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偽装請負の罰則とは?適用する3つの法律と判断基準や問題点を徹底解説!

偽装請負の罰則とは?適用する3つの法律と判断基準や問題点を徹底解説!

人材派遣会社では、一般的に契約先の企業に対して労働者の派遣を行いますが、これと同じような事業として「請負」があります。

どちらも就業先の企業に労働を提供する業務となりますが、それぞれ遵守しなければならない規則や法律が異なり、違反すると「偽装請負」としてペナルティを受ける可能性があります。

そのため人材派遣会社と請負会社においては、この違いを十分に理解し、偽装請負とならないように注意しなければなりません。

そこで今回は、偽装請負の法解釈や禁止する理由、派遣と請負の違い、偽装請負と判断されたときのペナルティなどについて、厚生労働省のガイドラインに基づきながら徹底解説致します。

人材派遣会社の経営者はもちろん、営業や人事に関わる方も、ぜひ参考にしてください。

偽装請負とは

偽装請負の定義は、実態が労働者派遣と同じ扱いで働いているにもかかわらず、形式上請負契約のように偽装して労働者を働かせる行為のことを言います。

しかし、請負は一見しただけで適正な労働か偽装請負かを見分けるのが難しいこともあり、偽装請負が見落とされるケースも少なくありません。

偽装請負と適正な請負の違いを判断するために注目すべきポイントは、現場でどのように業務が運営されているかとなります。分かりやすく言えば「仕事の指揮命令を誰が取り仕切っているか」によって、偽装請負と適正な請負かを判断できます。

請負と派遣の違い

派遣と請負とは、基本的に労働者を契約先の企業に提供するという点で同じです。しかし、具体的な契約内容が大きく異なります。

まずは派遣と請負について、それぞれの特徴を解説します。

派遣とは

派遣とは、派遣先(発注主となる労働者が就業する企業)が人材派遣会社と労働者派遣契約を結び、人材派遣会社が派遣先に労働者を派遣する形態です。

派遣では、報酬が「労働力」に対して発生し、派遣労働者との派遣契約期間に定めがあるのが特徴です。

請負とは

請負とは、発注主の会社が請負会社(労働者などを提供する側)と請負契約を結び、請負会社が依頼された成果物を発注主に納品する形態です。

この請負について、民法では以下のように定義されています。

「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。(民法632条)」

つまり、報酬は「仕事の成果物」に対して発生し、契約期間などによる制限や区切りはありません。

請負契約で委託する業務の例としては、以下のような「成果物」がメインとなります。

  • Web制作
  • 広告制作
  • ノベルティ制作
  • システム開発
  • セミナー講演 

上記のように、明確な成果物が対象となるのが請負契約の特徴です。

偽装請負が禁じられる理由

ここでは、偽装請負が禁じられる理由について、下記で詳しく解説します。

労働者の保護

人材派遣の場合、労働者は勤務先となる人材派遣会社と雇用関係にあるため、労働法が適用されます。ところが、請負の場合は労働者と勤務先となる企業に雇用関係が成立しないため、労働法が適用されません。

そのため請負で働く労働者は、福利厚生のサービス全般を受けることができず、健康保険や通勤・住宅関連費、残業などの手当も原則ありません。

これは、請負労働がそもそも「仕事の成果に対して報酬が発生する」契約形式のため、労働の時間は報酬に影響しない働き方であるためです。

このような状況から、労働者を保護するために偽装請負が法律でも禁じられています。

中間搾取の禁止

請負には複数の企業が関与するケースがあるため、それぞれの企業に中間マージンを搾取され、労働者がわずかな賃金しか受け取れない危険性があります。

このような状況を避けるため、労働賃金の中間搾取が禁じられています。

上記のような理由から、偽装請負が禁じられています。以下では、厚生労働省が定める偽装請負の基準やガイドラインについて解説します。

偽装請負を行った際の罰則と問題点について

もし偽装請負をしてしまった場合は、以下で解説する3つの法律に抵触する恐れがあり、罰則を受けるなどの問題点が生じます。

罰則

偽装請負に関しては「故意に偽装し派遣事業を行った場合は、派遣事業主であることを免れることができない」という規則の下、次の3つの法律により罰則が規定されています。

労働者派遣法

労働者派遣法に関する「偽装請負」の注意点は、人材派遣の許可を受けない者が人材派遣を行った場合に、法律違反として罰則が規定されています。

労働者派遣法では、偽装請負について、第24条2号で「派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主から、労働者派遣の役務の提供を受けてはならない」と規定しています。

偽装請負では、労働者の受け入れ側企業にも行政指導や是正措置命令、勧告や企業名公表などの罰則が課せられるため、注意が必要です。

労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護等に関する法律」です。偽装請負をおこなった発注主と請負事業主は、許可を受けないで労働者派遣事業をおこなった者と見なされるため「1年以下の懲役、又は100万円以下の罰金」(第59条2号)が科せられる可能性があります。

職業安定法

職業安定法に関する「偽装請負」では、人材派遣の許可を受けない者が発注者に人材派遣を行った場合や、供給された労働者に対して発注者が指揮命令を下した場合に法律違反となります。そしてこのケースに該当した場合には、職業安定法に基づいた以下の罰則が規定されています。

職業安定法第44条「労働者供給事業の禁止」において、労働者供給事業の許可を受けた以外のものが労働者供給事業をおこなうことや、そこから供給される労働者を自らの指揮命令下で労働させることを禁止しています。

この職業安定法第44条で違法な労働者供給事業であると見なされた場合は、発注主と請負事業主に「1年以下の懲役、又は100万円以下の罰金」(第64条9号)が科せられる可能性があります。

また罰則の対象者は当該の会社以外にも及び、違反行為を直接行った者や、従業員に指示しておこなわせた会社の代表者、管理職なども処罰の対象となる可能性があるため注意が必要です。

労働基準法

労働基準法の関する「偽装請負」では、人材派遣会社が請負を装って社会保険や福利厚生などのサービスを提供せずに労働者を派遣するケースや、請負会社が雇用する労働者に対して発注先の指揮命令下で労働させた場合等が該当します。

労働基準法第6条では「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」とされており、中間搾取が禁止されています。このため、請負を装った労働者供給や労働者派遣がおこなわれた場合は、請負事業主による中間搾取とみなされるケースがあります。

これに該当する場合は、発注主も搾取を幇助(ほうじょ)したとし、労働基準法違反となる可能性があります。この場合は「1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金」(同法118条)が科せられる可能性があります。

問題点

偽装請負の問題点は、基本的に現場で働く「労働者側」に大きな問題が生じる点にあります。特に雇用問題の責任の所在が不明確となることにより、現場で働く労働者の雇用条件や安全衛生、労働環境が適切に確保できなくなります。結果的として、労働者が不利な立場に置かれ、会社側が有利となる点が問題です。

労働者側に福利厚生が提供されない

人材派遣の場合は、派遣労働者が勤務先企業と雇用関係にあるため、労働法が適用されます。ところが、請負では労働者と勤務先企業に雇用関係は成立しません。そのため労働法が適用されず、労働者は健康保険や福利厚生などの社会保障のサービス全般を受けることができません。請負では「結果」に対して報酬が発生する契約形式であるため、労働の時間が報酬に影響しないなどの特徴があり、しっかりと内容を把握せずにいると労働者側に著しく損害を与える可能性があります。

契約解除・賠償責任のリスクも

雇用契約が成立している人材派遣では、合理的理由がない限り、雇用主 (派遣会社)の都合で契約解除できません。(労働契約法17条)

もし派遣先に損害が発生した場合は、労働者に悪意や重大な過失があった場合を除き「使用者責任」となり、雇用主(派遣会社)が賠償責任を負います。(民法715条)

しかし、請負契約では請負人が仕事を完成するまでの期間であれば、企業側から一方的な契約解除ができ、損害が発生すれば賠償請求も可能です。このため、偽装請負の状態では、労働者側に契約解除や賠償責任に関する不利益が生じます。

中間搾取が起こりやすい

請負では複数の企業が関与するケースが多く、中間マージンを各企業が搾取することにより、労働者が受け取る賃金が大きく減少する問題が生じます。

偽装請負とならないための対策

それでは、人材派遣会社が偽装請負とみなされないためには、どのように対応すれば良いのでしょうか。

偽装請負を避けるための主な対策については、以下のポイントに注意しましょう。

  1. 請負と派遣の違いについて理解すること
  2. 偽装請負とみなされる3つのケースを把握すること

2-1.発注元である企業が、直接指揮命令をしている場合は偽装請負となる

2-2.発注元である企業が、スタッフを選定・評価している場合は偽装請負となる

2-3.発注元である企業が、業務に関する規律を規定している場合は偽装請負となる

上記のポイントに留意することで、偽装請負となるケースを避けることができます。

偽装請負の罰則のまとめ

このように、近年は偽装請負が人材派遣などの関係企業の間で問題視されるようになっており、偽装請負に対する取り締まりも強化されています。そのため人材派遣会社には、更なるコンプライアンスの徹底と管理能力が必要となります。

人材派遣会社が偽装請負をしないためには、労働者から見て発注先の企業へ「派遣」されているのか「請負」として仕事をしているのかを明確にすることが重要です。それは、派遣先の企業と労働者を送り込む企業との間で締結されている契約が「労働者派遣契約」なのか「請負契約」なのかによって労働者への待遇が大きく異なるからです。

人材派遣会社で雇用する派遣労働者には労働法が適用され、労働時間や有給休暇、社会保険や福利厚生といった手当や保障を与えなければなりません。一方、請負として労働者に仕事を提供する場合は、各種保障や手当を施す必要がなくなります。

しかし、人材派遣会社は、基本的に「請負」を自社の派遣労働者にさせることができません。またその逆に、請負会社が雇用する労働者に対し、派遣労働をさせることもできません。

そこで人材派遣会社と請負会社の双方が、それぞれのルールをしっかりと把握し、法律に則った労務管理を徹底することが重要です。上記のルールを踏まえ、人材派遣会社は、自社の派遣社員に請負労働をさせないように注意しましょう。

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