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労働者派遣法の詳細を徹底解説!派遣法改正に伴い派遣会社が注意すべきポイントまとめ

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、労働者派遣法)は、1986年の施行から現在まで、世の中の情勢に合わせて何度も改正が行われてきました。2021年は1月と4月に改正が施行され、派遣元企業や派遣先企業に関連する内容が盛り込まれています。

曖昧だった一部のルールが明確化されているため、人材派遣に携わる人はしっかりと改正内容を把握して、労働者派遣法を遵守しましょう。

今回は、労働者派遣法のこれまでの改正の歴史を振り返り、2021年の改正内容のポイントについて解説します。「労働者派遣法についてよく分からない」「2021年の改正内容について知りたい」という人は、ぜひ参考にしてください。

労働者派遣法とは

労働者派遣法とは、適切な運営のもと派遣労働者の保護を図り、雇用の安定化と福祉の増進を目指すために1986年に施行された法律です。

労働者派遣では、契約上での雇用主(派遣元)と実際の職場となる派遣先が異なるため、雇用主責任が不明確なことが課題と言われています。また、正社員に就けず不本意ながら派遣社員として働いている人が多く、雇用状況が不安定にあることも課題の1つです。

こうした課題を解決することを目指し、労働者派遣法が制定され現在も改正が進められています。

構成

労働者派遣法は、第1章から第5章までで構成されています。それぞれの章ではどのような内容が記されているのかを見ていきましょう。

第1章:総則(1-3条)

第1章では、総則として労働者派遣法の「目的・用語の意義・船員に対する適用除外」について記載されています。

労働者派遣法は、船員職業安定法(第6状)に規定する船員については適用しません。

第2章:労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置(4-25条)

第2章では、適正な運営を確保するための措置について記載されています。労働者派遣事業を運営するには、厚生労働省への許可が必須です。

以下の6つの基準を満たしている場合、派遣事業が許可されます。

該当する事業が、労働者派遣の役割を特定の者だけに提供する事を目的として行われるものではない事申請者が、該当する事業の派遣労働者に関わる雇用管理を、適正に行える能力がある事。個人情報を適正に管理し、労働者の秘密を守れる措置がある事。申請者が、該当する事業を的確に遂行できる能力がある事。民営職業紹介事業を兼業する場合、許可要件を満たしている事。海外派遣を予定する場合、許可要件を満たしている事。

他にも、資産用件や事業所の必要面積条件、派遣元責任者の条件に関する規定もあり、それぞれ必要な書類や手数料を提出します。

派遣元責任者になるためには、一定条件を満たしつつ派遣元責任者講習を受けて資格を取る必要があるため早めにチェックしておきましょう。

第3章:派遣労働者の保護等に関する措置(26条-47条Ⅲ)

第3章では、派遣労働者を保護するための措置について記載されています。2012年の改正により「派遣労働者の保護」について明示され、施行から現在まで特に大きく改正されてきた項目です。

ここには、契約内容や契約解除、教育訓練、賃金などをはじめとしたさまざまな規定があります。改正の歴史や2021年に改正された項目は、ページ下部で詳しく解説しています。

第4章:紛争の解決(47条)

第4章では、紛争の解決の援助などに関することが記載されています。ここでは、派遣元に寄せられた苦情や紛争、調停などについて記されており、2021年に改正された項目の1つです。

第5章:雑則(47条Ⅳ-57条)

第5章では、事業主団体等の責務や指導、改善命令をはじめとする雑則について記載されています。立入検査や手数料などについても記されており、労働者派遣事業の運営において把握しておくべき事項です。

第6章:罰則(58-62条)

第6章では、労働者派遣法違反に対する罰則について記載されています。意図せずにやってしまった行為であっても、厳しい罰則が課される可能性があるため注意しなければなりません。

「知らなかった」では済まされないため、労働者派遣法についてしっかり把握しておきましょう。

目的

労働者派遣法は、以下の内容を目的として定められています。

「労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資すること」

労働者派遣法は、かつては「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」でしたが、2012年に「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改正されました。

ここで、法律の目的にも「派遣労働者の保護のための法律」という目的が明示されたのです。

派遣対象外

労働者派遣法は、以下の業務は「適用除外業務」として派遣が禁止されています。

禁止されている業種港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院・診療所等における医療関連業務、弁護士・社会保険労務士等のいわゆる士業

派遣適用外業務に従事する労働者派遣を行った場合、派遣元は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という罰則の対象となるため、十分に注意しましょう。

労働者派遣法の歴史

労働者派遣法は、1986年の試行以降、度々改正が行われていることをご存知でしょうか。施行から2015年までの間に8度もの改正が行われ、さまざまな措置・規制が設けられています。

ここでは、1986年の施行から2015年までの労働者派遣法改正の歴史について見ていきましょう。

1996年改正:派遣対象業務の拡大

1996年の労働者派遣法改正では、労働者派遣法の対象業務が26業務へと拡大されました。施行当初は16業務に限定されていましたが、正社員に代替できない業務を中心に合計26業務が対象となりました。

対象に追加された業務研究開発、事業実施体制の企画・立案、書籍等の製作・編集、広告デザイン、インテリアコーディネーター、アナウンサー、OAインストラクション、テレマーケティング、セールスエンジニア、放送番組の大道具・小道具の作成・設置など

1999年改正:派遣対象業務の修正(ネガティブリスト化)

規制緩和の波が広がり、労働者派遣の対象範囲が、認可されているものを指定する「ポジティブリスト方式」から禁止されているものを指定する「ネガティブリスト方式」へと変更。派遣が禁じられる業務が定義づけられました。

つまり、禁止されている業種以外では原則労働者派遣が自由になったということです。ただし、正社員の代替を防止するために、新たに労働者派遣の対象となった業務には、派遣期間の制限(1年間)が設けられています。

禁止された業種港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院・診療所での医療業務、弁護士・公認会計士・税理士などの士業、建築士事務所の管理建築士など他の法令で禁止されている業務、人事労務関係で労使協議の際、経営者側の直接当事者として行う業務
当面の間禁止物の製造

2000年の改正:紹介予定派遣制度の導入

2000年の改正では、正社員雇用を促進するために「紹介予定派遣」が解禁されました。

紹介予定派遣とは、派遣先企業に直接雇用されることを前提に、最大6ヶ月間派遣社員として就業し、企業と本人が合意した場合に、直接雇用として採用されるシステムです。

お互いを見極める期間があるため、派遣先と労働者のミスマッチを防ぐことができ、直接雇用のさらなる増加が期待できます。

2004年の改正:派遣期間延長

2004年の改正では、1999年に原則自由化された業務の派遣期間が1年から3年に延長されました。さらに、当初ポジティブリスト方式で指定されていた26業務の派遣期間は無制限に。

禁止業務とされていた「物の製造の業務」は、派遣期間1年の制限で可能となりました。

2006年の改正:医療従事者への派遣適用

2006年の改正では、医療関係業務で産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の業務と、医師の確保が困難な僻地に限り、労働者派遣が解禁されました。

医療関係者の仕事と家庭の両立支援や、医療不足の解消を観点として解禁された制度です。

2007年の改正:物の製造業務の派遣期間延長

2004年に「物の製造の業務」の派遣が解禁されましたが、派遣期間は最長1年間という制限がありました。現場のニーズから、2007年に派遣期間が1年から3年に延長されました。

2012年の改正:法名称の変更

2012年の改正では、16業務から28業務に整頓、日雇い派遣の原則禁止、グループ企業内派遣の規制、離職者を1年以内に派遣労働者として受け入れ禁止、派遣料金と派遣賃金差額情報公開の義務化

など、これまでの規制緩和の流れから一転し、規制を大きく強化しました。

ここで法律の正式名称が「労働者派遣業の適正な運用の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に変更され、派遣労働者の保護を目的とした法改正が行われるようになります。

2015年の改正:派遣業務許可制導入・派遣期間一律3年

2015年の改正では、さらなる労働者保護のためにいくつかの改正が行われました。

1つ目は「すべての派遣事業を許可制」としたことです。以前までは、派遣事業を始める際には「許可制の一般労働者派遣事業」もしくは「届出制の特定労働者派遣事業」の2つがありました。

しかし、一般労働者派遣事業の許可要件を満たせず、特定労働者派遣事業と偽り、一般労働者派遣事業を実施している事業者がいたことが問題視されていました。こういった問題を無くし、派遣事業の健全化を目指すために、すべての派遣事業を許可制として「キャリア生成支援制度をもつこと」を許可要件に追加しました。

2つ目は「派遣期間を原則一律上限3年」としたことです。これまでは、専門26業務の派遣期間は無制限、それ以外の業務は最長3年の制限がありました。しかし、業務によって派遣期間が異なることで現場での混乱が起こったり、制限から逃れるために専門26業務と偽ることが問題視されました。

そこで、個人単位および事業所単位の期間制限に変更し、専門26業務(現28業務)に関わらず、全て統一することとなったのです。

他にも、派遣労働者に賃金の情報提供、教育訓練など均衡待遇確保への配慮、派遣終了時の派遣労働者の雇用安定措置、派遣元からスタッフへの教育訓練が義務付けられました。これらの義務違反に対しては、許可の取り消しを含めて厳しく指導されるようになっています。

改正労働者派遣法(2021年)のポイント

ここ数年、大きな改正が続いている労働者派遣法。2021年には、デジタル化の流れや実効性を持たせるため、1月と4月に施行規則が改正されました。

2021年に行われた労働者派遣法改正のポイントは全部で6つあります。

教育訓練計画説明の義務付け

従来の待遇に関する説明の義務化に加え、派遣元事業主が実施する「教育訓練計画」の説明と、希望者に対するキャリアコンサルティングの内容説明が義務付けられました。

派遣労働者は、雇用契約期間に限りがあるため、ひとつの職場に腰を据えてキャリアを積む働き方ができません。そのため、派遣労働者がキャリアパスを歩んでいけるよう、キャリア形成支援の充実を図る狙いがあります。

派遣契約書の電磁的記録を認める

これまで、派遣労働者への労働条件などの明示はメールやSNSによる送信が認められていましたが、派遣先と人材派遣会社が交わす労働者派遣契約については、書面で作成する必要がありました。

今回の改正により、企業間の契約においても電子化が認められたということです。これにより、派遣社員の契約更新の際など、さらなる業務効率化が期待できると言えるでしょう。

派遣先における、派遣労働者からの苦情の処理について

派遣労働者から、労働関係上(労働基準法・労働安全衛生法・育児休業・介護休業)に関する苦情があった場合、派遣先企業も誠実かつ主体的に対応する義務が設けられました。

これまで派遣労働者の苦情は、派遣先ではなく派遣元である人材派遣会社に寄せられることは珍しくありませんでした。実際に、内容を十分に把握しないまま苦情処理をするケースも多くあったようです。

このような実態を踏まえ、派遣元に苦情処理を任せればよいといった考えを戒めるため、今回の改正がなされました。

日雇派遣の契約解除に対する休業手当について

日雇い派遣において、派遣労働者に落ち度や過失がなく契約解除になり、派遣元が新たな就業先を確保できなかった場合、休業手当を支払い雇用の維持に努めることとされました。

ただし、派遣先企業の都合による契約解除の場合、派遣先企業は派遣元に休業手当以上の補償額を支払う必要があります。

雇用安定措置に関する派遣労働者からの希望の扱い

雇用安定措置に関して、派遣労働者からの希望の聴取(ヒアリング)を行い、派遣元管理台帳に記すことが義務化されました。

雇用安定措置とは、課などの同一組織に3年間就労する見込みがある派遣労働者に対して、派遣就労後の雇用を継続するための措置のことです。派遣会社は、以下のいずれかを講じることを義務付けられています。

  • 派遣先企業への直接雇用の依頼
  • 新たな派遣先の提供
  • 派遣先企業での無期雇用への切り替え
  • その他安定した雇用の継続を図るための措置

マージン(=派遣先会社から派遣元会社に支払われる紹介料や派遣手数料)率等の開示

マージン率は、以前は非公表とする派遣会社がほとんどでしたが、今回の改正にてインターネットなどによる公開が原則化されました。

マージン率の他にも、派遣先事業所の数、派遣料金の平均額、派遣労働者の賃金の平均額などの情報も公開されます。

派遣会社としてだけでなく全ての人に

労働者派遣法は、派遣会社としてだけではなく「派遣元・派遣先・派遣スタッフ」など派遣事業に携わるすべての人に関わる法です。

労働者派遣法は頻繁に改正される法律であるため、2021年に発表された労働者派遣法改正についてもしっかりと把握しつつ、今後も労働者派遣法の改正に注目しましょう。

ブレイン・ラボからも、定期的に労働者派遣法改正のポイントについて解説しますので、ぜひ今後の人材派遣事業に活かしてください。

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