派遣業界トレンド 挑戦する派遣会社たち

「リモートでの生産性向上を実現」多様な働き方を現場に浸透させたプロジェクト【Future WOW!】とは

現在、人材サービス業界には、リモートワークへの移行がスムーズに進んでいないという課題があります。要因の一つとして、リモートワークによってコミュニケーション不足が発生し、業績が悪化するのではという懸念があるためと考えられます。

そこで今回は、2017年から取り組んでいた「Future Way of Work(通称、Future WOW!)」というプロジェクトでリモートワーク率を2017年の10 %から新型コロナウイルス感染拡大後には一時期98%まで引き上げ、さらに現時点でも80%以上で維持しているAdecco Group Japanに、リモートワークやシステムのクラウドへの移行によって人材サービス会社にどのような変化が起きるのか、また社内への浸透を進める秘訣についてお伺いしました。

働き方の変革は企業規模に関わらず、今後の人材サービス企業にとって非常に重要となる問題です。ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

COO平野氏の生産性向上に関する考え方の変化

人財サービスのグローバルリーダーであるAdecco Groupの日本における事業を統括するAdecco Group Japanは、人財派遣、人財紹介、アウトソーシングなどのサービスを提供するだけでなく、コンサルティングにより業務改善や人財育成、人財開発、組織の健康管理など、雇用や人事に関するあらゆるご要望にお応えするトータルソリューションを提供しています。

今回は、AdeccoのCOO(最高執行責任者)でいらっしゃる平野健二様にお話をお伺いします。

ーまずは、平野様のご経歴や現在の業務範囲を教えていただけますでしょうか?

平野氏:私はAdecco Group Japanに2004年に入社しました。そして、その後数年間は営業のチームリーダー、ブランチマネージャーを経験してから部長職を経て、2015年から3年間は首都圏の事業本部に就きました。

2018年からはCOOに就任し人財派遣事業やアウトソーシング事業を中心としたビジネスの最高執行責任者を務めています。昨年の2021年は、社内の研修留学で、約1年間ロンドンのビジネススクールでMBAを学び、2022年の1月から職場に復帰しました。

今回の主題でもある弊社の「Future WOW!」という働き方改革についてのプロジェクトをリードするきっかけとなったのには、ビジネススクールの前に行ったイギリス研修がありました。

2017年に他国のビジネスを深く理解するために、約4カ月間イギリスの支社で現地の働き方を見てきたのですが、そこで感じたことは、同じAdecco Group で同じ事業をしているにも関わらず、外国では仕事に対する取り組み方が全く違うということでした。

この経験を踏まえ、日本国内において「Future WOW!」が発足するタイミングで、私がリードを担うことになったのです。

イギリス研修で日本の仕事の取り組み方が違うと感じた部分はありましたか?

平野氏:はい。まず大きな違いは、多くの日本人は生活のなかで仕事に高いプライオリティ(優先権)を置いているということです。

一般的に、日本の会社員なら、夜の9時頃まで残業して働くことや、休日に出勤して働くことも珍しくありません。しかしイギリスでは、男女に関係なく基本的にプライベートを重視します。例えば、夕方の5時以降にはオフィスに誰もいなくなります。

プライベートを良くするために仕事をするという感覚があり、従業員自身が生産性を高めてメリハリをつける特徴があります。そして長期休暇を含め、自分が業務に就いていない時間は完全に仕事から離れることを徹底しているのも、日本との大きな違いです。

例え、従業員が休んでいる間にクライアントのニーズが発生しても、別の誰かが対応できる体制を作っている点には感心しました。また同じブランドで同じ業務に就きながら、働き方が全く違うところも非常に興味深いところでした。

日本の人財派遣業界の場合、基本的には派遣会社がクライアントに予定を合わせるという商習慣があり、夜8時に問合せが入ることもありますよね。

しかしイギリスの支社では、クライアントがAdeccoの業務時間を理解しているため、そのような仕事も来なければ、業務連絡のメールが来ることもありません。

仕事に対する時間外の対応やサービスの品質も含め、やはり日本の方が圧倒的にホスピタリティが高いことは事実です。ただ、それが日本の生産性を下げる要因にもなっている気がしますね。これはどちらも良し悪しはありますし、カルチャーの違いだなと感じます。

ーイギリスでの経験において平野様自身の取り組み方への考えは変わりましたか?

平野氏:はい、大きく変わりました。それまでは私自身もプライベートよりも仕事を優先してしまうことが多かったのですが、プライベートの時間を削って仕事をすることが、パフォーマンスや生産性の向上に直結するわけではないと考えるようになりました。

また、業務のデジタル化を進めることで、もっと効率良く仕事ができる方法があると思うようにもなりました。

リモートワークを推進する「Future WOW!」とは

「Future WOW!」の取り組みや社内への浸透のさせ方についてお伺いできますでしょうか?

平野氏:「Future WOW!」の取り組みには、当初現場サイドだけでなく、マネジメントサイドからの反対意見もありました。これまで出社していた社員が在宅ワークに切り替わることで、本当に仕事をしているかを管理できなくなると考えたからです。

そこで私自身のイギリス留学の経験を基に、リモートワークやデジタル化に対しポジティブなメンバーやマネジメント層、そしてネガティブな思いを持っている方とも集まり、時間をかけて対話を重ねることで徐々にプロジェクトについての理解を深め、納得してもらいました。

また現場サイドについても、社員が自主的に働き方を変えるためのプロジェクトを立ち上げ、推進しています。参加者は、男女や既婚、未婚の方、お子さんがいらっしゃる方やシングルの方など、さまざまな属性の方がイベントへ参加し、プロジェクトをボトムアップで推進し、働き方における課題を解決してきました。

その結果、働き方が変わっても実質的な仕事のパフォーマンスが落ちないという事実がわかってきました。当然のことですが、メンバーはマネージャーが見ているからちゃんと仕事をしているわけではないのです。そもそも全員が出社している時でさえ、マネージャーが全メンバーの業務を見ている訳ではありません。そういったことをマネージャーが身をもって体験していく過程が重要だったと思います。

ー具体的に営業部門のシステム変革におけるIT投資ついてお伺いします。営業の仕方や在り方はどのように変化したのでしょうか?

平野氏:まず固定電話を無くし、IP電話に切り替えました。また法改正による電子契約の解禁に伴い、ペーパーレスを進めることで、事務作業のために出社する必要性を減らしました。

営業活動での大きな変化に関しては、リアルに行っていたミーティングをオンラインミーティングに変えました。そこでOffice 365を活用し、各種の商談や職場見学もオンラインで行うなど、業務全体をオンライン化する試みをしました。

実はこれらのオンライン化はコロナ禍になる前から率先して行ってきました。ただ、当時はオンラインでの商談や職場見学はまだ社会全体に浸透しておらず、現場からも賛否両論ありました。

もちろんオンライン商談にはメリットもデメリットもあります。そのため、その場のシーンやクライアントによって使い分けることが必要です。

ーオンライン商談やリモートワークのメリットや課題を教えてください。

オンライン商談に切り替えたことで、営業担当者の移動時間が無くなり、クライアントと情報交換できる時間が多く取れるようになりました。また、派遣社員に寄り添える時間が増えたという声を聞いており、弊社はもちろん派遣社員やクライアントにとってもメリットが大きいと考えています。

また、上長がミーティングに同席する機会が増えることで、商談内容やフィードバックが深くなっていると感じています。

弊社では、このような取り組みを2018年、2019年と実践してきたことで、2020年以降のコロナ禍による半ば強制的な働き方の変化においても、業務上の大きな混乱や業績ダメージもほぼ無く、スムーズにオンライン化へ移行できました。さらに、働きがいのある会社のスコアを示すGreat Place to Workのポイントを約3倍に増加させることもできました。

ただし、在宅勤務が増えることで仕事のメリハリがなくなるといった課題が出てきていることも感じています。家でPCの電源を入れれば仕事ができる環境は、始業と終業のメリハリがつけにくく、仕事がプライベートに入り込みやすくなることも事実ですし、家から1歩も出ずに仕事が完結するのが労働環境として本当に良いと言えるのかも気になっています。

このようなデメリットについては個人の努力だけで解決できるものではなく、やはり企業でも課題解決をリードすべきで、今後取り組んでいきたいと思っているところです。

雑談や情報共有を含め、社内のコミュニケーション活性化の取り組みはありますか?

平野氏:社内のコミュニケーションは基本的にチャットで行っています。

また、社内でのミーティングでは任意でできるだけカメラをオンにしてもらおうという取り組みをしています。

また、「黙々会」という取り組みをしている部署もあります。全員が同じオンラインミーティングにカメラをオンにして参加し、各々が自分の仕事をしつつ誰か質問があるときにFace to Faceでリアルタイムに回答ができるという会です。オフィスにいるときの様に、気楽に話しかけられるし他のメンバーが助言をすることもあります。

ー今後の展開についてはどのようにお考えでしょうか?

平野氏:今後我々が注力していくポイントは、我々の本業である人財派遣やアウトソーシング、人財紹介などのサービスだけではなく、コロナ禍前からオンライン化に取り組み、成功したというナレッジ(知識)を我々のクライアントに提供し、彼らが抱えている働き方に関する本質的な悩みの解決をサポートすることです。

コロナ禍になり2年が経過した今でも、リモートワークへの移行がスムーズにできていない会社も多いと感じています。

そのためにも、我々が取り組んできた事例を基に今後も現場の声を聞きながら、リモートワークの弊害など働き方の課題を解決できる新たなソリューションを展開したいと思っています。そのことは、クライアントの働き方改革のみならず、派遣社員の皆さんが働きやすい職場環境の構築にもつながります。

自社の社員をはじめ、クライアントや派遣社員すべての方が「well-being(幸福)」な状態となって、主体的に働ける環境を作りたいと考えています。

派遣事業について

ー平野様の考える、派遣事業の価値についてお伺いしたいです。

平野氏:人財サービス会社の価値は、派遣社員の方々が主体的に働ける環境を作ること、そしてそれを提供することだと考えています。弊社は現在、『ビジョンマッチング』を推進しています。働く人と働く場である企業や仕事を希望条件だけでマッチングするのではなく、働く人が仕事を通じて本当に実現したい幸せや生き方の価値観に基づくビジョンを明確化し、ビジョンに向かって力を発揮できる組織環境を支援することに取り組んでいます。

さまざまな企業でリモートワークが進む中で成果に繋げるために重要なことは、雇用形態に関わらず、人それぞれ違う最適な働き方や生き方を会社や現場マネージャーなど、事業の責任者がしっかりとキャッチアップし理解することです。

我々は今後も、このマーケットに対して働き方の課題を改善できるソリューションを提供したいと考えています。

ーそれでは最後に、他の派遣会社で就労する方へのメッセージをいただきます。

平野氏:これから必要なこととして、世の中がロボティクス化・デジタル化されているなかで、労働環境や求められるスキルの変化を理解しながら、年齢に関係なく自分のスキルをリスキリング・アップスキリングできるかがポイントとなります。

そのためには人財サービス会社は働く人がキャリア開発できる環境を提供し、その環境の中で働く方が常に学び続ける必要があると思います。そうすることによって、働いている人の生活がよりハッピーになると考えます。

アデコ様「キャリア採用」のご紹介

Adecco Group Japanでは、「『人財躍動化』を通じて、社会を変える。」というビジョンを掲げ、「企業と求職者一人ひとりが抱く、将来のビジョンを結びつけて長期安定雇用を生み出していく」ことを目指しています。

そうした想いやビジョンに共感し、主体的に行動できる方を募集しています。

https://www.adeccogroup.jp/recruit/recruit/career

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