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人材紹介と人材派遣のビジネスモデルや収益構造などの違いを徹底解説

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近年は、働き方改革や新型コロナウィルス蔓延などの影響もあり、ワークライフバランスを重視した働き方の多様性が求められるようになりました。このような労働環境の変化により、転職や副業を行う人材が急増しています。

そこで注目されているのが「人材紹介事業」です。人材紹介事業は、よく混同されがちな人材派遣事業とは異なり、求職人材を求人企業に紹介することで手数料や報酬を得るビジネスモデルで、その高い収益性に特徴があります。

ただし、人材派遣会社が人材紹介事業を行うには、一般派遣とは異なった法律に基づいた対応が必要となるため、注意が必要です。

そこで今回は、人材紹介と人材派遣のビジネスモデルや、収益構造などの違いを徹底解説します。これから人材紹介事業を取り入れようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

人材紹介事業と人材派遣事業の違い

以下では、人材紹介事業と人材派遣事業の違いについて解説します。

人材紹介事業とは

人材紹介事業とは、企業や事業者が必要とする人材を探し、求職者の紹介を行う事業のことです。人材紹介事業者は、求職者と求人企業の間を取り持ち、面接などのステップを経て適した人材を紹介します。

紹介した求職者が求人企業に採用された場合に、求人企業から紹介料を受け取ることで、事業を運営する仕組みです。

人材紹介事業は「有料職業紹介事業」と「無料職業紹介事業」の2種類に分類されます。

有料職業紹介事業とは、職業紹介を行う際に、紹介した企業から手数料や報酬を受ける事業者のことです。一方、無料職業紹介事業とは、職業紹介を行う際に手数料や報酬が発生しない、公共性の高い事業者を指します。無料職業紹介事業者については、全国各地にあるハローワークや大学のキャリアセンター、再就職支援事業会社などが代表的です。

一般的な人材紹介事業者は有料職業紹介事業者となるため、本記事では、有料職業紹介事業を中心に解説します。

人材派遣事業とは

人材派遣業とは、自社で雇用した社員を派遣先の企業へ派遣し、労働力の提供を行う事業です。

人材派遣に関する法律として労働者派遣法があります。労働者派遣法では、人材派遣を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることを業として行うこと」と定義しています。

人材派遣では、派遣元となる人材派遣会社が人材を雇用し、派遣先の企業で労働させるのが特徴です。そして、派遣先の企業から、マージンを受け取ることで事業を運営しています。

人材紹介事業と人材派遣事業のビジネスモデルの違い

ここでは、人材紹介事業と人材派遣事業のビジネスモデルの違いについて解説します。

人材紹介事業のビジネスモデル

人材紹介事業のビジネスモデルは、企業に人材を紹介することを主な業務としています。

そして紹介した人材が雇用されると、企業がその報酬として人材紹介事業者に報酬を支払います。

報酬は契約によって異なりますが、雇用された人材の給与や理論年収の一定割合か、固定額が支払われるのが一般的です。

人材紹介では、登録する人材が無料でサービスを活用できることや、採用が決まるまで企業側に費用が発生しないため、転職市場における需要が拡大しています。

人材派遣事業のビジネスモデル

人材派遣事業のビジネスモデルは、企業に人材を派遣することを主な業務としています。

派遣された人材は、派遣先の企業で勤務にあたりますが、雇用契約は派遣元と締結します。

企業は、派遣された人材を使用するために、派遣元に対して費用を支払うのが特徴です。

人材派遣事業では、派遣期間や派遣する人材のスキルによって料金が異なります。人材派遣では、企業が直接人材を雇用する必要がなく、採用コストも安くつくのがメリットです。一方、人材派遣事業者にとっては、収益を継続的に上げることができるメリットがあります。

人材紹介事業の種類

人材紹介の種類には、主に次の3つがあります。

  • 一般紹介・登録型
  • サーチ型
  • 再就職支援型

それぞれ解説します。

一般紹介・登録型

一般紹介・登録型は、最も一般的な人材紹介事業です。

一般紹介・登録型の人材紹介は、企業から求人依頼を受けて、求職者に該当する案件を紹介し、両者をマッチングさせる仕組みです。

サーチ型

サーチ型とは、人材紹介会社が企業側の条件に合う人材をスカウトし、マッチングを行う形式を言います。

サーチ型では、役員クラスのハイクラスな求人依頼が主体で、現役で働いている他社の優秀な人材をヘッドハンティングするのが狙いです。

再就職支援型

再就職支援型とは、リストラなどによって、再就職が必要となった人材の再就職を支援する形式です。

人材派遣事業の種類

人材派遣の種類には、主に次の2つがあります。

  • 一般派遣(登録型派遣)
  • 紹介予定派遣

それぞれ解説します。

一般派遣(登録型派遣)

一般派遣とは、人材派遣会社が自社に登録された人材の希望や条件を聞いたうえで条件に合う派遣先企業に派遣します。

そして、人材派遣会社と派遣先企業との間で派遣契約が結ばれた際に、人材派遣会社が自社の派遣社員として雇用契約を結ぶ雇用形態です。

そのため人材派遣会社に登録した人材の派遣が決まり、派遣契約を結ぶまでの間に関しては、登録人材を雇用する必要がありません。また登録型派遣では、派遣先の企業において同一の業務を行う際は、最長で3年と決められています(個人単位の抵触日・通称3年ルール)。

紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、人材派遣会社が派遣した社員を派遣先の企業が直接契約(正社員・契約社員)を結ぶことを前提に、一定期間(最長6ヶ月以内)人材派遣を行う仕組みです。

人材派遣会社が紹介予定派遣を行うには、以下で紹介する「一般派遣」や「特定派遣」などの派遣業務をおこなうために必要な資格や許認可とは別に「人材紹介事業」に必要な資格や許認可を取得する必要があります。

もし必要な資格や許認可を得ない状態で紹介予定派遣を行うと、人材派遣業の許可の取り消しや罰金などの厳しいペナルティを受ける可能性があるため、注意が必要です。

人材派遣会社が人材紹介事業を行うメリット

人材派遣会社が人材紹介事業を兼業することで、次のようなメリットがあります。

  1. 紹介予定派遣を実施できる
  2. 運営コストを削減できる
  3. 高い収益を確保できる

それぞれ解説します。

1.紹介予定派遣を実施できる

 人材派遣業の許可のみでは、紹介予定派遣を行えません。しかし、職業紹介の許可を受けることで、紹介予定派遣を実施できるようになります。

紹介予定派遣では、短期間の人材派遣料と紹介料の両方を受け取ることができるため、収益を獲得できる事業の幅が広がります。

2.運営コストを削減できる

 人材派遣会社が提供する人材は、派遣先の企業にとって正社員と同等の労働条件を提供しています。この派遣スタッフの社会保険や福利厚生は、基本的に人材派遣会社が負担しています。

人材紹介では、このような人材にかかるさまざまなコストの削減が可能です。

3.高い収益を確保できる

人材紹介事業は、人材派遣と比較すると、短期間で高収益を確保できる特徴があります。

人材紹介事業は、人材派遣事業のように継続的な収益が発生しにくいものの、紹介する人材を雇用する必要がないため、収益性が高いのも特徴です。

このようなメリットから、近年は、人材派遣事業者が人材紹介事業も行うケースが増えています。

人材紹介事業の許可に必要な要件

人材紹介事業の許可を得るには、次の4つの要件のすべてを満たす必要があります。

  1. 財産的基礎の要件
  2. 個人情報管理体制に関する要件
  3. 職業紹介責任者に関する要件
  4. 事業所に関する要件

それぞれの要件について、詳しく解説します。

1.財産的基礎の要件

職業紹介事業を開業するにあたっては、当該事業を健全に遂行するに足りる、以下のような財産的基礎を満たす必要があります。

・資産の総額から負債総額を控除した額が500万円以上あること(事業所が複数ある場合は、事業所ごとに500万円以上)。

・自己名義の現金・預貯金の額が150万円以上であること(事業所が複数あるときは、1事業所につき60万円が追加されます)。

2.個人情報管理体制に関する要件

職業紹介事業を遂行するにあたり、求職者の個人情報を適正に管理・遂行するための事業運営体制の構築と、個人情報適正管理規程を定めていることが求められます。

・個人情報の管理体制に関する要件

・個人情報の管理措置に関する要件

3.職業紹介責任者に関する要件

人材派遣業を行う際は、社内に「派遣元責任者」が1人以上必要です。これと同様に、人材紹介業を行うには、社内に「職業紹介責任者」が1人以上必要となります。

これらの「派遣元責任者」や「職業紹介責任者」は、それぞれ全国の主要都市で定期的に行われる「派遣元責任者講習」と「職業紹介責任者講習」を受講すれば資格を取得することが可能です。

受講資格に年齢や職業の規定はなく、原則誰でも受けることができます。それぞれの申し込みについては、厚生労働省の「職業紹介責任者講習の実施機関等について」内の案内をご参照ください。

職業紹介責任者においては、次のいずれにも該当し、欠格事由に該当せず、また業務を適正に遂行する能力が必要とされています。

・労働関係法令に関する知識及び職業紹介事業に関連する経験を有する者であること。

・成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること。

・厚生労働省が指定する機関が主催する「職業紹介責任者講習会」を受講した者であること。

4.事業所に関する要件

職業紹介事業の許可基準については、求職者のプライバシー保護対策がなされている必要があります。そこで、以下の要件を満たすことが必要です。

・個室設置やパーティションなどで仕切ることができる部屋で、求職者に対応できること。

・他の求職者等と同室にならずに対応可能であること。

・適切な場所であること。

・上記条件が満たされない場合は、事業所の面積がおおむね 20 ㎡以上であること。

※オンライン面談を行う場合には、上記よりも要件が緩和されるケースもありますので、必ず管轄の労働局などに問い合わせて確認しましょう。

人材紹介事業の許認可申請の仕方

最後に、人材紹介事業の許可申請の流れや仕方について解説します。

手続きの流れ

人材紹介業の許認可申請から登録までの流れとして、以下の8項目をご確認ください。

  1. 自社(または個人)が許可基準を満たしているかチェックする
  2. 職業紹介責任者講習を受講する 
  3. 必要書類を準備する
  4. 申請書類を作成する
  5. 労働局にて事前確認を行う
  6. 捺印後、申請手続きを行う
  7. 事務所の検査を受ける
  8. 許可証の交付をうけて営業開始

必要書類について

職業紹介事業の開業にあたっては、次のような書類の提出が必要となりますので、必ず事前に準備しておきましょう。

申請に必要となる書類(※書類部数は、正本と写しの合計部数)

・有料職業紹介事業許可申請書 3部

・有料職業紹介事業計画書 3部

・届出制手数料届出書(上限制手数料による場合には提出は不要)3部

下記の①から⑨の添付書類をそれぞれ 2部

①法人に関する書類

・定款又は寄附行為

・法人の登記事項証明書

②代表者、役員、職業紹介責任者に関する書類

・住民票の写し

・履歴書

・職業紹介責任者講習会受講証明書

③資産及び資金に関する書類

・最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書

・預貯金の残高証明書等所有している資産の額を証明する書類

・所有している資金の額を証明する預貯金の残高証明書

・最近の事業年度における確定申告書の写し

・最近の事業年度における法人税又は所得税の納税証明書

・最近の事業年度における株主資本等変動計算書

④個人情報の適正管理に関する書類

⑤業務の運営に関する書類

⑥事業所施設に関する書類

・建物の登記事項証明書(申請者が所有している場合のみ)

・建物の賃貸借又は使用貸借契約書(借りている場合のみ)

⑦手数料に関する書類

・手数料表(届出制手数料の届出をする場合のみ)

⑧相手先国に関する書類(国外にわたる職業紹介を行う場合のみ)

⑨取次機関に関する書類(国外にわたる職業紹介を行い、取次機関を利用する場合のみ)

人材紹介事業と人材派遣事業の違いのまとめ

このように、人材紹介事業と人材派遣事業にはさまざまな違いがあり、それぞれのメリットが異なります。

そこで近年は、人材紹介事業と人材派遣事業の両方の免許を取得し、それぞれのメリットを活かした事業を行う企業が増えています。

もしこれから人材紹介事業を立ち上げる場合には、所轄の労働局に上記の要件を満たした上で、書類などの届け出を行うことになります。

ブレイン・ラボでは、事業の立ち上げ相談会の実施や、提携する社労士事務所の紹介も可能です。人材紹介業の立ち上げや、立ち上げ後の事業の進め方などに不安のある方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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