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(テンプレート付)求人票の内容とは?求職者に魅力ある提案ができる記入例も紹介!

いま、日本の多くの産業分野で人手不足が問題となっています。ただ今の人手不足は、高度成長期やバブル経済期のような好景気と消費拡大による人手不足ではないところが過去とは違う点です。

日本では1990年代をピークに労働人口が減少し始め、今後も少子化による影響で、労働人口の減少が続いていくものと予測されています。

これは、企業の経済活動の基礎となる「人材確保」が難しくなることを意味しており、どの企業においても見過ごせない事実です。

そこで重要になるのが「求人票」になります。求人票とは、企業が求人募集を出す際に、公共職業安定所(ハローワーク)や人材紹介会社、人材派遣会社、各大学や高等学校などに提出する書類のことです。

求人票に記入する内容次第で、求職者に興味や関心を持ってもらうことができます。そして応募者を増やすことで、より優秀な従業員を確保できる可能性が高まるのです。

ただし、求人票には職業安定法という法律に定められた基準があるため、何でも書いてよいというわけではありません。この求人票は、記入すべき内容やフォーマットが決まっています。ただし、記入の仕方によっては求職者の興味や関心を惹きつける、魅力のある求人票を書くことができます。

ここでは求人票についての解説だけでなく、職業安定法のルールに沿った、より多くの求職者を集められる効果的な「求人票の書き方」も紹介します。

企業で人事を担当する方はもちろん、個人・法人の各経営者の方も、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

求人票とは

求人票とは、冒頭でも紹介したように、求人を募集する際に職業安定所をはじめとする職業紹介所や各種学校に提出する書類のことです。

求人票には、自社の企業情報や募集している職種、仕事の詳細、給与、給与形態や待遇といった様々な条件を記載します。

求職者が出すのが履歴書であり、企業側が出すのが求人票です。求職者は、この求人票から就職先の情報を集めて応募を決めるので、しっかりと自社のPRができる内容でないと応募者数が少なくなり、結果として良い従業員を確保することが難しくなるわけです。 

以下では、求人票に明記すべき項目を説明するとともに、求職者にアピールできる記入例も紹介しながら解説していきます。

求人票に明記すべき項目

求人票に明記しなければならないのは以下の10項目で、こちらは職業安定法によって定められているために、どの事業者も同じ項目になります。

  • 業務内容
  • 労働契約期間
  • 試用期間の有無
  • 就業場所
  • 始業及び終業の時刻、所定労働時間外勤務の有無、休憩時間及び休日
  • 賃金額
  • 健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の適用に関する情報
  • 募集者の氏名または名称
  • 労働形態(正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト・パートなど)の記載
  • 受動喫煙防止措置の状況

※参考:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」より

各事業者は、上記の実施内容についての明記をしなければ、職業安定所や人材紹介会社、人材派遣会社などへの求人申し込みは受理されないので注意が必要です。

また申し込みを受理された後でも、募集の過程において募集内容と実際の労働条件が変更になった場合には、速やかに関係各所に知らせる、求職者に不利益が及ばないように配慮しなければなりません。

求人票に書いてはいけない項目

求人票には、記載してはいけない2つの「禁止事項」が存在します。それを知らずに記入すると、求職者が集まりにくくなったり、求人の申し込みが受理されなかったりする可能性もあります。

この「禁止事項」とは

  • 就職差別に繋がるような記載
  • 求職者に誤解を与える可能性がある記載

の2つを指します。

就職差別に繋がるような記載禁止事項

就職差別に繋がる可能性のある記載禁止項目には「性別」「年齢」「国籍」「出身・居住地域」「身体的健康」などがあります。

「性別」に関する記載禁止例

性別については、改正後の男女雇用機会均等法により、男女どちらかの性別を限定して募集するような記載や、性別によって給与や待遇などの条件を変えることも禁止しています。

性別に関する記載禁止例

  • 男性のみの採用です
  • 女性の方大歓迎

改善例

  • 男性の方が活躍しています
  • 女性が働きやすい職場です など

「年齢」に関する記載禁止例

原則として、年齢を選考基準にすることも法律で禁じています。ただ例外として、若年層のキャリア形成を目的とする長期の雇用や、定年対象者を考慮した高齢シニアの募集を行う場合には記載が可能となります。ただし、事前に例外に当たるかを確認しなければなりません。

年齢に関する記載禁止例

  • 25歳以下の方歓迎
  • 重労働のため40歳未満の方が対象
  • 20~30代のみの採用となります

改善例

  • 25歳以下の方が活躍中です
  • 重いものを運ぶ仕事で40歳未満の男性が活躍しています
  • 20~30代の方を中心に活躍しています など

「国籍」などに関する記載禁止例

国籍や人種、肌の色なども採用条件には記載できません。また、語学力が必要な場合には、経験や能力欄に記載します。尚、国籍不問などの記載も禁止されています。

国籍などに関する記載禁止例

  • 外国人歓迎
  • 国籍は問いません

改善例

  • 外国籍の方が活躍中です など

「出身・居住地域」などに関する記載禁止例

出身地や居住地、または通勤時間を雇用条件にすることは禁止されています。

出身や居住地域などに関する記載禁止例

  • 通勤時間30分以内の方大歓迎
  • 自宅から通勤できる方の採用です
  • 東京都の出身者大歓迎

改善例

  • 公共交通機関での通勤をお願いします
  • 車での通勤可能 など

「身体的健康」に関する記載禁止例

身長や体重、容姿などを選考基準にはできません。身体的、精神的障がいについても禁止されています。

身体的健康に関する記載禁止例

  • 心身ともに健康な方歓迎
  • 身長160㎝以上の方歓迎
  • 容姿の良い方大歓迎

改善例として「雇用条件でなく仕事の詳細などに記す」と良いでしょう。

改善例

  • 体力に自信のある方歓迎
  • 高い場所にある商品を取る作業です

以上のように、雇用条件欄には細心の注意を払ってください。

求職者に誤解を与える可能性がある記載

求人票には、上記のような差別的な記載を禁止している他に、求職者に誤解を与える可能性のある記載も禁止しています。

具体的に多い事例は、分かりにくい記載で「最低賃金を下回る」ことを隠すような、悪質な求人募集を禁止しています。

そもそも従業員の報酬は、最低賃金法によって各都道府県と職種別に、最低時給や最低日給などの最低賃金※が定められています。この金額を下回る報酬での募集、雇用は厳しく禁止されていますので注意が必要です。

                  ※最低賃金については厚生労働省HPからご確認ください

固定残業代についても、労働局のチェックが厳しくなっているので触れたほうがよいかと存じます。

時間外労働の有無に関わらず一定の手当を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)を採用

する場合は、以下のような記載が必要です。

  1. ① 基本給 ××円(②の手当を除く額)
  2. ② □□手当(時間外労働の有無に関わらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給)
  3. ③ ○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

魅力的な求人票を書くためのポイント

厚生労働省の山形労働局発表資料によると、求職者が求人票で仕事を探すときに、最も重要視する4つの項目は以下の通りとなっています。

  • 1位:仕事内容
  • 2位:就業場所
  • 3位:賃金
  • 4位:休日

1位の仕事内容では、1日当たりの業務の量や最初に覚えるべき仕事、未経験者が仕事を覚えられるまでの期間などが、求職者の知りたい情報の上位となっています。ハローワークには、未経験の仕事を探す求職者が多いことが分かります。

2位の就業場所では、最寄り駅、駅からの所要時間やアクセスなど、勤務地が通いやすい場所にあるかは求職者が重要視するポイントになっています。また、車やバイク、自転車などの公共交通機関以外での通勤も求職者に人気です。

3位は賃金で、意外にもトップではありませんでした。基本的には、キャリアによって前の職場よりも収入アップを目指す方が多くなっています。求人票には、基本給だけを記載するのではなく、賞与や時間外手当なども含めた月収や年収例を記載することで、求職者に配慮した求人票を作成できます。

4位の休日も求職者が重視するポイントになっており、3位の給与と大差のないアンケート票となっています。特に最近では働き方改革の影響もあって、ライフワークバランスを重視する方が増えており、土日祝日以外の有給や連休を取りやすい企業が人気となっています。

また、休日だけでなく勤務形態についての情報を分かりやすく表記することも、求職者への良いアピールになります。日勤や夜勤、完全シフト制など、比較的自由に勤務時間を選べるフレックスタイム制も人気の求人です。

また、上記で紹介した上位4位以外にも「1日の業務の流れ」「人員の募集理由」「選定基準」などが求職者の関心の高い情報となっており、求人募集を出す際には気をつけて記載する内容を考えましょう。

求職者に人気の高い求人票とは?

それでは実際に、求職者に人気の高い求人票の書き方を紹介します。ぜひこの記事を参考にしながら、求職者の注目を集める求人票を作成してください。

仕事内容欄の記入方法

悪い例✖

ケースを洗浄します。洗浄機へ流す、ケース整理、ラベルはがし、コード読み取り作業など

良い例◎

光学製品の組立のお仕事です。※クリーンルーム内でのお仕事になります。※未経験の方もお気軽にお問い合わせください。【業務内容】・ライフルスコープ、双眼鏡の組立検査のお仕事です。指示書に従って、各ユニットを組み立てる作業になります。 製品に付随する各部品の検査も行います。 汚れがあった場合は、拭いていきます。※未経験の方は、できるところから始めていただきます。【ポイント】・無料駐車場完備◎・食堂スペースあり♪・休憩:午前、お昼、午後♪・仕出し弁当あり◎・更衣室あり!・ロッカーあり◎・パン、カップラーメン等の自販機あり♪【オススメな方】・未経験者歓迎◎・もくもく作業が好きな方!・製造業でのご就業があれば経験を活かせます。・残業が出来ない等、ご相談可能です◎

上記のように、仕事内容やおすすめポイントなどを詳しく記入するだけで、求職者は仕事や会社に良いイメージを持ちやすくなります。ぜひこのような具体的な内容を記すように心がけてください。

特にハローワークに求人票を出す場合には、未経験者が多い傾向にあるので「未経験でも安心して働ける環境」「優しい教育制度」「未経験者が仕事を覚えられるまでの時間」を記載することで、求職者が安心して応募できるようになります。

就業場所の記入方法

悪い例✖

県内にあるいずれかの店舗でのお仕事

良い例◎

あなたの希望を考慮して、圏内にある以下の勤務地のいずれかへ配属いたします※転勤・移動はありません

賃金の記入方法

悪い例✖

月収例:185,000円

良い例◎

月給例:200,000円~230,000円給与例)224,000円=時給1,100円×8時間×20日+残業代(35時間で計算)+賞与年2回、住宅手当・家族手当あり

休日の記入方法

悪い例✖

週休2日・有給休暇・慶事休暇

良い例◎

週休2日制(週5日勤務シフト制 ※日曜祝日+選べる平日1日・平日は原則固定となります)その他長期休暇 年末年始、GW有給休暇(取得実績100%)、慶弔休暇、産休・育休制度有

休日の表記方法も重要です。特に具体的休日の曜日やシフト制の有無など、できるだけ具体的に記すと求職者にアピールできます。その他にも産休や育休など、あなたの会社にある休暇制度は全て記載しましょう。

まとめ

いかがでしたか?このように、求人票は「ただ従業員を募集する張り紙」という感覚では求職者はなかなか集まってくれません。自らの企業を求職者にアピールするだけでなく、企業イメージを向上させるイメージアップ広告のつもりで書くくらいがちょうど良いかもしれません。ただ、くれぐれも注意して欲しいのは、禁止事項はもちろんのこと「嘘や大げさな表現をしない」ことも重要です。

求職者には、初めてその職に就く方もおられますので、できるだけ分かりやすく、そして安心して応募してもらえる様な「優しい表現」を心がけるようにしてください。そうすれば、きっと他の企業よりも良い人材が多く応募してくれるようになるはずです。

マッチングッドでは求人票のテンプレートを無料で提供しております。ご興味のある方はコチラからダウンロードいただけます。

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