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海外人材の採用に必要な日本語検定とは?入社決定に求められる検定難易度や採用要件の基準を解説!

少子高齢化が進む現代は、労働人口の減少による人手不足が大きな社会問題となっています。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2022年7月)」によると、正社員が不足していると回答した企業は全体の47.7%となっており、アフターコロナの経済活動が進めば、人手不足増加はさらに増加すると考えられます。

このような人手不足を解消するためには、外国人労働者が欠かせません。そこで人材紹介会社は、できるだけ早く外国人の人材紹介の準備を始める必要があります。

そこで今回は、外国人労働者が取得すべき「日本語能力試験(JLPT)」について、その難易度や採用要件の基準を解説します。これから外国人労働者の紹介事業を行う方は、ぜひ参考にしてください。

人材紹介会社における日本語能力試験の重要性

人材紹介会社における日本語能力試験の重要性について解説します。

外国人従業員の日本語能力の目標設定が必要

厚生労働省は、企業などで外国人従業員とその上司・同僚などが円滑にコミュニケーションを図れるように、外国人従業員の日本語能力を確認し、目標設定を行うことのできるツール「就労場面で必要な日本語能力の目標設定ツール」を開発しました。

人材紹介会社が外国人従業員を紹介する際にも、日本語能力の目安としてこのツールを活用することができます。

日本語能力試験(JLPT)による測定が一般的

日本語能力試験(JLPT)は、日本国内および海外において、日本語を母語としない人を対象として日本語の能力を測定し、認定することを目的として行われる試験です。この試験は、国際交流基金と日本国際教育支援協会によって運営されています。

人材紹介会社が外国人従業員の日本語能力を測定する際にも、JLPTの利用が一般的です。

日本語教育推進法に基づく日本語能力の要件

2019年6月に公布・施行された「日本語教育推進法」により、外国人労働者の日本語能力が求められるようになりました。

人材紹介会社が外国人従業員を紹介する際には、この法律に基づく日本語能力の要件を把握しておくことが重要です。

日本語能力試験(JLPT)とは

日本語能力試験(JLPT)は、外国人労働者の日本語レベルを測るための検定試験の1つです。

日本語能力試験は、N1からN5までの5つのレベルが設定されています。なお、N1が最も難易度が高く、平均合格率は30%程度です。

日本語能力試験は、国内で1年間に2回実施されていますが、海外でも受験可能で、世界中のさまざまな地域で実施されています。

2019年の日本語能力試験の受験者は100万人以上にのぼり、2020年以降はコロナ禍で若干の減少が見られたものの徐々に回復し、今後も増加傾向にあるようです。

このように、日本語能力試験は世界中で受験されている試験であるため、その結果が日本語の能力を証明する際に役立ちます。

日本語能力試験と日本語検定の違い

日本語の能力を測る検定には、上記で紹介した「日本語能力試験(JLPT)」と、よく混同されやすい「日本語検定」の2種類があります。

この2つの検定は、どちらも日本語のスキルレベルを判定する検定ですが、受検する対象者が異なります。

日本語能力試験は、日本語以外を母国語とする外国人を対象としており、主に外国人労働者の日本語能力を判定するために用いられているのが特徴です。一方、日本語検定の受験対象者は日本人が主体で、ビジネススキルの向上や生涯学習の1つとして活用されています。

そこで、外国人労働者が受験すべき主な検定を、以下で紹介します。

日本語検定の種類

以下は、外国人労働者の日本語能力を測る主な検定となります。これ以外にも検定の種類はありますが、コロナ禍が終息していないために試験の実施を中止している検定もあるため、注意が必要です。

  • 日本語能力検定(JLPT)
  • 実用日本語検定(J.TEST)
  • ビジネス日本語能力テスト(BJT)
  • 実用日本語運用能力試験(TopJ)
  • 日本語NAT-TEST
  • 生活・職能日本語検定(J-CERT)
  • 標準ビジネス日本語テスト(STBJ)
  • 実践日本語コミュニケーション検定(PJC)
  • 外国人日本語能力検定(JLCT)

上記のように、日本語検定はさまざまありますが、日本語能力検定(JLPT)のレベルを基準とするのが一般的です。

日本語能力試験(JPLT)のレベルの目安

以下では、日本語能力試験のレベルの目安について解説します。日本語能力試験(JPLT)のレベルは、N1が最も高く、順に難易度が下がります。

N1レベルは、日本語を話せる貴重な人材として企業から採用されやすくなりますが、その難易度はかなり高めです。そのため、まずはN5、N4を受験し、徐々にステップアップしていくのが一般的です。

そこで以下では、N5レベルの難易度の目安から順に解説していきます。

N5

日本語能力試験のN5は、基本的な日本語をある程度理解できるレベルです。

N5レベルの日本語を読む能力は、ひらがなやカタカナに加え、基本的な漢字で書かれた定型的な文章を読むことが可能なレベルです。また、聞く能力については、日常生活で交わされる短い会話から、必要な情報を聞き取ることができるレベルに設定されています。

このように、日本語を基本的に理解できるレベルといえますが、会話などのスピードによっては上手く聞き取れないこともあるでしょう。

N4

日本語能力試験のN4は、N5よりも一歩進んで基本的な日本語を理解できる程度のレベルとなります。

N4レベルの能力があれば、基本的な語彙や漢字で書かれた日常的な内容を、読んで理解できます。また聞く能力についても、日常的な会話であれば内容をほとんど理解可能なレベルです。

N4とN5のレベルの違いは、定型的な文章でなくても読んで理解ができること、また短い会話でなくても内容がほぼ理解できるという点です。

N3

日本語能力試験のN3は、日常的な場面で使われる日本語を、ある程度理解できるレベルです。

読む能力については、日常的な話題だけでなく、新聞の見出しなどからおおまかな情報を読み取ることができるレベルです。また、少し難易度の高い内容の文章についても、簡単な言い換えの表現を与えることで内容を理解できるでしょう。

聞く能力に関しては、自然な会話スピードでも具体的な内容を理解可能なレベルとなります。

N2

日本語能力試験のN2は、日常的な場面で使われる日本語の理解だけでなく、さらに幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できるレベルです。

新聞や雑誌の記事、評論文などの内容を理解することが可能です。さらに、話の流れや著者の表現意図などについても理解できるため、かなり高いレベルで日本語を読むことが可能といえるでしょう。

聞く能力については、日常会話だけでなく、ニュースなどの内容を聞きながら、登場人物の関係を理解することも可能なレベルです。

N1

日本語能力試験のN1を取得していれば、日常生活はもちろん、ビジネスシーンを含めた幅広い場面で使われる日本語を理解することができるレベルにあるといえるでしょう。

少々複雑な内容の文章が読めるだけではなく、抽象度の高い文章でも、その内容や構成を理解可能です。

また聞く能力に関しても、自然なスピードの会話の内容も理解できるため、日本人とほとんど同じ感覚で意思を伝えることができるでしょう。

ただし、文章や会話の内容が理解できるからといって、常に円滑なコミュニケーションが取れるとは限りません。特に日本語には曖昧な表現が多く、諸外国の言語や常識とは異なるところも大きいため、コミュニケーションを取る際には十分な注意が必要です。

外国人の日本語能力と働き方

上記のように、日本語能力試験(JPLT)の取得レベルによって、日本語の理解力が大きく異なることがわかります。日本語の能力が高くなれば、それだけ就業できる職種の幅が広がるため、語学力は外国人労働者の就業選択肢の拡充に重要な要素の1つと言えるでしょう。

そこで、以下では「外国人の日本語能力と働き方」について解説します。

日本語能力試験(JPLT)の取得によって出入国在留管理上の優遇措置がある

日本国内に在留する外国人労働者に対しては、日本語能力試験の取得レベルに応じて、出入国管理における優遇措置がなされます。これは、学歴や職歴、年収などに応じてポイントが与えられるもので、日本語能力試験の取得状況もポイントの対象となっています。

そのため、N1やN2などの日本語能力試験の上位レベルを取得することで「高度外国人材」に認定されやすくなり、さまざまな出入国在留管理上の優遇措置を受けられるのが魅力です。

出入国在留管理上の優遇措置の詳しい内容については「出入国在留管理庁(入管)のHP」をご確認ください。

現在は日本語能力試験(JPLT)にこだわらない企業も多い

上記のように、日本語能力試験の取得レベルを上げることは、外国人労働者が日本で働く際の大きな武器になると言えるでしょう。

しかし、日本語能力試験の取得やレベルにこだわらず、本質的な能力を重視して採用している企業も多くあります。

そこで外国人労働者を紹介する人材紹介事業者は、クライアントのニーズに合わせた人材を的確に把握・マッチングすることを心がけましょう。

日本語能力試験のレベルはあくまでも目安

日本語能力試験のレベルはあくまでも目安です。日本語能力試験を受けていないにもかかわらず、ネイティブなレベルの日本語を話せる外国人労働者もいます。日本語能力試験の有無だけではなく、実際に会話をしてどの程度日本語が話せるのかを確認することが大切です。

外国人人材紹介を行っている事業者は、求職者の日本語レベルを正確に把握するとともに、求人企業に対して「語学以外での魅力」も併せて伝えることで、求職者の採用合格の可能性を高めるサポートを行うことも求められています。

日本語検定のまとめ

このように、日本語能力試験の取得レベルは、あくまでも外国人労働者の日本語のスキルを判断する1つの目安でしかありません。そのため、日本語能力試験の取得レベルだけで人材の能力を判断することはおすすめできません。

応募する外国人労働者の本質的な能力や資質を見抜き、適切なクライアントとマッチングすることが人材紹介事業社にとって最も重要となります。

ブレイン・ラボでは事業の立ち上げ相談会の実施や、提携する社労士事務所の紹介も可能です。人材紹介業の立ち上げや、立ち上げ後の事業の進め方などに不安のある方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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