お役立ちノート 営業入門

キャリアアドバイザーが面談で求職者の魅力を引き出すコツを解説

転職を希望する求職者にとって、キャリアアドバイザーは、非常に重要な役割を果たします。なぜなら、キャリアアドバイザーは、求職者の希望条件のヒアリングや求人紹介だけでなく、適職探しのアドバイスや、キャリア形成のためのプランニング、コンサルティング、面接指導や職務履歴書作成サポートといった求職者の転職パートナーとしての役割も期待されているからです。

求職者との面談を通じて求職者の魅力を引き出し、ひとりひとりに合った適切なクライアント企業とのマッチングを実現するためには、キャリアアドバイザーの面談スキルを高める事が必要です。

そこで今回は、キャリアアドバイザーが面談で求職者の魅力を引き出すコツを解説します。人材紹介事業を運営する方は、ぜひ参考にしてください。

人材紹介事業におけるキャリアアドバイザーとは?

人材紹介事業におけるキャリアアドバイザーは、転職希望者に対して、キャリアプランの提案や適職探しのアドバイス、転職先の紹介などを行い求職者と求人企業との適切なマッチングを実施します。また、キャリアアドバイザーは人材紹介事業者だけでなく、人材派遣会社や求人サイト運営会社、大学や専門学校の就職課などで活躍していて、それぞれ期待されている役割が異なっています。

キャリアアドバイザーの役割

人材紹介事業におけるキャリアアドバイザーの役割は、大きく2つに分けることができます。

1つは初回面談対応です。求職者との面談を通じて転職希望条件の確認やキャリアプランや転職活動全般についてのアドバイスを実施します。初回面談は1時間程度で実施されることが多く、限られた時間で「求職者の情報をただ聞き出す」だけでなく、「いかにして信頼を得るか」が非常に重要となります。

そしてもう1つは初回面談実施後の転職サポート活動です。初回面談で確認ができた求職者の希望条件やキャリアプランをもとに、追加での求人提案や応募対応、面接の対策など、転職活動の成功に向けてのサポートを実施します。

キャリアアドバイザーと求職者との面談について

キャリアアドバイザーが求職者と面談する目的や内容を解説します。

面談の目的

キャリアアドバイザーが求職者と面談を行う目的は、求職者の転職の目的を聞き出し、求職者にマッチした求人を提案することだけでなく、「求職者が自分では気づいていない魅力を引き出すこと」にあります。

求職者がどのような求人を希望しているかだけでなく、求職者の職歴や保有する資格、これまでのキャリアや実績なども聞き出しながら、求職者自身のストーリーを深くヒアリングします。

この面談を通じて、キャリアアドバイザーが求職者のキャリアの棚卸しを行い、求職者の魅力を最大限引き出すことができれば、求職者が転職活動の成功に大きく近づくことができます。

面談の内容

キャリアアドバイザーと求職者との面談は、両者の信頼関係を築きながら、求職者の転職理由や希望、スキル、キャリアプランなどを聞き取り、求人企業の求める人材像にマッチするかを見極めるために行われます。

そのため初回の面談では、求職者の希望や適性、スキル、経歴などを詳しくヒアリングし、求職者の転職条件について確認を行います。

面談にあたっては、求職者との信頼関係を築くことが大切であり、求職者に自己開示を行うことで求職者の不安を払拭し、信頼感を持ってもらうことが大切です。

キャリアアドバイザーは、面談で収集した求職者の情報を精査し、希望する条件の求人を紹介します。求職者が希望する職業や企業に応募する際に、足りないスキルや取得すべき資格があればアドバイスを行ったり、提出する履歴書や職務履歴書の書き方や面接対策の実施をしたりもします。

面談当日までに求職者に準備してもらうもの

キャリアアドバイザーと求職者が面談を行う際には、求職者に以下の準備をしてもらうのが一般的です。これらを基に、キャリアアドバイザーが面談を実施して求職者へ提供する転職サポートの方向性を明確にしていきます。

求職者の履歴書

履歴書と職務経歴書は、転職活動において選考時に提出する必要がある書類です。履歴書と職務経歴書の違いは、役割と用途にあります。

履歴書とは、応募者のプロフィールを確認するための書類で、市販されている紙の製品やweb上で取得できるフォーマットによって異なる項目が設けられていますが、特に形式が定められていないので、どれを使用しても選考に問題はありません。

氏名、生年月日、現住所、学歴、職歴、資格・志望理由・自己PRなどを記載するのが一般的となっています。

求職者の職務経歴書

職務経歴書についても決められた形式はありません。職務経歴書は、これまでの業務経験と仕事に活かせるスキルを確認するための書類です。

職務経歴書には、会社名、部署名、役職、業務内容、業績、スキル・資格などを記載するのが一般的です。職務経歴書では、実績や成果を具体的に記載し、仕事のスキルや経験をアピールすることが重要となります。

キャリアプラン

キャリアアドバイザーと求職者との面談では、求職者が今後どのようなキャリアプランを考えているかを聞き出すことも重要です。

キャリアプランとは、将来的に自分がどのようなキャリアを目指し、どのようなスキルを身につけたいのかを明確にした上で、その目標に向けて計画を立てることを指します。

転職活動を行うにあたって、キャリアプランは求職者自身の将来のキャリアに対するビジョンを明確化するために重要です。

例えば、自分が将来的にどのような仕事をしたいのか、どのようなスキルを身につけたいのかなどです。そして、その目標に向けてどのようなステップを踏む必要があるかを考え、計画を立てることが必要となります。

ただ、人材紹介サービスへ登録する求職者の中には、キャリアプランが明確になっていない方もいます。キャリアアドバイザーは、キャリアプランが明確でない求職者に対しては面談を通して、キャリアプラン作成のサポートに通じるようなアドバイスも行うとよいでしょう。

転職希望条件

初回の面談では、求職者が転職したい業界や職種や年収・休日・勤務地などの諸条件も確認します。

面談で確認した条件を基に求人の紹介を実施していくため、建前ではなく本音で希望条件を聞き出すことが非常に大切になります。そのためにも、面接前に予め希望条件を確認し、事前に面談の準備を行うことでより面談の質を高めることができます。

求職者との面談で確認すべきポイント

求職者との面談で確認すべきポイントを解説します。以下の項目を確認することで、転職サポートを行う上で、求職者とキャリアアドバイザーの認識齟齬を防いだり、求職者と求人企業とのミスマッチを低減したりすることができます。

転職活動の状況を確認する

キャリアアドバイザーと求職者の面談では、まず転職活動の状況を確認することが重要です。人材紹介サービスに登録する人の中には、今すぐに転職したい方もいれば、将来的に条件の良い転職先が見つかれば転職したいと考える人もいます。

そこで転職活動をどのように行い、いつまでにどのような転職をしたいのかを把握する必要があります。

また複数の人材紹介サービスを利用していることもあるため、同じ求人を重複して紹介しないように転職活動の状況を正確に確認することが重要です。

求職者のキャリアを棚卸しする

キャリアの棚卸しとは、求職者のキャリアの情報を整理することで、求職者自身の強みやキャリアプランを考えるきっかけづくりのために行います。

具体的には、求職者がどのような職務経験を積んできたのか、その中でどのような成果を出したのか、スキルや強みは何か等を確認したうえで、求職者が望むキャリアプランは何かといったことを整理していきます。

キャリアアドバイザーがキャリアの棚卸しを行うことで、求職者の強みやキャリアプランを明確にできます。また、履歴書や職務経歴書を作成する際にも非常に役立つでしょう。

求職者のポータブルスキルを明らかにする

キャリアの棚卸しができたら、次に求職者のポータブルスキルを顕在化します。

ポータブルスキルとは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのことです。求職者は、自身の経歴や実績・保有する資格などは明確に理解しているものの、それらが現職でのみ活かせるのか、それとも転職した後も有効に活かせるスキルなのかという判断まではすることができていません。

そこでキャリアアドバイザーが求職者の経歴やスキルなどを俯瞰し、転職後も有効なスキルや知識として顕在化し、求職者の転職活動の強みとして整理していきます。

求職者の転職理由を確認する

キャリアアドバイザーと求職者との面談では、求職者の転職理由を多角的に確認することも重要です。なぜ転職したいのかを様々な視点で確認することで、求人企業を紹介する際のミスマッチを少なくできます。

例えば現職の給与に不満がある求職者だからといって、実績が給与に反映されやすい業界や職種・企業を安易に紹介すべきでは無く、成果報酬で勤務したいのか、それとも安定して一定水準以上の収入があればよいのか、それはどんな背景(プライベート・環境の変化など)なのかを、寄り添って確認することで限りなくミスマッチを防ぐことができます。また、人間関係に悩んでいる、コミュニケーションが苦手と相談を受けた場合にも「それは今の職場だけなのか?」「特定の上司だけなのか」など、状況を正確に確認する事が必要です。

転職理由によって求職者に紹介すべき求人企業が大きく変わるため、キャリアアドバイザーは思い込みや固定観念を捨てて、複眼的に事実を確認することが重要です。

求職者のキャリアプランを確認する

求職者のキャリアプランを確認することは、求職者の将来的な成長のために重要な役割を果たします。

求職者が自分の将来について考えているかどうか、自分自身に明確な目標を設定しているかどうか、そしてその目標を達成するために必要なスキルや経験を持っているかどうかを把握することができます。

そこでもし求職者に足りないスキルや資格があればアドバイスを行い、求職者にとって最適な求人を紹介できるように時間をかけるべきか、転職先でどのような経験を積むべきかを明確にできるでしょう。

求職者の希望を聞く

キャリアアドバイザーが求職者の希望を聞くことは、求人を紹介する上で基本的な項目です。特に、就業条件・休日・年収などはどの求職者にとっても大切なポイントとなる条件については聞き逃しや認識齟齬が無いようにかつ、曖昧にせず正確にヒアリングをします。このような基本項目を当たり前のように正確に聞き取ることは求職者との信頼構築のための第一歩となります。

求職者との面談の流れ

求職者との面談の流れを解説します。

面談前に求職者の情報を提供してもらう

面談期日が決まれば、面談前に求職者の情報を提供してもらいます。履歴書や職務経歴書について、事前にデータで受け取ることが一般的になっています。一部郵送か持参して提出されるケースもあります。

面談を実施する

面談方法については、オンラインでの実施が増えてきています。以前は来社での対面面談が基本となっており、電話やオンラインの面談が少数派でしたが、新型コロナウイルス拡大の影響でテレワーク導入が進んだことから、オンラインで面談を実施する人材紹介事業者が増えて来ています。求職者自身もテレワークにより、オンライン面談の方が時間がとりやすいということも、オンライン面談増加の要因の一つとなっています。

求職者が話しやすい雰囲気の醸成

面談開始時はお互いに緊張していることが多く、求職者が話しやすい雰囲気をキャリアアドバイザーの方から作り上げることが大切です。例えば、自社(紹介会社)の紹介・キャリアアドバイザー自身の経歴や得意な領域などを簡潔に伝えたり、スカウトサイトなどでエントリーいただいた求職者であれば、web経歴書のどこに魅力を感じたかなど、進んで自己開示をしていくことで、求職者が話しやすい雰囲気が自然と構築されていきます。

求職者へのヒアリング

面談では希望する求人の条件だけでなく、今回の転職理由や目的に加え、今までの経験や過去の転職理由など、可能な限りの情報を引き出していきます。

求職者の性格によっては自ら話すことが苦手な方もいますので、相手に合わせたスタイルで面談を実施し情報の不足が無いように潜在的な情報も引き出せるようにヒアリングします。

求職者へのアドバイス

求職者の情報を充分に引き出すことができたら、つぎはキャリアアドバイザーからの求人情報の提供やアドバイスを行います。ただし、求職者によって必要な情報が違いますので、面談をしている求職者にとって有益な情報のみをわかりやすく伝えることが重要です。

専門用語を多用したり、求職者が希望しない情報を無理に話すことのないように注意しましょう。

信頼関係の構築に努める

キャリアアドバイザーは、求職者との信頼関係を構築することが最も重要です。そこで求職者との信頼性を担保するために、求職者に寄り添ったアドバイスや転職指導を行いましょう。話を聴いている際に適度に相槌を打つ・感情に共感するなど、同調の態度を取ることも有効です。

また、個人情報についての扱いや、信頼できる求人企業であることなどを伝えることも大切です。

面談後のフォローアップを行う

面談終了後は、次のアクションをどのように行うかを明確にして求職者と共有します。すぐに転職したい求職者には求人企業の紹介へ進みますが、すぐに転職しない方や希望の求人が紹介できなかった場合は、面談時で話したキャリアの棚卸しやキャリアプランについて再度共有し、継続的なフォローを約束していきます。

メールなどで、面談実施のお礼と面談内容の簡易的な議事録を送信することもおすすめです。お互いの共有認識を持って進めて行くことが先の転職活動で重要になってきます。

一方で、「自社の強みとマッチしていない」あるいは「自社で保有していない」求人を希望されていたり、どうしても継続フォローが難しいケースも一定数存在します。そういった場合は、求職者に過度な期待を持たせる事の無いように自社で「できること」と「できないこと」を言葉を選びながら丁寧にお伝えし、期待値の調整を行うことも必要です。

求職者に適切な企業を紹介する

面談終了後、すぐに転職活動を希望する求職者に対しては、面談でヒアリングした情報を基に適切な求人企業を紹介、マッチングします。また、面接に同席したり、選考段階で年収・入社時期の交渉を行ったりするケースもあります。

キャリアアドバイザーが求職者との面談で注意すべきポイント

キャリアアドバイザーが求職者との面談で注意すべきポイントを解説します。

求職者の本音を引き出す

初めて転職活動を行う求職者の中には、キャリアアドバイザーとの面談に緊張する方も多くいます。面談の導入時にアイスブレイク等を取り入れ、話しやすい雰囲気をキャリアアドバイザー側が作り出すことが必要です。

※アイスブレイクとは、雑談などを通じて相手の緊張をほぐしてから本題に入る方法です。例えばキャリアアドバイザーと求職者がお互いに自己紹介して、共通点を見つけて信頼度を高めるといった方法があります。

アイスブレイクに決まった手法はないため、求職者に合わせた方法を取り入れましょう。

求職者に合わせて話をする

求職者と話しを進める際は、一方的にならないようにすることが大切です。そこで、基本的には求職者に合わせて話をすすめるのが良いでしょう。

注意すべき点は、話すペースや声のトーン、大きさなどで、威圧的になるのはもちろんNGですし、キャリアアドバイザーが長く話すのも良くありません。

キャリアアドバイザーが主導しながら、できるだけ求職者が話しやすい環境を作りましょう。

キャリアアドバイザーとしての知見を織り交ぜて話す

面談で話す時は、キャリアアドバイザーとしての知見や経験を織り交ぜて、できるだけ具体的にわかりやすく話すことが大切です。その際も、専門用語を多用したり、わかりにくい表現をしたりしないように注意しましょう。

例えば、求職者のキャリアを聞いて、これまでのキャリアアドバイザーの経験から〇〇業界へ転職して成功している人が多い。また、興味があれば〇〇のような求人があるけどどうですか?といった新しい視点を提供することで、求職者がより積極的に転職活動を行う可能性があります。

キャリアアドバイザーが面談で求職者の魅力を引き出すコツのまとめ

このようにキャリアアドバイザーが面談で求職者の魅力を引き出すためには、準備段階から実施までに多くのポイントがあります。

今回ご紹介している内容は、ほんの一例ではありますが基本的で効果が出やすいポイントです。各人材紹介事業者毎に、面談のスタイルが違っては来ると思いますので、自社の組織やメンバーのスキル状況に合わせて取り入れることで無理なく、面談の質を向上させることが期待できます。

もしキャリアアドバイザーと求職者との面談や、キャリアアドバイザーの教育などでお困りの方は、いつでもブレイン・ラボにご相談ください。

ブレイン・ラボでは事業の立ち上げ相談会の実施や、提携する社労士事務所の紹介も可能です。人材紹介業の立ち上げや、立ち上げ後の事業の進め方などに不安のある方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まずはお気軽に資料請求!

まずはお気軽に資料請求!

マッチングッドは、人材派遣会社の
工数削減・生産性向上を叶える
クラウド業務管理システムです

CTR IMG