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人材派遣会社がハローワークに求人票を出す際の手続きと流れを徹底解説

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日本では1990年代をピークに労働人口が減少し始めており、今後も少子化による影響で減少が続くことが確実とされています。

これは国内産業の基盤となる「労働力の確保」が難しくなることを意味しており、人材派遣業界においても見過ごせない現実です。

そこで企業は、労働者を確保するために、さまざまな求人媒体に求人票を出しています。身近な求人媒体としては、厚生労働省の管轄で全国各地にあり、無料で求人広告をだすことができるハローワーク(公共職業安定所)があります。

今回は、ハローワークへ求人票を出す際の方法とともに、職業安定法のルールに則りながら、より多くの求職者を集められる効果的な「求人票の書き方」も紹介します。

人材派遣会社の経営者の方はもちろん、人事担当者の方も、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

初めてハローワークで求人を出す際の流れ

ここでは、初めてハローワークに求人票を出す方へ、求人申し込みの方法と流れを紹介します。

申し込み方法は、直接ハローワークへ出向いて手続きする方法と、ハローワークのWebサイトから申し込む方法があるため、それぞれ解説します。

ハローワークへ出向いて申し込むケース

ハローワークに出向いて求人申込み手続きを行うには、次の2つの方法があります。

(1)ハローワーク内に設置されているデジタル端末で求人情報を仮登録してから、窓口で本登録する方法。

(2)(上記の(1)が難しい場合)ハローワークにある求人申込書(紙面)に記入し、窓口で登録する方法。

上記の(1)を選択した方は、こちらにあるハローワークWebページをご参照の上で、ハローワークに設置されている端末から必要な情報を入力しましょう。

デジタル端末のご利用に不安がある方は、以下の手順で所定の用紙に情報を記入して提出します。

事業所の住所を管轄するハローワークへ手続きに出向く

まずは事業所の住所がある場所を管轄するハローワークへ出向いて手続きします。

なお、ハローワークの利用可能時間(開庁時間)は、原則8:30~17:15(平日)となっています。

※全国にあるハローワークの所在地はこちらから検索してください。

事業所登録をする

ハローワークについたら、まず事業所の登録をします。登録用紙はインターネットでダウンロードが可能ですので、事前に記入しておくと良いでしょう。

事業登録用紙はこちらからダウンロードできます。登録用紙の詳しい書き方はこちらをご参照ください。

求人申込書を記入する

次に、求人申込書を記入します。掲載する内容は、できるだけ詳細に書きましょう。そのため人材採用の担当者や責任者の方が記入することをおすすめします。

求人票を受け取る

求人票の記入ができたら、提出します。提出すると、初めての方の場合は事業所確認票も渡されますので、忘れずに受け取ります。

求人情報の公開

提出した求人は、受理された日の翌々月(例えば7月1日受理されれば9月末日)までが有効となり、原則取り下げるまでハローワークの求人欄に掲載されます。

尚、募集要項に違反などがあると受理されませんのでご注意ください。

ハローワークのHPから申し込むケース

ハローワークのHPからPCを使って申し込む場合は、こちらのハローワークのWebページから申し込みができます。

求人票を書くときは、ぜひ以下で紹介する、魅力的な求人票の書き方を参考にしてください。

求人申込書への記入内容

ハローワークの求人票には、以下の内容を記載します。

  • 求人区分
  • 事業所番号
  • 事業所名
  • 募集職種
  • 仕事内容
  • 学歴の条件
  • 必要な経験
  • 必要な免許・資格
  • 雇用形態
  • 雇用期間
  • 就業場所
  • 採用人数
  • 年齢制限
  • 就業時間
  • 休日
  • 従業員数
  • 加入保険
  • 定年等
  • 入居可能住宅
  • 賃金形態等
  • 賃金
  • 賃金締切日・支払日
  • 通勤手当・マイカー通勤
  • 昇給・賞与
  • 選考方法・選考日時・選考の担当者情報
  • 公開希望の有無
  • 求人条件にかかる特記事項
  • 備考

このように、多くの情報を記入する必要があるため、人事担当者や責任者が記入しましょう。詳しくはこちらの求人情報の入力のしかた〜事業主の方へ〜をご確認ください。

ハローワークの求人票で他社と差別化する書き方

それでは次に、ハローワークの求職票で他者と差別化できる書き方を紹介します。ぜひこの記事を参考にしながら、求職者が自社で働きたいと感じる求人票を作成してください。

他社と差がつく求人票の書き方の事例

平成29年に厚生労働省が発表した山形労働局の資料によると、求職者が求人票で仕事を探すときに、最も重要視する4つの項目は以下の通りとなっています。

1位:仕事内容

2位:就業場所

3位:賃金

4位:休日

そこで、これらの上位4項目を例に、具体的な求人票の書き方を紹介します。

仕事内容欄の記入方法

悪い例✖

ケースを洗浄します。洗浄機へ流す、ケース整理、ラベルはがし、コード読み取り作業など

上記は、ある求人募集サイトにあった仕事内容の実例です。これでは、どのような会社でどのような仕事なのかが分かりません。できるだけ具体的に分かりやすく書くことが求職者にとって配慮した求人票となります。

良い例◎

光学製品の組立のお仕事です。

※クリーンルーム内でのお仕事になります。

※未経験の方もお気軽にお問い合わせください。

【業務内容】

・ライフルスコープ、双眼鏡の組立検査のお仕事です。

指示書に従って、各ユニットを組み立てる作業になります。

 製品に付随する各部品の検査も行います。

 汚れがあった場合は、拭いていきます。

※未経験の方は、できるところから始めていただきます。

【ポイント】

・無料駐車場完備◎

・食堂スペースあり♪

・休憩:午前、お昼、午後♪

・仕出し弁当あり◎

・更衣室あり!

・ロッカーあり◎

・パン、カップラーメン等の自販機あり♪

【オススメな方】

・未経験者歓迎◎

・もくもく作業が好きな方!

・製造業でのご就業があれば経験を活かせます。

・残業が出来ない等、ご相談可能です◎  

上記のように、仕事内容やおすすめポイントなどを詳しく記入するだけで、求職者は仕事や会社に良いイメージを持ちやすくなります。ぜひこのような具体的な内容を記すように心がけてください。

特にハローワークに求人票を出す場合には、未経験者が多い傾向にあるので「未経験でも安心して働ける環境」「優しい教育制度」「未経験者が仕事を覚えられるまでの時間」を記載することで、求職者が安心して応募できるようになります。

就業場所の記入方法

悪い例✖

県内にあるいずれかの店舗でのお仕事

良い例◎

あなたの希望を考慮して、圏内にある以下の勤務地のいずれかへ配属いたします

※転勤・移動はありません

賃金の記入方法

悪い例✖

月収例:185,000円

良い例◎

月給例:200,000円~230,000円

給与例)224,000円=時給1,100円×8時間×20日+残業代(35時間で計算)

+賞与年2回、住宅手当・家族手当あり

このように基本給以外の手当ても記載しておくことで、他社との差別化ができるだけでなく、求職者に配慮した内容になります。求職者に分かりやすく、尚且つより詳しく記載するようにしましょう。

休日の記入方法

悪い例✖

週休2日・有給休暇・慶事休暇

良い例◎

週休2日制(週5日勤務シフト制 ※日曜祝日+選べる平日1日・平日は原則固定となります)

その他長期休暇 年末年始、GW

有給休暇(取得実績100%)、慶弔休暇、産休・育休制度有

休日の表記方法も重要です。特に休日の曜日やシフト制の有無などをできるだけ具体的に記すと求職者にアピールできます。その他にも産休や育休など、あなたの会社にある休暇制度は全て記載しましょう。

求人申込書に記入する際の「禁止事項」

求人票には、記載してはいけない2つの「禁止事項」が存在します。それを知らずに記入すると、求職者が集まりにくくなったり、求人の申し込みが受理されない可能性もあります。

この「禁止事項」とは

  • 就職差別に繋がるような記載
  • 求職者に誤解を与える可能性がある記載

の2つを指します。

就職差別に繋がるような記載禁止事項

就職差別に繋がる可能性のある記載禁止項目には「性別」「年齢」「国籍」「出身・居住地域」「身体的健康」などがあります。

「性別」に関する記載禁止例

性別については、改正後の男女雇用機会均等法により、男女どちらかの性別を限定して募集するような記載や、性別によって給与や待遇などの条件を変えることも禁止しています。

悪い例✖ 

性別に関する記載禁止例

・男性のみの採用です

・女性の方大歓迎

良い例◎

改善例

・男性の方が活躍しています

・女性が働きやすい職場です など

「年齢」に関する記載禁止例

原則として、年齢を選考基準にすることも法律で禁じています。ただ例外として、若年層のキャリア形成を目的とする長期の雇用や、定年対象者を考慮した高齢シニアの募集を行う場合には記載が可能となります。ただし、事前に例外に当たるかを確認しなければなりません。

悪い例✖ 

年齢に関する記載禁止例

・25歳以下の方歓迎

・重労働のため40歳未満の方が対象

・20~30代のみの採用となります

良い例◎

改善例

・25歳以下の方が活躍中です

・重いものを運ぶ仕事で40歳未満の男性が活躍しています

・20~30代の方を中心に活躍しています など

「国籍」などに関する記載禁止例

国籍や人種、肌の色なども採用条件には記載できません。また、語学力が必要な場合には、経験や能力欄に記載します。尚、国籍不問などの記載も禁止されています。

悪い例✖ 

国籍などに関する記載禁止例

・外国人歓迎

・国籍は問いません

良い例◎

改善例

・外国籍の方が活躍中です など

「出身・居住地域」などに関する記載禁止例

出身地や居住地、または通勤時間を雇用条件にすることは禁止されています。

悪い例✖ 

出身や居住地域などに関する記載禁止例

・通勤時間30分以内の方大歓迎

・自宅から通勤できる方の採用です

・東京都の出身者大歓迎

良い例◎

改善例

・公共交通機関での通勤をお願いします

・車での通勤可能 など

「身体的健康」に関する記載禁止例

身長や体重、容姿などを選考基準にはできません。身体的、精神的障がいについても禁止されています。

身体的健康に関する記載禁止例

・心身ともに健康な方歓迎

・身長160㎝以上の方歓迎

・容姿の良い方大歓迎

改善例として「雇用条件でなく仕事の詳細などに記す」と良いでしょう。

・体力に自信のある方歓迎

・高い場所にある商品を取る作業です

以上のように、雇用条件欄には細心の注意を払ってください。

求職者に誤解を与える可能性がある記載

求人票には、上記のような差別的な記載を禁止している他に、求職者に誤解を与える可能性のある記載も禁止しています。

具体的に多い事例は、分かりにくい記載で「最低賃金を下回る」ことを隠すような、悪質な求人募集を禁止しています。

そもそも従業員の報酬は、最低賃金法によって各都道府県と職種別に、最低時給や最低日給などの最低賃金※が定められています。この金額を下回る報酬での募集、雇用は厳しく禁止されていますので注意が必要です。

※最低賃金については厚生労働省HPからご確認ください

求人票の提出から採用までの流れ

一般的な求人媒体とハローワークでは、求人票の提出後の応募から採用までのプロセスに異なるポイントがあるため、下記で確認しましょう。

ハローワークで人材を採用する際は、次の2通りの方法があります。

(1)ハローワークからの紹介

(2)オンライン自主応募(ハローワークの紹介ではない)

以下でそれぞれ解説します。

(1)ハローワークからの紹介

窓口での紹介の場合

求人への紹介希望者については、原則ハローワークから連絡が来ます。求人条件の確認や面接日などを調整する必要があるため、連絡が来たら対応しましょう。

オンラインハローワーク紹介の場合

オンラインで申し込みをしている場合には、マイページを通じてハローワークが紹介を行います。ハローワークが求職者マイページに送信した対象求人に求職者が応募した時点で、求人者マイページに紹介状が発行され、応募があった旨の通知が届きます。

応募を確認したら、マイページのメッセージ機能や電話により、求職者に直接連絡をとって面接日時の取り決めをしましょう

詳しくは、こちらのオンラインハローワーク紹介について~事業主の方へ~をご確認ください。

(2)オンライン自主応募(ハローワークの紹介ではない)

ここでは、求人者マイページを開設している求人者の求人を対象に、マイページを通じて求職者が直接応募を行います。

求職者が自ら求人に応募した時点で、応募があった旨が求人者マイページに通知されますので、マイページのメッセージ機能や電話により求職者の方に直接連絡をとり、面接日時の取り決めを行いましょう。

ハローワークの紹介ではないため、紹介状は発行されません。オンライン自主応募により応募された方を採用しても、ハローワーク等の職業紹介を要件とする助成金(※)等の支給の対象とはならないため、注意が必要です。

(※)特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金、地域雇用開発助成金

※また、オンライン自主応募を希望しない場合は、求人情報の入力の際に「オンライン自主応募を受け付けない(ハローワーク紹介に限る)」を選択しておきましょう。

なお、求人者マイページを開設していない場合や事業所名を含めた求人情報を公開していない場合などは、オンライン自主応募を受け付けることはできません。

詳しくは、こちらのオンライン自主応募について~事業主の方へ~をご確認ください。

人材派遣会社がハローワークに人材募集する方法のまとめ

このように、無料で掲載できるハローワークの求人票は、求職者にも人気の求人媒体です。それだけに、求人票を「従業員を募集する張り紙」という感覚で書いてしまっては、求職者がなかなか集まりません。自らの企業を求職者にアピールするだけでなく、企業イメージを向上させるイメージアップ広告のつもりで書きましょう。

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