「在宅派遣」の場合は、チャットなどで頻繁に連絡を取りながら業務を進めるため、逆にこのような問題も起きにくい面があります。

弊社では派遣スタッフの方の就業前にもしっかりオリエンテーションを行っており、オンラインでも不安なく仕事をスタートできるようにサポートしております。

ーフルリモート派遣の市場は今後どのように展開していくでしょうか、また、どう変化させていきたいとお考えですか?

坂井氏:今後はフルリモートという働き方が派遣という雇用形態にももっと浸透していき、企業側も受け入れ態勢がどんどん整うことでより求人の数も種類も増えていくと考えております。

実際に事業を始めた当初は圧倒的に求職者が多い状態でしたが、現在では案件の方が多いような状態になりつつあります。弊社も、求職者の募集をより強化していく必要があると考えているところです。

起こしたい変化としては、仕事を探す際に「通勤するか」と「在宅でするか」を普通に選択できる世の中にしたいと考えています。

しかし弊社の「在宅派遣」だけで世の中を変えるには、時間が長くかかってしまうので、同志としての競合がたくさん出てきてほしいと思っております。複数の企業と一緒に、フルリモート型派遣の認知を加速させていきたいのが本音です。

そして、こういったフルリモート型派遣をきっかけに、自社社員のフルリモート化やフルリモート人材の採用にも繋げられるのではないでしょうか。

派遣事業について

ー坂井様の考える、派遣事業の価値についてお伺いしたいです。

坂井氏:派遣労働者は全労働人口の2.6%程でしかないため、派遣事業だけで世の中を大きく変えられるとは決して思ってません。しかし、1つの選択肢としては絶対に必要な事業であるとも思っています。今この瞬間、派遣がベストな働き方だという時に、その選択肢をとれるようにしておきたいと考えています。

現在、弊社の「在宅派遣」では、エリアや時間の概念に縛られることなく、通勤している方と同じ業務パフォーマンスを実現できる環境は整っています。

だからこそ、派遣という働き方にある「社会のネガティブなイメージ」を、派遣スタッフはもちろん派遣先や派遣業界全体で払拭するきっかけとしたいです。

ーそれでは最後に、他の派遣会社で就労する方へのメッセージをいただきます。

坂井氏:私は在宅派遣こそが現在の派遣のイメージを変えられる唯一の方法だと思っています。働き方において、就業場所や通勤距離といった概念を無くし、純粋に派遣という労働のニーズを叶えていくための手段として非常に重要だと強く思っております。

ぜひ各社派遣企業の皆さまも、フルリモートの派遣を進めてみてはいかがでしょうか?

そして、現在の時勢に沿った働き方を自分自身で体現したい方は、下記の採用ページから是非ご応募ください!皆さまのご連絡をお待ちしております。

https://careers.cast-er.com/

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