派遣会社に登録して働く派遣スタッフには、契約終了時だけでなく、契約期間中に辞めてしまう場合も少なくありません。
派遣会社の社員の方は、派遣スタッフが辞めてしまわないように、常日頃から丁寧に派遣スタッフとコミュニケーションを取ることが重要となってきます。
そのためには、派遣スタッフとの面談が欠かせません。面談の狙いは、各スタッフがどのような課題を持ち、悩みや不満などがないかを会話の中から把握し、改善を行うことで、長期にわたり就業してもらうことです。
今回は、派遣スタッフのケアに役に立つ、効果的な「面談シート」の活用法を紹介していきます。
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面談シートとは
面談シートとは、派遣会社の管理者と派遣スタッフがこれまでの仕事の結果や課題を振り返りながら、各派遣スタッフ個人の評価や目標の設定を的確に行うために作成するフォーマットのことです。
この面談シートを作成することで、現在の派遣スタッフの仕事や進捗状況、悩みや不満と言った問題点を可視化し、社内で共有することができるようになります。
派遣会社社員とスタッフとの面談
派遣会社には、このような面談を行うことを強制する制度や法律はありませんので、実際には各派遣会社が独自に面談を行います。
そのために、各スタッフと個別に面談を実施するにあたっては、いつ・どこで・どのくらいの頻度で行うかをそれぞれの派遣会社で決めるのが基本です。
派遣スタッフとの面談
それでは次に、実際に面談を行う際に準備すべき内容や気をつけたいこと、面談時の流れ、面談シートの運用方法について解説します。
用意
まず面談を行うまでに派遣会社の管理者として用意しておくべきことは、派遣元管理台帳や派遣先管理台帳(派遣先から提供される一部情報)の内容を確認しておくことです。
それぞれの内容から、派遣スタッフや派遣先からの苦情や苦情処理の実態がないかを確認します。そして、現在や過去に苦情や問題が見つかった場合は、どのように処理をして、現在の状況がどのようになっているかの現状を把握しなければなりません。
そこから見えてくる、派遣スタッフや派遣先の問題点や課題を抽出して、業務の内容や面談時に確認することを事前に用意しておきます。
面談
上記の用意が整えば、実際に面談を行います。このような面談は、派遣スタッフの勤務中に行われることが多く、その面談中も当然給与が発生します。そしてこの給与は、派遣先が負担することになるので、派遣元の管理者は必ず派遣先の現場上長に面談する旨の了承を得てから行うのが必須です。
通常、このような面談は職場近くの喫茶店や職場のロビーなどで行います。
シートの運用
そして、面談の前に準備した内容を面談シートに記入しながら、次へ繋がる運用を開始していきます。
面談シートを作成したら、派遣スタッフや派遣先ごとに、必要な面談シートをすぐに取り出せるよう管理しましょう。面談シートを適性に管理することで、派遣スタッフや派遣先との間で何らかのトラブルが発生した場合でも、必要な情報の確認を迅速に行うことができます。これにより、派遣元は常にスピーディーで的確な対応が可能となるのです。
派遣会社での面談シート
派遣会社で使用する面談シートには、決められたフォーマットはありません。そこで、各社において個別に用意する必要があります。また派遣会社によっては派遣先に特徴があるため、派遣先に合ったフォーマットを用意することで、よりキメの細やかな対応ができるようになるでしょう。
面談シートの目的
この面談シートを作成する目的は、派遣スタッフの面談の流れを明確化することで、課題の抽出や目標の設定をスムーズに行うことにあります。
具体的な意義としては「管理者が面談の流れを確立できる」「派遣元と派遣スタッフの間で信頼関係を築くことができる」「面談を効率良く実施できる」という点に集約できます。
管理者が面談の流れを確立できる
面談シートを作成しておくことで、実際に行う面談の手順や内容が明確になるでしょう。
派遣スタッフはそれぞれに異なる派遣先で仕事をしているため、派遣元の管理者は、それぞれの派遣先と派遣スタッフの状況を知っておかなければなりません。そこで派遣先や派遣スタッフが抱える問題点や課題を先回りして考え、シミュレーションできるのも面談シート作成のメリットです。
この面談シートが蓄積していけば、これからの新しいスタッフへの対応の効率も上がります。それは、それぞれの派遣先で起こりそうなトラブルや問題点、またスタッフからの質問なども予測できるようになるからです。
派遣元と派遣スタッフの間で信頼関係を築くことができる
派遣スタッフは、派遣元との繋がりが希薄になることが多い勤務形態です。そのために、派遣元は常に派遣スタッフに気を配っておかなければなりません。派遣スタッフとの意思疎通が上手くできていない派遣会社では、どうしても離職率が高くなります。
そこで、これらの諸問題を改善するために活用したいのが、面談シートなのです。面談シートには、スタッフの仕事を評価するポイントや成長目標、その達成度などが目で見て分かるように記載されます。そのために、スタッフ自身が自らの評価を客観的に把握し、理解できます。
面談シートを作成することで、それまでの曖昧な評価基準が明確になり、不平や不満が出にくくなります。また派遣スタッフにも、自分の評価が正確に行われており、信頼できる会社や管理者であるという認識をされるでしょう。
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面談を効率良く実施できる
面談シートを使うことで、面談時間を短縮しながらも内容の濃いミーティングを実施することができます。
特に派遣先での面談では、その時間給を派遣先が負担します。そのために、どれだけのメリットがあるミーティングであるかを皆が共有できる結果が求められます。面談シートには、仕事に対する評価や改善点、目標値などが具体的に示されています。そして作成を進めるだけで課題の抽出や問題改善、目標値の設定が可能になるのです。
そして面談シート作成する中で、更に必要な項目や疑問点を洗い出し、さらに精度の高い面談シートが出来上がっていくことでしょう。
面談シートを上手く活用することで、派遣スタッフのモチベーションを高める面談になります。面談シートは、派遣スタッフの満足度と仕事の成長に大きな影響を与えるのです。
面談シート項目例
それでは実際に、面談シートの作成の仕方を紹介して参ります。
今回ご紹介する面談シートはあくまでも1つの例ですので、個別の事情に応じた面談シートを用意してください。
まず、面談の際に必要な項目として以下の3つを必ず記しておきましょう。
- 面談者(派遣元の社員・管理者)の氏名
- 被面談者(派遣スタッフ)の氏名
- 面談場所と日時
このように、いつ・誰が・どこで・誰と・何を話したかを残すことで、今の問題や今後の課題解決に向けた具体案の作成がしやすくなります。
そして、最も大事な項目が以下の面談の内容です。
- 現在の職務の内容とポイント
- 現在担当職務状況(5項目)
1.仕事の質
2.仕事の量
3.仕事に対する意欲
4.職場環境
5.能力の発揮度
- 個人面談内容(今かかえている問題は何か、どのように解決しようとしているか
上記の項目に沿って面談シートを作成し、その後に面談を進めることが重要になります。
面談シートを活かす「面談の進め方」
そして次に、より効果的に面談シートを活用できる面談の進め方を解説していきます。
面談時は、まず軽めの話題から入りましょう。
この際も「ただの雑談」ではなく、最近の出来事や体調など、スタッフをリラックスさせて安心感を与えるように気を配ってください。
次に、今回の面談の趣旨を伝えます。
この面談がスタッフ本人を評価するために行うのではなく、より良い仕事の環境を提供するための面談であることを説明しましょう。本人が思ったことや感じていることを率直に話し合える場であることを理解してもらうことで、その後の話も早く進むでしょう。そのためにも、面談する側の表情や仕草などにも気をつけて、できるだけ明るい雰囲気を作るようにしてください。
面談の本題に入る際には、まず良かった点からが鉄則です。全体的な良い点から細やかな部分まで、できるだけ具体的に肯定することが大切になります。例えて言えば「あなたの○○の部分を派遣先が特に評価していて、派遣元としても非常に嬉しく思う」という具合に、良い所を3つほどの項目を詳しく褒めると効果的です。
この時も上記に書いた面談シートを使用し、他にも気付いたことがあれば、面談シートの項目を付け足すなどのブラッシュアップをしていきましょう。
面談時の話の進め方
良い点を指摘した後に、改善点や気になるところを話していきます。面談シートを使いながら、良かった点の中にも「○○をもっとこうすれば、今よりもスキルアップできるよ」という具合に、具体的な改善策や評価を伝えましょう。本人としては、褒められた後の改善指摘であっても「もっと○○すれば…」という具体策を示されることで受け入れやすくなります。ただ「もっと」の部分では、仕事を強要する内容にならないように気をつけて下さい。あくまでも本人の頑張りの中で「より前向きに改善できる点を指摘する」のが大切です。
ここまで一通りの評価に対する話が終わったら、全体的な評価や仕事のなかで質問や疑問、不満に感じているところがないかを質疑応答します。スタッフにとっては、自分の評価を聞くことよりも、質問や不満を聞いてくれる方が重要と考える方もいます。今の評価や仕事の中で、納得できないことや疑問があれば、この面談でしっかりと聞き出して下さい。もしかすると、派遣先と話し合う必要のある問題があるかもしれません。内容によっては、派遣スタッフ全体に関わる問題が隠れていることもあります。派遣スタッフからの情報は、面談シートのブラッシュアップに最も役立つ情報です。
面談時は目標設定も実施しよう
ここまでの派遣スタッフの評価と、スタッフからの現状報告や疑問点、改善点を話し合えたところで、次は今後の目標設定を行います。
目標設定で大切なことは「目標値を一方的に決めないこと」です。派遣元としては「このようにしてもらいたい」や「こうなってもらいたい」という具体的な目標値があるでしょう。しかし、派遣スタッフの考えや目標を聞きながら、派遣元の目標にリードしてください。これを失敗すると、これまでの肯定や誉め言葉が台無しになる恐れもあります。具体的には3ヶ月を区切りとして「3か月後にこうなるためにどうすべきかを一緒に考える」というスタンスで望めば大丈夫でしょう。そこは、あなたのリードが重要です。
そして、面談シートの内容を網羅したら終了です。最後も派遣スタッフが気持ちよく終われるように、ポジティブな声掛けで終わりましょう。「いつもお疲れ様、これからも一緒に頑張ろう!」という、常に派遣スタッフに寄添う気持ちを伝え「スタッフの話を聞く姿勢」をアピールすることが大切です。
面談が終わったら、是非ご自分の感想や「次の面談ではこうしよう」という改善点も面談シートに記入すると、更にシートの完成度が上がるはずです。
まとめ:面談シートの意義
このように面談シートをしっかりと準備することで、派遣スタッフの職場定着だけでなく、派遣先からの信頼度も同時に得られます。
面談シートの内容には、社内の機密事項以外の共有できる部分もあるはずです。そのような内容は、派遣スタッフや派遣先とも積極的に公開・共有しましょう。
面談シートを派遣元、派遣スタッフ、派遣先のハブとなるように活用することが、最も価値のある活用法です。面談シートを有効活用して、派遣スタッフの定着、派遣先への営業強化にお役立てください。
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