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有効求人倍率とは?人材紹介業界から見た職種別の推移を徹底解説

現代の国内の人材市場においては、少子高齢化による労働人口の減少や働き方の多様化などを背景に、企業が人材を確保することが非常に困難な状況が続いています。

このような状況下では、自社が求める優秀な人材を確保するために、企業と求職者の需要と供給バランスを正確に把握することが重要です。

そこで重要となる指標が「有効求人倍率」で、求職者1人あたり何件の求人があるかを示す指標です。

人材紹介業を運営するにあたっては、この有効求人倍率を注視しながら、人材市場において需要の多い人材をできるだけ多く確保する必要があります。

そこで今回は、人材紹介業界から見た職種別の有効求人倍率と推移について徹底解説します。人材紹介業を運営する方はもちろん、これから人材紹介業を開業しようとお考えの方も、ぜひ参考にしてください。

有効求人倍率とは

有効求人倍率とは、労働市場の状況を表す指標の1つで、全国の公共職業安定所(ハローワーク)の求職・就職の状況をまとめ、厚生労働省が毎月公表している求人数の倍率です。

有効求人倍率が高い場合は、雇用機会が多く、就職しやすい労働市場の状況を示します。逆に低い場合は、雇用機会が少なく、就職が困難な状況です。

有効求人倍率の計算方法

有効求人倍率は、企業がハローワークに出す求人の数(有効求人数)➗求職者の数(有効求職者数)で算出できます。

例えば、有効求人数が100件で、有効求職者の数が80人であった場合で計算すると、有効求人倍率が1.25倍となります。

一方、有効求人数100件に対し、有効求職者の数が200人であった場合で計算すると、有効求人倍率は0.5倍です。

上記の有効求人倍率が「1」を超える場合には、求人に対して応募が不足した状態であるため、就職しやすい状況です。逆に「1」を下回る場合には、企業の求人に対して仕事をしたい人の数が多いため、就職が難しい状態となります。

▲出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)について」より

上記のグラフを見て分かるように、平成26年に有効求人倍率が「1倍」を超えてからは、常に「有効求職者数」よりも「有効求人数」が多い状況が続いており、いわゆる人手不足の状態が続いています。

また、今後も労働者の数が減り続けると予測されているため、人材紹介業の需要も伸びる可能性が高いと言えるでしょう。

人材会社の立ち上げに「有望な業界」と「難しい業界」

2023年現在、新型コロナウィルスの蔓延が落ち着きを見せてきたとは言え、まだまだ先が不透明な状況が続いています。そのため、人材紹介業においても、新型コロナウイルスの影響を無視することはできません。

そこで以下では、人材会社の立ち上げに「有望な業界」と「難しい業界」について解説します。

人材会社の立ち上げに「有望な業界」

下記のような業界は、コロナ禍においても人材需要が堅調に推移しています。

IT業界

IT業界は、新型コロナウィルスの影響だけではなく、働き方改革やDXの推進により、一定の需要が確保されている業界です。

コンテンツ配信・ゲーム業界

コンテンツ配信やゲーム業界は、コロナ禍における巣ごもり需要が増加したことで業績を伸ばしています。

PCや周辺機器メーカー

PC・周辺機器メーカーは、リモートワークに移行する企業の増加を受け、業績を拡大しています。パソコンはもちろん、ソフトウェアなどの需要も拡大を続けており、エンジニアなどの専門人材の需要に対し、供給が追いついていない状況です。

製薬業界(医薬品・医療機器メーカー)

コロナ禍においては、医薬品や医療機器メーカー、製薬業界の求人も増加傾向にあります。それに伴い、マスクや医薬品を扱うドラッグストアの売り上げも好調です。

食品メーカーや食品小売業界(スーパー・コンビニエンスストア)

コロナ禍の外出自粛により、自宅や職場近くで買い物をしたり、自宅で食事をしたりする機会が増えたことで、食品メーカーはもとよりスーパーやコンビニエンスストアといった小売業界も需要が増加しています。

物流業界

コロナ禍でオンラインショップの利用が急増したことにより、物流量も急激に増加しました。そのため、トラックの稼働率が上がり、物流業界においても人材不足が続いています。

金融業界

コロナ禍において、求人数の回復が最も早かった業界の1つが金融業界です。特にネット型保険の需要の増加やネット銀行、ネット証券などの業績も堅調となっており、今後も即戦力人材の採用が見込まれます。

これから人材紹介業を立ち上げる際は、上記のような業界に特化することで、重要にマッチした運営を行うことができるでしょう。人材紹介業の立ち上げに関しては、ブレイン・ラボにご相談ください。貴社に合わせたソリューションを提供いたします。

人材会社の立ち上げが「難しい業界」

下記のような業界は、新型コロナウィルスの影響により、大きく需要を減らしており、回復に時間がかかると見込まれます。

外食業界

新型コロナウィルス蔓延による緊急事態宣言を受け、大きな打撃を受けたのが外食産業です。一部の宅配事業やフードデリバリー事業の業績は伸びている傾向にありますが、原材料や光熱費の急騰などもあり、業界全体でみるとまだまだ厳しい状況が続いています。

旅行・宿泊業界

新型コロナウイルスの影響が大きかった業界は飲食業だけではありません。旅行や宿泊業界も大打撃を受けた業界の1つです。

国内のホテルや旅館の経営破綻が相次ぎ、経営の立て直しに向けて人員を削減する企業も少なくありません。

娯楽・サービス業界

大型テーマパークをはじめ、人々が「密集状態」となりやすいコンサートや演劇などの娯楽産業も、非常に厳しい状況が続いています。

小売業界(百貨店・アパレル)

新型コロナウィルスは、百貨店やアパレルなどの小売業界にも大きな影響を与えました。新型コロナウィルスの影響を受ける前から右肩下がりの状況が続いていた百貨店をはじめ、大手アパレルメーカーなどの倒産も増えています。

製造業

厚生労働省の調査によると、新型コロナウイルスの影響を受け、製造業における失業者は1万人を超えたと報告されています。

2023年の全国都道府県別の有効求人倍率

下記の表は、人材紹介業における「全国都道府県別の有効求人倍率」を示しています。

(注1)新規学卒者を除きパートタイムを含む。

(注2)ハローワークインターネットサービスの機能拡充に伴い、2021年9月以降の数値には、ハローワークに来所せず、オンライン上で求職登録した求職者数等が含まれている。

▲出典:労働政策研究・研修機構「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」より

上記から分かるように、一部の地域を除き、コロナ禍においても人材不足が進んでいます。

2022年の人材紹介業における業種別の有効求人倍率と推移

転職サイトdodaより

上記の表からも分かるように、業種によって有効求人倍率に大きな差があることがわかります。人材紹介業を運営するにあたっては、できるだけ有効求人倍率の高い業種の人材を集めることが重要です。

有効求人倍率の低下が人材紹介に与える影響

有効求人倍率とは、求職者数と、企業の求人数の比率のことです。そのため、有効求人倍率が低下している職種については、求職者が多く、企業の募集が少ない状態です。

このような職種の人材紹介を行う場合は、以下の影響が生じる可能性があります。

マッチングが難しくなる

有効求人倍率の低下は、企業が募集するポジションが減少を意味するため、人材紹介のマッチングが難しくなります。

競争の激化

有効求人倍率の低下により、候補者が増えて、採用ポジションが減少するため、人材紹介会社間の競争が激化する可能性があります。

低コスト競争

有効求人倍率の低下によって、競合他社との競争が激化するため、人材紹介会社が運営コストを抑えるための措置を講じる必要性が高まります。これにより、サービスの質が低下する可能性もあります。

収益の減少

人材紹介会社が取り扱う案件が減少するため、収益が減少する可能性が高くなります。

有効求人倍率の低下によって、上記のような影響が懸念されます。そこで各人材紹介会社においては、優れたサービスを提供して顧客との信頼を構築し、競争優位性を確保することが重要となります。

また前述したような、人材不足が顕著な分野に特化した人材紹介事業を展開するのも、非常に有効です。ただし人材不足が問題となっている分野においては、人材そのものが少ないため、人材をどのように確保するかという課題があります。

人材紹介会社が取り組むべきこと

今後の人材紹介業界において、人材紹介会社が取り組むべきことは次のようなものがあります。

採用市場を見極める

人材紹介業で最も大事なことは、まず「需要の高い分野の人材を集めること」です。今後も伸び続けると見られるIT業界や物流、金融業界などで通用するIT・DX人材などは、非常に有望な分野と言えるでしょう。

テクノロジーを活用する

人材紹介プロセスを自動化することで、効率性の向上に期待できます。また、求人データベースを活用することで、クライアント企業と求職者のニーズに合ったマッチングを行うことも可能です。

求人企業や求職者との信頼関係を構築する

求人企業や求職者との信頼関係を構築できれば、競争優位性を確保でき、安定した運営が可能となります。

専門性の向上

特定の業界や業種に精通した専門性を向上させることで、求人企業や求職者のニーズに合ったマッチングを行うことができます。また、専門知識を活用して、クライアント企業に対するアドバイスを提供することも可能です。

人材紹介会社においては、人材市場で優れたサービスを提供するために、フリーランス人材などを積極的に活用して競争力の向上に努めることが重要です。

有効求人倍率の注意点

有効求人倍率は、時期や地域によって異なりますので、比較する際は同一の時期や地域を対象とすることが重要です。また、ハローワークのデータを基準として算出されているため、労働市場全体を反映したものではない場合があります。そこで、個別の就業市場の状況を確認することも大切です。

また就業に際しては、個人のキャリアや、正規雇用と非正規雇用などの個別要因も考慮する必要があります。そのため、有効求人倍率については、個別の要因を考慮して判断する必要があると言えるでしょう。

有効求人倍率のまとめ

このように、有効求人倍率は、人材紹介業を運営する上で非常に有用な指標の1つです。ただし、全ての人材市場の情報を反映しているとは言えないため、さまざまな業界のデータや情報を加味しながら判断することも大切です。

もし人材紹介事業をこれから立ち上げる場合には、ぜひブレイン・ラボにご相談ください。ブレイン・ラボでは、事業の立ち上げ相談会の実施や、提携する社労士事務所の紹介も可能です。人材紹介業の立ち上げや、立ち上げ後の事業の進め方などに不安のある方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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