進捗管理は、目標達成やプロジェクトを推進するためには欠かせません。
しかし、進捗管理は正解がなく属人的な側面も強く、上手に進捗状況を追えていない会社は多くあります。
派遣会社は「スピード」と「質」が重要になるため、この進捗管理がうまく行かないと円滑な事業運営が難しくなることも。
そこで大切になるのが「進捗管理表」です。進捗管理表では、進捗管理をどのようなタスクを誰が進行しており、どの様な問題が起こっているのかをスケジュールを元に可視化できるようにします。
この記事では、進捗管理を上手に進めていく上で必要となる「進捗管理表」について解説します。
進捗管理とは
進捗管理とは、作業が必要な物事の進み具合や品質を一定に保ち、事前に計画された通りに作業が進んでいるかを管理することを指します。
もし、作業に遅れがある場合や問題が発生した場合でも、計画にズレがないように軌道修正を行うのも進捗管理の仕事のひとつ。
ビジネスでのプロジェクトなどで用いられるケースが多く、この進捗管理の力で会社の業績や運営が左右されてきます。
うまく進捗管理をするには以下のポイントを押させて進めていく必要があります。以下では、そんな進捗管理の「重要な3つの要素」と「うまく進捗管理をするための方法」について解説していきます。
進捗管理の重要要素
進捗管理に必要な3つのポイント
①過去の実績を元に考える
②計画と実情の差分を分析する
③未来の形を予想する
この3つに意識しながら進める必要があります。
まず、進捗管理には必ず「作業」が発生します。
その作業は「時間」と「品質」の2つの軸で評価される場合が多く、進捗管理を行う際にはこの2つが問題ない状態を保たなければなりません。そこで、実際に過去に発生した作業で「どのくらいの品質のものが、どのくらいの時間で作業が完了したのか」を確認することが必要です。
そういった実績を過去の作業から分析することで、より効率的に作業を進めることができるでしょう。
また、作業を行う前に作った計画と現状の実績を比べることも必要になります。
進捗管理では、決められた期間内に決められた目標を達成することが求められます。その上で、予想上の計画と現実の実績にどれだけ乖離があるかを確認し、その乖離を埋める施策を打たなければなりません。
そういた乖離を埋めるために必要になるのが「未来にどうなるかを予測すること」です。
「この乖離が埋められなかった場合どうなるのか」「乖離を埋めるためにはどうすればよいのか」など、常に未来を意識して、目標を達成できる未来から逆算して乖離を埋める施策を打つ能力が求められます。
しかし、プロジェクトの現場では進捗管理に必要なこれらの能力を持っているだけではなく、実際に作業をする人たちにもこの概念を持って行動してもらうことが大切になります。
そこで必要になるものが「進捗管理表」です。
進捗管理表には、必要なタスクとそのタスク処理にかかる時間と工数を可視化し、プロジェクト達成までの道のりを示してくれます。
進捗管理表が必要な理由

進捗管理を行う際には「進捗管理表」が必要になります。進捗管理表とは、進捗管理を行う上で必要な「工程」や「TODO」をまとめ、可視化したものです。
以下で実際に進捗管理表がどのように使われるのかを確認してみましょう。
計画に対しての進み具合が簡単に把握できる
進捗管理表があることで、実際の計画に対しての進み具合が簡単に把握できます。
プロジェクトを進める計画が頭の中にあっても、具体的にやることなどが明確に理解できていないと、やるべきことの優先順位が定まらずに作業に遅れが出る可能性があります。
進捗管理をする際には、必ず「計画」と「進捗状況」と「実際にやるべきこと」が可視化されている表を作り進めることをおすすめします。
複数のタスク間の繋がり・ボトルネックが把握できる
進捗管理表では、実際にやるべきことの優先順位などを再設定することができます。
計画上では、想定していた作業時間も、実際に作業をしてみると意外と手間取ってしまうことも。そんな時でも進捗管理表があれば、作業工程の優先順位を変更し工程表を組み替えることができます。
そうすることで、片付けるべきタスクの優先順位が曖昧にならず、無駄なアイドルタイムの発生を防ぐことができます。
進捗管理表での主な項目
進捗管理表にはいくつか種類がありますが、ビジネスの場では「作業の進み具合」と「タスクの種類」が一括で管理できる「ガントチャート」を用いることが多くあります。
ガントチャートでは、処理すべきタスクにどれくらいの時間がかかっているかを、横長のバーグラフに合わせて確認しながら進めることができます。
以下で具体的なガントチャートの項目を確認しましょう。
進捗管理表での主な項目
ガントチャートでは以下の5つの項目が必要になります。
・担当者
・タスク名
・開始日
・進捗(%)
・終了予定日
ひとつのプロジェクトに複数人が参加して進む場合は、担当者を振り分けて進めることをおすすめします。誰がタスクを担当しているかがわからなければ、問い合わせる人がわからずタスクの進捗状況・終了予定日などが曖昧になってしまうからです。
こういった時間や工数などを表にまとめ一目で理解できるようにする手法を、WBS(Work Breakdown Structure)と呼び、このWBSに基づいて進捗管理表を作成していきます。
複数人いるプロジェクトでは、WBSの手法と担当領域別にどの業務がどれくらいの工数・日程が必要なのかを確認し、実際の進捗管理表にタスクと期日を落とし込んで進めていきます。
WBSに基づいて得られた予定を、ガントチャートに落とし込み直感的に把握できる形にしながらプロジェクトを進めていきましょう。
派遣会社現場での進捗管理表活用イメージ

派遣会社で進捗管理表を使う場合は、主に以下の2つのプロジェクトに使われるケースが多くあります。派遣会社は「求人」と「求職者」を繋げる非常に信用が大事になる職種です。
中途半端な進捗管理では、信用を失ってしまうことにもなりかねません。
安定した進捗管理を行い、円滑な事業運営を目指しましょう。
以下では、派遣事業を運営する際に必要な業務の流れ別に進捗管理表をどう使うべきかを解説していきます。
求人企業営業
求人を出している企業に営業をかける場合の進捗管理表では、以下を意識した進捗管理表を作ることが大事です。
1.提案アポ獲得
2.提案資料作成
3.提案
4.契約準備
上記のタスクを設定した上で、進捗管理表に必要な担当者・タスク名・開始日・進捗・終了予定日を設定し、進捗管理を進めていきましょう。
求人営業では、期間や量以上に「質」が求められます。
企業が求める求人はどんな人材なのか。そういった定量的な部分以外も進捗管理では問われてきます。
求職者獲得
派遣事業において、求職者を集めることが最も重要です。求人企業の獲得は営業力で獲得できることもありますが、求人募集は求職者ひとりひとりに営業するわけにはいきません。
求職者を集めるには募集媒体が必要になり、この募集媒体の選定に遅れが出ると、その後の求職者獲得に悪影響が出る可能性が非常に高くなります。
効果の高い求職者の募集媒体を選定することはもちろんですが、それに加えてスケジュール通りに求職者を集めていく必要もあるのです。
そこで、求職者を獲得していくための進捗管理表を作る場合には、以下の5つのタスクで進捗管理表を作り、そのひとつひとつの進捗をしっかりと追っていきましょう。
・媒体選定
・媒体掲載契約
・原稿準備
・掲載
・募集
様々な派遣会社がある中、求人を獲得するには打つ施策に対して「質」が求められます。
もし、募集に至るまでがスムーズに行えた場合でも、応募が想定より少ない場合などもあります。そういったケースを避けるためにも、媒体選定から原稿準備までタスクを処理する質が求められるため、よりバッファ※を持った進捗管理をしていきましょう。
※バッファ=余裕・幅
進捗管理表作成時の注意点

以上、進捗管理を進める上で必要な「進捗管理表」や「進捗管理の方法」を紹介してきました。
しかし、新しく事業を運営する場合、いきなり進捗管理表を作り進捗管理をしていくのは難しいかと思われます。
そこでおすすめなのが、すでにある進捗管理フォーマットを利用して進捗管理を行うことです。
以下では、実際のプロジェクトが進行する現場で、必要とされる進捗管理ツールの特徴と実際のサービスについて解説します。
以下の特徴が備わった進捗管理ツールを利用して、円滑にプロジェクトを推進していきましょう。
運用が簡単なフォーマット
進捗管理を簡単に行えるフォーマットは、インターネット上はもちろん、専用のツールを提供している会社もあります。
確実に進捗管理を行えるフォーマットがあれば、そのフォーマットを利用してプロジェクトを進行できるため、すぐにプロジェクトを発足・運用することができます。
その中でもおすすめなのが「ガントチャート」が搭載されている進捗管理ツールがおすすめです。
先ほども少し説明しましたが「ガントチャート」とは、担当者・タスク名・開始日・進捗(%)・終了予定日の5つを横長のバーで表すことができるため、作業者と進捗管理者は一目でタスクの進捗状況を確認することができます。
このようなガントチャートを利用し、問題点や進捗の遅れとその原因を追求できるような仕組みを整えていきましょう。
同時に複数人が入力
フォーマットを作る際には「複数人が同時に利用できる」フォーマットだと良いです。
もちろんエクセルなどのファイルに書き込む仕組みのフォーマットでも問題ありませんが、入力忘れやデータが先祖返りしてしまう恐れもあります。
それにより同じ作業をしてしまうことや、連絡の行き違いが発生すると、作業者たちのモチベーションは下がり全体的な生産性も下がってしまうことも。
そこで、実際の作業者と進捗管理者の意見を統合して使うべきサービスを決めていきましょう。
外出先からも入力・確認が簡単
フォーマットを作る際には外出先から入力したり、確認ができるものにすることがおすすめです。
営業をする際には外出先からすぐに進捗状況を伝えなければならないこともあります。
そう言った際に備えて、簡単に「確認」と「入力」ができるモバイル対応のフォーマットが良いでしょう。
このような機能を総合体すると、クラウド上で進捗管理ができるシステムをおすすめします。
クラウド上の進捗管理ツールでは、入力忘れや進捗状況をアラームで教えてくれる機能など、その他にも便利な機能が搭載されています。また、入力されたファイルはクラウド上、つまり、インターネット上で管理されているため、パソコンが壊れてしまったり、データが消えてしまっても必ずログには情報が残るようになっています。
そのため、作為的に情報を削除しないかぎりは紛失する恐れもありません。
具体的なサービスとしては「Googleスプレッドシート」や「Trello」などのツールが挙げられます。この2つは完全無料で利用できるため、お試しとして使ってみてサービスの良し悪しを決めるのが良いでしょう。
サービスを決める際には進捗管理者だけでなく、実際に作業をし、入力する人たちの使いやすさにも耳を傾け最も使いやすいサービスを選んでください。
まとめ:進捗管理表を有効活用しよう
派遣会社では、たくさんのタスクを複数の人・取引先を巻き込んで進める必要があります。
そのような派遣会社では、慎重かつ確実な進捗管理が求められます。
逆に、進捗管理が大事だからこそ、進捗管理表を有効活用することで他の派遣会社との競争力を強化できる手段として有効になります。
事業所規模や、情報のやりとりの頻度、求められるスピードなどを加味したうえで進捗管理表の最適なあり方を考えてみてはいかがでしょうか。