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組織目標31ヶ月連続達成!ダイバーシティ時代に必達マインドをつくるメンバーマネジメントの秘訣

日々忙しく過ごす派遣会社の管理職の中には、目標達成のプロセスや仕事の意義づけに悩まれている方も多いと思います。

今回はリクルートスタッフィングで活躍し、輝かしい業績を残した後、じげんに転職し取締役執行役員を務められている天野氏に、目標達成を実現するマインドメンバーとのコミュニケーションの仕方といった、マネジメントの秘訣をお聞きしました。

日々の仕事に使えるナレッジですので、是非最後までご一読ください。

成果を出すためにやってきたこと

ー天野さんは、リクルートスタッフィングに2002年の4月から2016年の6月まで在籍されていました。どのようなキャリアだったのですか?

天野氏:1年目が中小企業の事務派遣営業を担当し、2年目と3年目は営業と販売系のジョブコーディネーター(求職者への案件紹介担当者)、新規スタッフ集客を担当しました。

その後、セールス系のアウトソーシングの営業を約3年と人事を1年。新宿エリアで9ヶ月だけ事務派遣の営業をやった後、BPOの営業・運用管理のマネージャーを経験した後、港区エリアの営業マネージャーになりました。

かなり色々なエリア・職種・領域を点々としましたね。

ーそして2015年4月、全社員の参加するキックオフで通期最優秀マネージャー賞を獲得されたんですよね。

天野氏: そうですね。当時は24ヶ月連続で目標達成中でしたが、最終的には31ヶ月連続で達成できました。

ゴールを定め、立ち位置をフラットに認識し、すべきことの取捨選択と優先順位付けを的確に行う

ー目標を達成し続けるために、日々のマネジメントで心がけていたことをお伺いしたいです。

天野氏: 一つ目は、ゴール設定を明確にすること。ゴールはどんなことにおいても達成基準を具体的にすること、また達成時期を明確にすることが大事ですね。

二つ目は、スタート地点である、今の立ち位置を確認すること。人は自分のことを過大評価するか、無駄な謙遜で過小評価するか、どちらかのパターンに陥りがちです。スタート地点はフラットな目で見ることが重要ですね。

その上で最後三つ目に、目標達成までにできることを洗い出し、すべきことを棚卸ししていきます。すべきことを決める際に重要なのは、取捨選択や優先順位付けを的確に行うことで、主に二軸あります。それは「ゴールに対してインパクトの大小」と「実行可能度合」です。その軸で整理すれば、やれば成果が大きいことから順に、実際に最後までやり切ることができます。

この三つのことがワンセットですね。組織においての事業成果においても、個人の育成においても使えるフレームワークです。

実はメンバー自体も、新卒入社の未経験者から50代半ばのベテラン社員まで幅広く、かつ毎年ほぼ総入れ替えという状態でした。しかし、マネジメントの基盤は同じです。

メンバーとのコミュニケーションは、Will Can Mustを活用

ー目標設定といえば上から下りてくる数字を追うだけになりがちですが、どうやってそれ程多様なメンバーとコミュニケーションをしていたのですか?

天野氏: 会社の文化として、Will Can Must(※リクルートのキャリア開発の考え方)を用いていました。

▼Will Can Must

数字自体は必達目標である「Must=やるべきこと」としてメンバーに伝えてました。しかし、それだけでは確かに上から下りてくる数字を追うだけになってしまいがちです。

目標を達成するためにも、まず始めはメンバーが現在の仕事や、2~3年後に何を成し遂げたいのかという「Will=やりたいこと」についてメンバー自身から共有を受けます。

そして、いまの自分の強み弱みである「Can=できること」については、メンバーからの自己申告だけでなく、マネージャーや周囲の認識も伝えます。先述の通り、自分自身で認知している立ち位置は上にも下にもずれることがあります。自己・周囲の相互で認識を揃えるのが重要なポイントです。

こうしたそれぞれのメンバーの志向・能力理解をもって、「あなたにこの目標を持ってほしい理由」を自分の言葉で伝えていました。

ーそのように設定した目標を、どうやって日々のアクションに落とし込んでいましたか?

天野氏: どのように達成するかについて、個人で考えて実行する自由度は必要だと考えています。

もちろん月間の売上や決定数などの目標数字、それに紐づくKPIは管理職側で決めておりましたが、そのために取るべきアクションや何に拘るかの自己成長目標等、意識と努力でできるものについては個人に宣言してもらい、全員が見えるところに可視化していました。

もし最初に低めの行動目標を出してきたらその後辛くなることの理解や、可視化した目標の結果はメンバー全員に知れてしまう環境であることの理解がされていたので、先輩が新人の指摘にあったり、新人が先輩にアドバイスをもらったりでき、みんなが確実にアクションし、成長するサイクルを作れるようになっていってました。

また、ルールの中で自由度を持たせることで、達成のために何をすべきかを考える力も、PDCAを回す力もつきます。何より、自分が考えて決めた目標だから達成しよう、という姿勢になります。

ーモチベーションが低い人にはどのように対処していましたか?

天野氏: その人が、本当に「これだ!」と思えるWillを一緒に見つけることが大事です。

例えばリクルートスタッフィングにも、自走力は高いけど真面目だから、周囲や上層部にとって耳障りの良い目標をWillに置こうとしてしまう人もいました。

でもそれって本当の「Will」じゃないですよね。どんな内容でも良いので、自分が本音で嬉しい・楽しいと感じる出来事や過去の成功体験を紐解き、それは何故なのか、言い換えるとどういうことなのかなど、膝を交えて対話していました。

派遣事業は作業として見れば単純だと言う人もいるかもしれませんが、人が100人居れば100通りの出来事があり、やりがいも大変だと感じることも人によって様々です。だからこそ、その多様性は重宝すべきで、個々人のモチベーションを上げるためにも、Will Can Mustと合わせてコミュニケーションしておりました。

自分が成し遂げたいWillに対して、いま何をしなければいけないのか、派遣スタッフ・派遣先企業にとって何が喜ばれるのか、を自分の言葉でイメージできるまでかみ砕くことが重要でしたね。

派遣スタッフやクライアント感謝される価値提供が数字につながる

ー派遣スタッフやクライアントからに感謝されたいという人が、数字目標に疲れるという声もよく聞きます。そういうときはどうされてましたか?

天野氏: まず、前提として派遣スタッフやクライアントに感謝される価値提供をすることによって、結果売上が立つので、これは同義だということを丁寧に伝え続けます。ここが全ての土台になります。

次に目標自体はどこまでやるかということですので、自社や所属組織や個人の意思の要素も入ります。ですので、なぜこの目標を掲げているのか?掲げたいのか?などについて丁寧にコミュニケーションを取ることが重要だと思います。

また日々状況は変わるので、都度その時点において、無茶な目標だと思ってしまう状態になっているのか?単純にタスク過多でやることの棚卸しができずにいっぱいいっぱいになっているのか?等々、真因を探り、一つひとつ解決するように心がけていました。

その他には、結果指標だけではなく、プロセス指標も顧客満足度(派遣スタッフ・クライアント両方)の関係性が高いことを伝えていましたね。

例えば候補決定率(職場見学実施後、成約に至った率)が50%だとしたら、1人が仕事を決めるのに2回職場見学をする必要があります。10%だったら10回して1回しか決まりません。どちらが質の良いサービスかは一目瞭然です。

派遣スタッフの方に喜んでもらうためには、より少ない職場見学で就業を決められるよう、職務・職場情報の事前収集・提供の質を高めたり、そもそもの求人と求職者の希望条件におけるマッチングの質を向上させたりする必要があります。

派遣事業の価値とは

ー天野さんの考える、派遣事業の価値についてお伺いしたいです。

天野氏: まず派遣という働き方は人生を豊かにするインフラであると思っています。派遣会社が介在することで、自身のライフステージに応じて多様な働き方が叶えられる仕事を数多く知れ、最終的に職場見学により実際の現場を確認した上で仕事を決めることができます。

さらに就業中の雇用管理(給与支払、福利厚生等々)も一定レベルで均質なものを享受でき、お仕事の相談、就業条件の調整などの仲介機能も果たしており、安心して働ける環境を提供してくれる価値のあるものだと思います。

次に企業にとっては、素早く必要な労働力を提供してくれる存在であり、また雇用管理を楽にする存在でもあると考えています。特に中小企業が労働法規に対応していくのは簡単ではないし、工数もかかります。

そういった雇用管理も請け負うことも価値であると考えています。特に直接雇用との違いとして、雇用管理を派遣元企業に一任できる点は大きいと思っています。

ー派遣事業を通して得られる、汎用的なスキルや知識はありましたか?

天野氏: 日々たくさんの人と関わり合い、人と人の間に入って介在価値を出す経験を通して、確実に対人コミュニケーション力が鍛えられると感じます。これは言わずもがな、どこでも通用するポータブルスキルです。

そして最近成長を見せているサブスクリプションモデルのビジネスと事業構造は一緒だなと感じます。サービスを購入してもらって終わりではなく、サービスを利用し続けてもらう中で対価を頂くモデルなので、契約成立はゴールではなくスタートです。クライアントの満足度を高め、長く活用してもらうことで収益に繋がる、積み上げが重要な事業構造です。

そういった事業構造の経験は、キャリアにおいて非常に汎用性が高いと感じます。

ー派遣会社で働く方たちへのメッセージをお願いします。

天野氏: 先程も伝えましたが、派遣事業は社会的インフラとしての価値が高いと感じます。

就業機会の創出を通し、向き合う派遣スタッフの人生を豊かにする存在であることを、リクルートスタッフィングでは「ワークスタイルメーカー」と呼称していました。自分たちがそういった雇用の多様性を創り出す存在であることに、誇りを感じて欲しいと思います。

また派遣事業以外でも幅広く成長をしていきたいと考える場合は、先程述べたように広い視野で事業を見つめて欲しいと思います。

自分たちの事業や日々取り組んでいることをたまにで良いので、俯瞰してみて、構造的に捉えると、キャリアにおいて汎用性あるスキルや知識は想像以上に多く得られるのではないでしょうか。

少なくとも現在、一見全く違う様々な事業に携わっている私のバックボーンは派遣事業から学んだことしかありませんので。

ー貴重なお話をありがとうございました!

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