お役立ちノート 営業入門

人材紹介に必要な免許の申請方法や要件、準備に関する事例を幅広く解説

労働人口の減少や働き方改革などの影響により、近年は、さまざまな業界において人手不足が大きな課題となっています。

そこで各企業においては、優秀な即戦力人材を確保するために、転職エージェントをはじめとする人材紹介業者を通じた即戦力人材の採用が活発となっています。

このような人材の採用市場に合わせて、人材派遣会社をはじめとするさまざまな業界から、人材紹介業へ参入する企業が増加しているのが現状です。

ただ、一般的な会社とは異なり、人材紹介事業を開業するには、有料職業紹介事業の許認可申請と免許の取得が必須となります。

そこで今回は、人材紹介事業を開業するにあたり、必要となる免許の申請方法や要件、準備に関する事例を幅広く解説します。

これから人材紹介事業へ参入をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

人材紹介事業とは

人材紹介事業とは、人材を求める求人企業と転職を希望している求職者の双方から申し込みを受け、双方の希望に沿った雇用関係の成立を斡旋する事業のことです。

紹介された求職者は、事前に面接やスキルチェックなどを受けて選ばれており、企業が求める人材が採用しやすく、近年利用する企業が増加しています。

人材紹介事業の現況

人材紹介事業は、近年、活況を呈しています。これは、労働者不足が深刻化する現代において、人材紹介サービスが企業にとって重要な役割を担っているからです。

また就事活動がデジタル化したことにより、オンラインを活用して業務を行う人材紹介事業者も増えているため、今後ますます利用する求職者や企業が増加すると予測されています。

ただし、人材紹介事業の開業には、さまざまな法令に基づいた運営が求められます。そこで、法令を遵守し、ペナルティを受けないように運営することが大切です。

人材紹介事業に必要な免許

人材紹介事業には「有料職業紹介事業」と「無料職業紹介事業」があります。

有料職業紹介事業とは、職業紹介を行う際に、 手数料や報酬を受けて行う職業紹介事業をいいます。一方、無料職業紹介事業とは、職業紹介を行う際に、手数料や報酬を受け取らない職業紹介事業です。

無料職業紹介事業者には、ハローワークや大学のキャリアセンター、再就職支援事業会社などがあります。

一般的な人材紹介事業者は有料職業紹介事業者となるため、以下では有料職業紹介事業について詳しく解説します。

免許取得

人材紹介事業を開業するための免許の取得には、事業者が労働関係法令を遵守すること、事業計画書や財務諸表などの書類を提出すること、人材紹介事業に係る知識を有する者が経営に従事することなどが必要条件となっています。

免許取得後も、人材紹介に係る法令や規則を遵守し、倫理的な取引を行うことが求められます。

許認可申請

人材紹介事業の免許を取得するためには、申請者の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して、必要書類を厚生労働大臣に提出し、許認可を得る必要があります。

そこで以下の登録要件を満たす必要があるため、しっかりと確認の上で準備することが重要です。

登録要件

職業紹介事業の開業許可を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

準備すべき要件項目は次の5つです。

  1. 職業紹介責任者に関する要件
  2. 財産的基礎の要件
  3. 個人情報管理体制に関する要件
  4. 事業所に関する要件
  5. 必要書類

それぞれ解説します。

1.職業紹介責任者に関する要件

職業紹介責任者とは、人材紹介業者において、職業トレーニングや就職支援を行う専門の人のことです。

人材紹介業を営む際は、社内に1人以上の職業紹介責任者を置く必要があります。職業紹介責任者は、それぞれ全国の主要都市で定期的に行われる「職業紹介責任者講習」を受講すれば資格の取得が可能です。

職業紹介責任者においては、次のいずれにも該当し、欠格事由に該当せず、また業務を適正に遂行する能力が必要とされています。

  • 労働関係法令に関する知識及び職業紹介事業に関連する経験を有する者であること。
  • 成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること。
  • 厚生労働省指定団体が主催する「職業紹介責任者講習会」を受講した者であること。

2.財産的基礎の要件

職業紹介事業の開業にあたっては、当該該事業を健全に遂行するに足りる、次のような財産的基礎を有する必要があります。

・資産の総額から負債総額を控除した額が500万円以上あること(事業所が複数ある場合は、事業所ごとに500万円以上)。

・自己名義の現金・預貯金の額が150万円以上であること(事業所が複数あるときは、1事業所につき60万円が追加されます)。

3.個人情報管理体制に関する要件

求職者の個人情報を適正に管理・遂行するための事業運営体制の構築と、個人情報適正管理規程を定めていること。

・個人情報の管理体制に関する要件

・個人情報の管理措置に関する要件

4.事業所に関する要件

職業紹介事業の許可基準については、以下の基準を満たしている必要があります。

・個室設置やパーティションなどで仕切ることができる部屋で、求職者に対応できること。

・他の求職者等と同室にならずに対応可能であること。

・適切な場所であること。

・事務所の所有者・賃貸の名義人と、事務所の人材紹介事業者の名義が同一であること。

5.必要書類

職業紹介事業の開業にあたっては、次のような書類の提出が必要となりますので、必ず事前に準備しておきましょう。

申請に必要となる書類(※書類部数は、正本と写しの合計部数)

・有料職業紹介事業許可申請書 3部

・有料職業紹介事業計画書 3部

・届出制手数料届出書(上限制手数料による場合には提出は不要)3部

下記の①から⑨の添付書類をそれぞれ 2部

①法人に関する書類

・定款又は寄附行為

・法人の登記事項証明書

②代表者、役員、職業紹介責任者に関する書類

・住民票の写し

・履歴書

・職業紹介責任者講習会受講証明書

③資産及び資金に関する書類

・最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書

・預貯金の残高証明書等所有している資産の額を証明する書類

・所有している資金の額を証明する預貯金の残高証明書

・最近の事業年度における確定申告書の写し

・最近の事業年度における法人税又は所得税の納税証明書

・最近の事業年度における株主資本等変動計算書

④個人情報の適正管理に関する書類

・職業紹介事業個人情報適正管理規程

⑤業務の運営に関する書類

・業務の運営に関する規程

⑥事業所施設に関する書類

・建物の登記事項証明書(申請者が所有している場合のみ)

・建物の賃貸借又は使用貸借契約書(借りている場合のみ)

⑦手数料に関する書類

・手数料表(届出制手数料の届出をする場合のみ)

⑧相手先国に関する書類(国外にわたる職業紹介を行う場合のみ)

・取扱地域の変更届出書類

⑨取次機関に関する書類(国外にわたる職業紹介を行い、取次機関を利用する場合のみ)

・取次機関に関する申告書

人材紹介に関する免許の許可要件で注意すべきポイント

それでは次に、人材紹介免許の許可要件で注意すべきポイントを解説します。

人材紹介免許の許可申請にあたっては、以下の準備に注意しましょう。

  1. 職業紹介責任者が在籍していること
  2. 条件を満たす面談スペースがあること
  3. 財産要件を満たしていること

それぞれ解説します。

1.職業紹介責任者が在籍していること

人材紹介業を営む際は、社内に1人以上の職業紹介責任者を置く必要があります。職業紹介責任者は、それぞれ全国の主要都市で定期的に行われる「職業紹介責任者講習」を受講すれば資格の取得が可能です。

この職業紹介責任者講習の受講資格については、下記で紹介する要件を満たすものであれば誰でも受けることができます。

それぞれの申し込みについては、厚生労働省の「職業紹介責任者講習の実施機関等について」内の案内をご参照ください。

2.条件を満たす面談スペースがあること

人材紹介業の免許を取得する際は、オフィス要件の審査に通る必要があります。

これは「求職者が面談などを行う際に、他の求職者と同室にならないこと」が条件となります。他人と同室にならないことで、求職者のプライバシー保護を行うのが目的です。

そのため、オフィスの面談スペースが「区分けされており、プライバシーに配慮されている」必要があります。

3.財産要件を満たしていること

人材紹介業の財産要件に関しては、事業所が増えるごとに必要な資産が増加します。

また資産要件は、法人事業や個人事業に関わらず、借入金などの有無や金額も加味される可能性があるため、十分に注意しましょう。

人材紹介業の免許取得と許認可申請にかかる手数料

ここでは、人材紹介業の免許取得と許認可申請にかかる手数料について解説します。

免許取得・許認可申請時に必要となる手数料

人材紹介業の免許取得・許認可申請時にかかる手数料は、登録免許税の90,000円と収入印紙の50,000円の合計14万円となります。

これらの費用は税金であるため、消費税はかかりません。

法人登記等にかかる費用

法人登記費用の目安は、おおよそ15万円ほどです。ただし、法人登記を代行業者に依頼する場合は、30万円前後かかるケースもあります。

オフィス費用や職業紹介責任者講習費用も必要

人材紹介事業を運営する際は、求職者と面談を行うオフィスも原則必要です。

そこで、場所や広さにもよりますが、おおよそ100万円以上は計上しておきましょう。レンタルオフィスで開業することも可能ですが、業種的に信用度の高い運営を行うためにも、オフィスの費用を確保しておくのがおすすめです。

また、職業紹介責任者講習の受講費用も必要です。職業紹介責任者講習の受講費用は、職業紹介責任者1人あたり15,000円前後のケースが多くなっています。

人材紹介業の許認可申請から登録までの流れ

人材紹介業の許認可申請から登録までの流れは以下のようになります。

  1. 自社(または個人)が許可基準を満たしているかチェックする
  2. 職業紹介責任者講習を受講する 
  3. 必要書類を準備する
  4. 申請書類を作成する
  5. 労働局にて事前確認を行う
  6. 捺印後、申請手続きを行う
  7. 事務所の検査を受ける
  8. 許可証の交付をうけて営業開始

上記の免許取得準備から手続きが完了するまでに必要な期間は、およそ3ヶ月が目安です。

ただし、許認可申請に不備があったり、要件を満たしていない場合には、手続きをやり直さなければならないケースがあります。

そこで人材紹介業を開業する際は、十分な時間的な余裕を持って取り組みましょう。また、開業をサポートしてくれる専門業者に委託するのも、確実でおすすめな方法です。

人材紹介に必要な免許に関する知識のまとめ

このように、人材紹介業を開業するにあたっては、さまざまな要件をクリアしたり、必要となる書類を不備なく揃えたりする必要があります。

そこで、人材紹介事業を開業する際は、必ず専門家に相談するのがおすすめです。

ブレイン・ラボでは、事業の立ち上げ相談会の実施や、提携する社労士事務所の紹介も可能です。人材紹介業の立ち上げや、立ち上げ後の事業の進め方などに不安のある方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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