人材業界トレンド 法律解説

【必須】人材派遣事業の開業に必要な許可や始業までの流れを徹底解説!

人材派遣事業を開業するにあたり、どのようにすれば良いのか分からない。そのようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

人材派遣業を開業する際には、さまざまな法律や規則を確認し、多くの申請書類を提出しなければなりません。

そこで今回は、人材派遣事業の開業について、申請の仕方や注意すべきポイントなどを徹底解説します。人材派遣事業を開業予定の方は、ぜひ参考にしてください。

人材派遣事業

人材派遣事業とは、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)によって「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることを業として行うこと」と定められている事業です。これは「労働者が雇用契約を結ぶ会社(人材派遣会社=派遣元の企業)」と「実際に仕事をする会社(派遣先の企業)」が異なるという意味を表します。

事業の仕組み

一般的に、正社員やパート従業員といった労働者は、就業先の企業と直接雇用契約を結んで働きます。しかし派遣労働者の場合は、雇用契約を結ぶのは人材派遣会社です。ただし、雇用契約先は人材派遣会社であるものの、仕事の指揮命令は派遣先企業となるため、一般的な労働者とは、雇用形態が大きく異なります。

そのため、派遣労働者の場合は、給料及び福利厚生が人材派遣会社から支払われます。派遣先企業は、派遣労働者が稼働した時間単価で給料を支払うのが一般的です。

人材派遣業をはじめるためには

人材派遣業は許可制となっているため、事業をはじめるにあたっては、厚生労働省の許可が必要となります。

厚生労働省の許可を得るためには、以下の労働者派遣事業の許可要件を満たさなければなりません。

労働者派遣事業の許可要件には、以下のようなものがありますので、まずはご確認ください。

欠格事由

労働者派遣事業の許可に関する欠格事由は以下のようなものがあります。法人や個人で、主に下記に挙げられる項目1つでも該当すると、原則許可が下りません。

禁固以上の刑に処された

これは、禁錮以上の刑に処せられて5年を経過していない場合です。

5年以内に一定の労働法などに違反して罰金刑以上に処された

これは、労働法などに違反するなどして罰金刑以上に処せられて5年を経過していない場合を指します。

例えば、不法入国または不法に残留した外国人などを4年前に派遣し罪に問われた場合、5年以上が経過していないため欠格事由になります。

※欠格事由に関して、詳しくはこちらをご確認ください。

許可基準

労働者派遣事業の許可に関する基準は以下のようなものがあります。なお、法人や個人で、主に下記に挙げられる項目を満たさないと許可が下りません。

不特定多数の求職者を対象とした事業展開

人材派遣業では、特定の者に対してのみの労働者派遣を行うことを目的としている事業を禁止しています。そのため、不特定多数の求職者を対象とした事業展開を行わない場合、人材派遣業の許可を受けることはできません。

適正な雇用管理

適正な雇用管理とは、まず人材派遣業の許可申請の前に派遣元責任者が派遣元責任者講習を適正に受講しているかどうかが重要となります。また、以下のその他の基準でも判断されます。

派遣元責任者の管理要件として以下の12項目を満たさなければなりません。

  1. 1.未成年者ではないこと
  2. 2.欠格事由に該当していないこと
  3. 3.健康状態が良好であること
  4. 4.生活根拠が安定していること
  5. 5.法令に従って派遣元責任者が選任されていること
  6. 6.許可申請前の3年以内に派遣元責任者講習を受講しているここと
  7. 7.派遣元責任者が名義貸しでないこと
  8. 8.成年に達してから3年以上の雇用管理の経験を有すること
  9. 9.不当に他人の精神、身体および自由を拘束するおそれがないこと
  10. 10.外国人の場合は在留資格を有していること
  11. 11.派遣元責任者が日帰りで往復できる地域に派遣を行うこと
  12. 12.派遣元責任者が不在の場合、臨時の職務代行者があらかじめ選任されていること

派遣元事業主の管理要件として以下の9項目を満たさなければなりません。

  1. 1.労働保険や社会保険の適用など、派遣社員の福祉の増進が見込まれること
  2. 2.生活根拠が安定していること
  3. 3.不当に他人の精神、身体および自由を拘束するおそれがないこと
  4. 4.公衆衛生、公衆道徳上有害な業務に就かせるおそれがないこと
  5. 5.派遣元事業主が名義貸しでないこと
  6. 6.外国人の場合は一定の要件の在留資格を有すること
  7. 7.派遣社員の教育訓練に関する計画が適切に策定されていること
  8. 8.教育訓練の施設、設備が整備され、実施責任者の配置等、能力開発体制の整備がされていること
  9. 9.教育訓練にあたって派遣社員から費用を徴収しないこと

尚、派遣元責任者講習は、派遣元事業所の雇用管理及び事業運営の適正化を図るためのもので、厚生労働省により定められた講習機関が実施しています。

守秘義務

守秘義務においては、派遣スタッフの個人情報を適切に管理する体制が問われます。

そこで、以下の6つの点に注意しなければなりません。

  1. 1.個人情報を正確かつ最新のものに保つための措置が講じられているかどうか
  2. 2.個人情報の紛失、破壊および改ざんを防止するための措置が講じられているかどうか
  3. 3.個人情報への不正アクセスを防止するための措置が講じられているかどうか
  4. 4.保管する必要がなくなった個人情報を破棄または削除するための措置が講じられているかどうか
  5. 5.派遣社員から求められたときは、個人情報に関する適切な措置の内容を説明しなければなりません
  6. 6.派遣社員等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合は、特に厳重な管理を行なわなければなりません

事業遂行能力

事業遂行能力については、次の3つの要件を満たす必要があります。

  • 財産的基礎の要件
  • 組織的基礎の要件
  • 事務所の要件

以下では、3つの要件を解説します。

財産的基礎の要件

労働者派遣事業を開業する際は、基準資本金として、1事業所あたり2,000万円以上用意しなければなりません。その他にも、備品や事務所などに多額の資金が必要となるため、資金調達については早めの準備をお勧めします。

組織的基礎の要件

組織的基礎の要件として、派遣労働者数に応じた派遣元責任者が配置されている等、組織体制が整備されるとともに、労働者派遣事業に係る指揮命令の系統が明確であること。また、指揮命令に混乱の生ずるようなものではないことが求められます。

事務所の要件

事務所の要件として、風営法で規制する風俗営業が密集するなど事業運営に好ましくない位置にないこと、事務所面積を含めた事務所の条件として、事務所の面積が最低20平米以上あることが条件です。その他にも事業戦略に基づいたオフィスを選ぶことが求められ、研修や教育ができるスペース等の確保が問われます。

※許可基準に関しては「詳しくはこちらをご確認ください」

許可申請手順

欠格事由・許可基準の確認・自己評価

許可申請を進めるにあたり、上記の欠格事由と許可基準を満たしているかどうかを確認しましょう。労働者派遣法に規定された許可要件をクリアしているかが重要となるため、確実にチェックを進めて下さい。

添付書類の準備

添付書類の準備として、申請書に添付するための各種書類等をできるだけ早い時期に整えておきましょう。

法人の場合の添付書類には、以下のようなものがあります。

  • 定款
  • 履歴事項全部証明書
  • 取締役、監査役の住民票の写し、及び履歴書
  • 貸借対照表と損益計算書、株主資本等変動計算書
  • 法人税納税申告書(別表1および4)の写し
  • 法人税納税証明書(その2 所得金額)
  • 賃貸借契約書等(事業所の使用権を証明するための書類)
  • 派遣元責任者の住民票の写し、及び履歴書
  • 個人情報適正管理規程 など

また、個人事業主の場合の添付書類には、以下のようなものがあります。

  • 住民票の写し、及び履歴書
  • 所得税納税申告書の写し
  • 所得税納税証明書(その2所得金額)
  • 預金残高証明書
  • 不動産登記簿謄本の写し
  • 固定資産税評価額証明書(資産)
  • 賃貸借契約書等(事業所の使用権を証するための書類)
  • 事業所のレイアウト(図面)
  • 派遣元責任者の住民票の写し、及び履歴書
  • 派遣元責任者講習受講証明書 など

上記には、税理士や役所からの書類の手続きが発生するものもあります。スケジュールにそって、計画的に揃えましょう。

申請書・事業計画書作成

申請書・事業計画書作成では、一般労働者派遣事業許可申請書と事業計画書を作成します。

特に事業計画書は、派遣社員の雇用や派遣の計画、教育訓練の内容などについて記します。

事業計画書に記載された内容は、審査や実地調査で確認されるだけでなく、派遣業務を行っていく上での指針となる重要な計画です。あくまでも現実的な計画を立てることが重要となります。

労働局への提出

労働者派遣事業許可申請書は、各都道府県労働局に提出します。各支店等の申請においても、基本的には本社のある労働局に提出するのが一般的です。

ただし、労働者派遣事業許可申請書の提出の際は、あらかじめ各労働局に確認しておくと良いでしょう。

また、書類が受理された翌月にレイアウト図通りの配置に事務所がなっているか等を確認するため、労働局の担当者による実地調査も行われます。

許可審査

許可審査は、厚生労働省の審査と労働政策審議会の意見聴取の2つをクリアしなければなりません。この期間として、おおよそ2ヶ月程かかります。

許可証の公布

許可が認められれば、厚生労働大臣名で許可証が交付されます。以降、人材派遣事業を開始することができます。

人材派遣事業の開業手順のまとめ

上記のように、人材派遣事業の開業までには、さまざまな申請や許可が必要となります。

ブレイン・ラボでは、起ち上げ相談会の実施や、提携する社労士事務所の紹介も可能です。派遣業の立ち上げや立ち上げ後の事業の進め方などに不安のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 

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