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(テンプレート付)抵触日の通知書とフォーマットについて|内容や不要となるケースを解説

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抵触日通知書

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派遣会社には、自社で雇用する派遣社員が同じ派遣先で3年以上連続して働かせてはいけないという「3年ルール」があり、この派遣期間が終了する日を「抵触日(ていしょくび)」と呼びます。

この「3年ルール」は、人材派遣会社、派遣社員、派遣先の企業のすべてが守らなければならない労働者派遣法で定められたルールです。そのため、人材派遣会社が抵触日に関するルールをしっかりと把握し、派遣社員や派遣先企業と連携して円滑に派遣事業を運営することが大切です。

そこで今回は、派遣事業の抵触日を通知する際に必要となる通知書のフォーマットや、通知書が不要となるケースについて解説します。人材派遣事業の運営に携わる方は、ぜひ参考にしてください。

抵触日とは

人材派遣業務における「抵触日」とは、派遣スタッフの「派遣期間が終了する翌日」を指します。

なお、人材派遣会社は2021年に改正された「改正労働者派遣法」に則って派遣事業を行う義務がありますが、この法律は頻繁に改正されることがあるため、常に最新の法律に則っているかを確認しましょう。

以下では、「3年ルール」の詳細について解説していきます。

3年ルール

3年ルールとは、派遣会社を通して派遣された人材が、原則「派遣契約にて3年以上働くことができない」という規則のことですが、いったいなぜ3年以上同じ職場で働けないのでしょうか?

この改正労働者派遣法が生まれた理由には、次の3つの背景があります。

  • 長期間に渡る人材派遣が、労働者の安定した雇用を侵害する恐れがあるため
  • 長期間の派遣契約によって、派遣契約の範囲を超えた業務を任される恐れがあるため
  • 同一労働同一賃金のルールを侵害する恐れがあるため

このような背景もあり、2015年以降は、派遣社員が同じ職場で3年以上働くことができなくなりました。もしそれ以上の期間に渡って派遣労働者が派遣先で働きたい場合は、派遣先の企業側が労働者を直接雇用(正社員やアルバイト)する必要があります。

ただし、3年ルールには例外があります。「3年ルール」の例外とは、以下の項目を満たすことで、同じ職場で3年以上にわたり派遣社員が働ける制度です。主な例外項目は、以下の5つです。

  • 派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者を派遣する場合
  • 60 歳以上の派遣労働者を派遣する場合
  • 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合
  • 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ 10 日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合

仮に上記に該当せずに3年以上に渡り同じ職場で派遣社員として働いていた場合は、労働局から警告通知が届き、最悪の場合は人材派遣会社に行政指導や罰金が課せられる恐れがあります。

事業所単位の抵触日

事業所単位の抵触日とは「派遣会社から同じ派遣先企業に対して労働者を派遣できるのは、3年間が限度と定められており、この期日を迎えた場合、個人単位では抵触日までまだ時間がある派遣社員であっても同じ事業所で働かせることはできない」というルールです。

ただし派遣期間制限を延長したい場合は、当該事業所(派遣先の事業所)の過半数労働組合(なければ過半数代表者)に対して抵触日の1ヶ月前までに意見聴取することで延長が可能です。

延長回数には制限はないため、延長手続きを続けることで、派遣会社から派遣社員をずっと派遣し続けてもらうことが可能となります。

個人単位の抵触日

個人単位の抵触日に関しても「派遣社員は、同じ組織で3年までしか働けない」という原則があるため、同じ組織で3年以上に渡り派遣社員として働くことができません。

この場合の同じ組織とは、同じ課やグループのことを指します。ただし、同じ会社の別組織(課や部署など)に移籍した場合は、就労の継続が可能です。

もし事業所単位の抵触日が来た場合には、仮に個人の抵触日まで時間があっても働くことができなくなります。そこで派遣会社は、自社の派遣社員に対し、契約時に抵触日を知らせておく義務があります。

通常、就業条件明示書には抵触日が記載されており、その具体的な内容として「同じ部署で派遣社員として働きはじめてから最長3年であること」と「個人単位の抵触日よりも事業所単位の抵触日が優先されること」が記載されています。

抵触日の通知とは

抵触日の通知とは、派遣先の企業が人材派遣会社に対して行うものです。また、抵触日の通知が不要とされるケースもあります。

抵触日の通知義務

抵触日とは、3年ルールに則った派遣期間が過ぎた翌日を指します。例えば2020年4月1日に就業した人の抵触日は、2023年4月1日です。

抵触日には、上記のように事業所単位と個人他の2種類があり、通知の必要性があるのは、事業所単位の場合に限られます。なぜなら、個人単位の抵触日に関しては、派遣元である人材派遣会社が把握できるためです。しかし事業所単位の抵触日に関しては、原則として派遣を受け入れている企業側の管理となるため、派遣先の企業が人材派遣会社に通知しなくてはなりません。

このことは、労働者派遣法の第26条第4項、5項において、以下のように定めています。

  • 労働者派遣契約締結にあたって、派遣受け入れ企業はあらかじめ派遣会社に(事業所単位の)抵触日を通知しなければならない
  • 通知がない場合、派遣会社は派遣受け入れ企業と労働者派遣契約を締結してはならない

このように、派遣先の企業が事業所単位で抵触日を管理している場合には、派遣先の企業が人材派遣会社に抵触日を通知しない限り、新たな派遣契約を結ぶことができません。

抵触日の通知が不要となるケース

個人単位の抵触日については通知が不要であることを解説しましたが、それ以外にも通知が不要となるケースがあります。それは、派遣社員が「労働者派遣法第40条の2第1項」に該当する場合です。このケースでは、3年ルールの対象外となるため、抵触日の通知が不要となります。

派遣社員が「労働者派遣法第40条の2第1項」に該当するケースとは、以下の5つです。

・無期雇用で契約されている派遣労働者

・60歳以上の派遣労働者

・有期プロジェクト業務及び日数限定業務に従事する派遣労働者

・産前産後休業及び育児休業を取得する労働者の代わりとして従事する派遣労働者

・介護休業等を取得する労働者の代わりとして従事する派遣労働者

抵触日の通知とフォーマットについて

上記のように、派遣期間の抵触日に関しては、派遣先の企業から人材派遣会社へ通知する必要があります。ここでは、抵触日の通知方法と、通知書面のフォーマットについて解説します。

抵触日の通知方法

事業所単位の抵触日では、人材派遣会社に通知をしなければなりません。その通知方法においては、派遣法施行規則第24条の2で「あらかじめ、書面の交付等によりおこなわなければならない」と規定されています。

派遣先の企業では、抵触日を通知しておかなければ人材派遣会社との派遣契約を結べないため、この「あらかじめ」の指す時期が派遣契約締結前であることがわかります。

「書面の交付等」に関しては、記録に残せる形式であれば郵送やFAX、電子メールでも問題ありません。

なお抵触日の通知には、事業所名、事業所所在地、事業所の抵触日などを明記しなければなりません。だだ、抵触日の通知書類には、とくに決められた書式がないため、次の3点に注意して自社で準備すると良いでしょう。

抵触日の通知書類の注意点は、次の3つです。

  • 契約締結前に通知すること
  • 書面は記録に残せる形式を取ること
  • 事業所名、事業所所在地、事業所抵触日を明記すること

抵触日通知書のフォーマット

事業所単位の抵触日の通知書には、法的に指定された形式がありません。そのため、原則として自由に作成可能です。そこで、DiSPA!では、抵触日通知書を無料で提供しています。ぜひ、ご活用ください。

事業所単位の抵触日を延長する場合の通知

事業所単位の抵触日を延長する場合には、個人単位の抵触日とは異なり、抵触日が変わるために通知が必要となります。これは、個人単位の抵触日よりも、事業所単位の抵触日が優先されるためです。

労働者派遣法では、同一事業所における派遣労働者受け入れ可能期間が最大3年と決められています。ただし、延長の手続きを踏むことで最長3年の抵触日の延長が可能です。

派遣先の企業が派遣の延長を希望する場合は、受け入れ期間終了の1カ月前までに派遣先企業の労働組合などに意見聴取を行い、意義がないかの確認を取らなければなりません。

派遣受け入れ期間の延長が決定した場合には、延長前の抵触日までに、人材派遣会社へ新しい事業所単位の抵触日を通知する義務があります。人材派遣会社は、その通知を受けてから派遣スタッフと新たな雇用契約を締結するため、派遣先の企業もj品罪派遣会社も、できるだけ早く対応しなければなりません。そこで、延長の手続きは余裕をもって行うことが大切です。

もし延長前の抵触日までに、派遣先の企業が人材派遣企業に通知できなかった場合は、延長後の派遣契約を結ぶことはできません。そうなった場合には、派遣スタッフや人材派遣会社、派遣先の企業の3者がそれぞれに損害を被る可能性が高くなります。そうならないためにも、派遣期間も抵触日に関しては、双方で十分に注意することが大切です。

抵触日の通知書とフォーマットのまとめ

このように、派遣スタッフを受け入れる企業には、派遣の3年ルールにおける抵触日の通知をする義務があります。個人単位の抵触日や期間制限を受けない派遣社員以外は、事業所単位の抵触日を人材派遣会社へ通知しなければなりません。そのため人材派遣会社でも、個々の事業単位や個人単位の抵触日について、しっかりと把握することが大切です。

また、抵触日の通知方法は、契約締結前に記録が残せる形であれば、法的に決まったフォーマットがありません。もし、お手元に抵触日通知書が内容であれば、DiSPA!が無料で提供しているものをぜひご活用ください。

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