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(テンプレート付き)人材紹介基本契約書のテンプレート|書き方や注意点を詳しく解説 

労働人口の減少や働き方改革などの影響により、現代社会では、働き方の多様性が求められるようになりました。

このような社会変化の中で、企業が優秀な人材を獲得するために、人材紹介会社を通じた即戦力人材を採用する機会が増えています。

そこで必要となるのが、人材紹介会社と求人企業が契約を結ぶ際に締結する「人材紹介基本契約書」です。

人材紹介基本契約書は、人材紹介に関する重要情報が記される書類であるため、必要事項を漏れなく記載する必要があります。

そこで今回は、人材紹介基本契約書のテンプレートの入手方法をはじめ、契約書の書き方や注意点も詳しく解説します。

これから人材紹介業を開業する方はもちろん、すでに開業している方も、ぜひ参考にしてください。

人材紹介基本契約書とは

人材紹介基本契約書とは、人材紹介会社と求人企業との間で結ぶ契約書のことです。

人材紹介基本契約書には、人材の紹介手数料や返金に関する規定だけでなく、求職者の個人情報の取り扱いなども記載します。

また人材紹介基本契約書の作成については、人材紹介会社が作成を行い、求人企業が内容に合意すれば契約に至るのが一般的です。

この人材紹介基本契約書は、人材紹介を行う際のベースとなる契約内容をほぼ全て記載する必須書類となるため、必ず作成します。

人材紹介基本契約書のテンプレート

人材紹介事業を行う際に必ず必要となる人材紹介基本契約書を作成する際は、契約情報を漏れなく明記するために、人材紹介基本契約書のテンプレートを活用しましょう。

人材紹介基本契約書のテンプレートに関しては、人材紹介を専門とする『DiSPA!』のWebサイトからダウンロードできる「人材紹介基本契約書」がおすすめです。

またDiSPA!では、人材紹介会社向けに、さまざまな書類のテンプレートをご用意しております。

人材紹介会社向けのテンプレートは、DiSPA!の「帳票テンプレート」のページ内「人材紹介会社様向けテンプレート」からダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

人材紹介基本契約書の記載事項と書き方

人材紹介基本契約書の記載事項には、主に次の10項目があります。

職業安定法では人材紹介会社が求人企業に対して、一定事項を明示することが義務付けられています(職業安定法32条の13、同法施行規則24条の5第1項)。

そこで、下記の項目を網羅することにより、契約後の求人企業とのトラブルを予防できるでしょう。

  1. 契約者名
  2. 取扱職種の範囲
  3. 人材紹介会社へ採用募集活動を委託する旨
  4. 報酬額、報酬計算式、報酬発生日
  5. 返還金の規定
  6. 苦情の処理に関する事項
  7. 個人情報取り扱い、求人情報の開示ルールなど
  8. 秘密保持
  9. 反社会的勢力の排除
  10. 合意管轄

人材紹介基本契約書の書き方については、上記の項目を基に、詳しく明記することが大切です。以下で各項目について詳しく解説します。

1.契約者名

契約者名を記載する際は、甲・乙で双方を示します。

甲欄を求人企業、乙欄を人材紹介会社とするのが一般的です。

2.取扱職種の範囲

人材紹介基本契約書において、取扱職種の範囲を「取扱職種は、全職種(港湾運送業務及び建設業務を除く)、取り扱い地域は国内とする」と記載するのが一般的です。

3.人材紹介会社へ採用募集活動を委託する旨

人材紹介基本契約は、求人募集する企業が「人材紹介業務」を人材紹介会社に委託する、業務委託契約となります。

そのため人材紹介基本契約書においては、委託する業務の内容を必ず契約書に定めておく必要があります。

ただし、人材紹介基本契約書においては、業務の内容として定められるのは「甲が別途指定する採用条件を満たす人材を乙が甲に紹介する業務」というような、抽象的な文言となるのが一般的です。

4.報酬額、報酬計算式、報酬発生日

人材紹介基本契約書においては、求人企業が人材紹介サービスを利用する際の報酬についても明記しておく必要があります。

報酬に関する要件については、報酬が発生する条件と、報酬の算定方法を明記します。

なお、報酬の相場としては「紹介した人材の理論年収の30〜35%」が一般的です。

また特殊専門職や経営職などのハイクラス人材の場合は「理論年収の40%」といった高めの設定となる場合もあります。

5.返金の規定

人材紹介基本契約書には、人材紹介会社が紹介した人材が、求人企業に無事入社した後の一定期間内に退職した場合、報酬の一部または全額を返金するといった内容の条項を定めるのが一般的です。

なぜなら、人材紹介に対する報酬は高額であるケースが多く、もし報酬を支払ったにもかかわらず採用した人材が早期に退職すると、採用企業に大きな経済損失を与える可能性があるからです。

そこで、一定期間内に退職した場合の報酬返金規定については、人材紹介を行う企業として必ず契約書に定めておきましょう。

返金の対象となる期間や、返金する報酬額の割合は、人材紹介会社によって異なります。そのため契約時に、人材紹介会社と求人企業の双方で、しっかりと確認しておくことが大切です。

6.苦情の処理に関する事項

人材紹介基本契約書には、求人企業や求職者から苦情の申し出があった場合の責任者を明記します。

苦情処理の責任者、求人者情報の取り扱い者及び個人情報の取り扱い者は、基本的に厚生労働大臣に届出を行っている人材紹介会社に在籍する職業紹介責任者となります。

7.個人情報取り扱い、求人情報の開示ルールなど

人材紹介会社は、求職者の個人情報を取り扱うため、個人情報の漏洩を防止し、厳格に管理する旨の規定を記載しなければなりません。

8.秘密保持

人材紹介業務を通して、人材紹介会社と求人企業は、双方の秘密に関する情報を互いに保持する必要があります。

そこで、守秘義務があること及び守秘義務の範囲外となる情報についても明記しておくようにしましょう。

9.反社会的勢力の排除

近年は、企業のコンプライアンスを重視する姿勢が社会的に強く求められています。

そこで双方の企業が、反社会的勢力による被害を防止するための対策として、契約書に反社会的勢力の排除を表明しておくことも大切です。

10.合意管轄

人材紹介事業を行うに際しては、人材紹介会社と求人企業との間で、何らかの訴訟問題が発生する可能性がないとは言えません。

このような場合に備えて、どこの裁判所で裁判をするかを合意しておく必要があります。

記載する裁判所に関しては、人材紹介会社の近くか、双方の中間にある裁判所を記すのが一般的です。

人材紹介基本契約書を作成する際の注意事項

以下では、人材紹介基本契約書を作成する際の注意事項をまとめていますので、ぜひご確認の上でテンプレートをご活用ください。

紹介報酬の金額について

人材紹介の報酬(手数料)には「受付手数料」「上限制手数料」「届出制手数料」「求職者手数料」があり、それぞれ徴収できる価格条件が異なります。

多くの人材紹介事業者においては「届出制手数料」の活用が一般的となっており、手数料額は「厚生労働大臣に届け出た手数料表の額」に相当する金額を徴収できます。

ただし、厚生労働大臣に届け出をすればいくらでも手数料がとれるというわけではなく、50%が現在の上限です。しかし、実際に50%の手数料率を採択している事業者は少なく、相場は30%〜35%程度となっています。

▲参考:厚生労働省の手数料に関する資料より

紹介手数料の発生タイミングについて

人材紹介の手数料が発生するタイミングは、人材紹介事業者によって異なります。

一般的には、紹介した人材の内定日を手数料発生日とする場合と、入社日を手数料発生日とするケースがあります。

人材を採用する雇用契約に関しては、求職者と採用企業が書面で契約書を取り交わす必要があるため、労働契約書に記載されている入社日を基準にするのがおすすめです。

早期離職時の返金規定について

人材紹介基本契約書では、紹介手数料の発生と同時に、返金規定についても決めておかなくてはなりません。そこで、下記のような規定を設けるのが一般的です。

返金規定の事例

入社後1週間未満で離職した場合…100%返金

入社後1週間以上1か月未満で離職した場合…80%返金

入社後1か月以上3か月未満で離職した場合…50%返金

上記のように、日数と返金率を段階的に設定するのが一般的です。

紹介先の企業や業種によっては半年や1年後の退職でも返金を請求してくるケースもあるため、どのように対応するかについて、事前に検討しておくことも大切です。

紹介した人材と直接接触を防止する罰則規定

求人企業の中には、人材紹介会社から紹介された人材に対して独自に直接アプローチを行い、人材紹介会社への手数料を支払わない悪質なケースも稀にあります。

人材紹介会社の報酬は高額となるケースが多いため、このような不正行為は決して許されません。

そこで、求人企業が紹介した人材と直接接触したときの罰則規定を設けておくのがおすすめです。

求職者の所有権について

人材紹介会社が求人企業に人材を紹介した後で、すぐに採用に至らなかった場合は、紹介してから一定の期間はその求職者に対する所有権を持つことを規定し、明記しておくと安心です。

所有権の規定とは、人材紹介会社から紹介したタイミングでは採用に至らなかったとしても、所有権を保有している期間に同企業への採用が決まった場合に、紹介手数料を徴収できる仕組みです。この所有権を主張できる期間は、1年間が目安となります。

人材紹介基本契約書の締結方法について

人材紹介基本契約書を締結する際は、紙媒体の書面契約と、電子契約のどちらかの手法をとるのが一般的です。

なお、書面契約の場合は、契約書を2部製本し、割印や捺印をして郵送しなければなりません。そこで、電子契約の利用がおすすめです。

電子契約を行う際は、人材紹介会社向けの管理システム「CAREER PLUS(キャリアプラス)」で管理するのがおすすめです。

契約書や帳票類をシステム管理することで、保管や管理もスムーズで簡単にできます。

人材紹介基本契約書に収入印紙について

人材紹介基本契約書に関しては、印紙税法の課税物件に該当しないため、収入印紙の貼り付けは不要です。

人材紹介基本契約書テンプレートのまとめ

上記のように、人材紹介基本契約書は、人材紹介会社が求人企業との契約を締結する際の必須書類の1つです。

そこで人材紹介基本契約書をしっかりと作成するために、人材紹介を専門とする『DiSPA!』のWebサイトからダウンロードできる「人材紹介基本契約書」をおすすめします。

また『DiSPA!』のWebサイトからは、その他のさまざまな帳票類もダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

それ以外にも、ブレイン・ラボでは事業の立ち上げ相談会の実施や、提携する社労士事務所の紹介も可能です。人材紹介業の立ち上げや、立ち上げ後の事業の進め方などに不安のある方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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