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特定技能の登録支援機関とは?外国人労働者への具体的な支援や内製化を徹底解説!

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特定技能とは、比較的新しい外国人労働者へ発給される在留資格(ビザ)のことで、2019年4月に新設されました。この特定技能の目的は、一定水準を満たした技能や知識を持つ外国人労働者を受け入れることで、日本国内で人手不足が深刻化している特定の産業における労働者不足を解消することにあります。

この特定技能外国人を受け入れる場合には、労働者に対し、雇用する企業などの受け入れ機関がさまざまな支援をしなければなりません。その際に支援を行うものとして、今回ご紹介する「登録支援機関」が活躍します。

そこで本記事では、この特定技能の登録支援機関における外国人労働者への具体的な支援策や、支援の内製化について徹底解説します。

2022年4月現在、人材派遣で対応できる特定技能は「農業」と「漁業」の2業種に限られています。しかし今後の法改正により、特定技能の派遣対象が拡大される可能性は大いにあります。また、特定技能外国人労働者の増加を見込み、人材派遣事業から人材紹介事業へ業務を拡大する企業も目立っています。

そこで、これから特定技能ビザを持つ外国人労働者の受入れを活発化したいと考えている人材派遣会社の運営に携わる方は、ぜひ本記事を参考にしていただければ幸いです。

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特定技能の登録支援機関とは?

登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用する受け入れ機関から委託を受け、1号特定技能外国人の就労活動や、日常生活、社会生活上のさまざまな支援を行う機関のことを言います。

特定技能外国人に対する支援は、下記の10項目が規定されています。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保に・生活に必要な契約に係る支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(人員整理等の場合)
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

特定技能外国人を雇用する受入れ機関は、上記の支援項目ごとに支援を実施しなければなりません。この支援については「義務的支援」と「任意的支援」があり、それぞれが外国人労働者の安定した就労と、国内での生活を守ることを目的としています。

義務的支援として規定される支援内容については、専門性の高い項目が多く、しかも特定技能外国人の母国語で行わなければならないため、特定技能外国人を雇用する受入れ機関が直接支援することが難しいケースがあります。

そこで特定技能外国人の受入れ機関は、支援内容の一部、もしくはすべてを登録支援機関に委託できます。登録支援機関に支援計画を委託することで、受入れ機関は、すべての支援体制の条件を満たすことが可能です。

登録支援機関の担い手

登録支援機関として登録できるのは、各業界団体や民間法人にとどまらず、支援体制が整っていれば個人でも登録できます。

また、複数の受入れ機関と支援委託契約を締結可能なため、さまざまな業種の特定技能外国人の支援が可能です。

ただし、特定技能外国人の受け入れ機関から支援計画の委託を受けた登録支援機関が、更に別の登録支援機関に再委託することはできません。

登録支援機関の支援内容

登録支援機関が実施する支援内容は、上記の10項目に及ぶ支援体制の整備と、支援計画書の作成が主となります。この支援内容には、それぞれ「義務的支援」と「任意的支援」があります。

義務的支援と任意的支援

義務的支援とは、特定技能外国人に対する支援のうち「必ず実施しなければならない支援」です。また任意的支援については、より外国人労働者が働きやすい環境を提供するために、義務的支援の補助的な支援を行うといった位置づけとなります。

登録支援機関は、原則として3ヶ月ごとに1回の支援状況の報告を行う義務があります。

また、支援にかかるコストについては、特定技能外国人を雇用する企業など(受け入れ機関)が負担することとなります。

具体的な支援内容

登録支援機関が実施する具体的な支援内容は、上記の10項目に沿って行われます。

以下で、それぞれの「義務的支援」と「任意的支援」について解説します。

①事前ガイダンスの実施

事前ガイダンスは、日本での就労や生活について、外国人労働者に分かる言葉(主に母国語)で説明します。

実施方法は、原則として本人と分かるように対面で行うか、テレビ電話での実施が必要です。書類やメールでの実施は認められません。

またガイダンスの実施後は「事前ガイダンスの確認書」を用意し、外国人本人の署名を取った上で、在留資格申請時に添付が必要となります。実施時間も3時間程度が必要です。

義務的支援内容

  • 業務内容や報酬額などの労働条件に関する説明
  • 日本で行う活動の内容
  • 入国に必要な手続き
  • 保証金や違約金の支払いをしていない、またはしないこと
  • 母国送り出し機関に支払いをしていた場合は、その金額など
  • 支援費用を本人に負担させないこと
  • 入国時の空港からの送迎は受け入れ機関が行うこと
  • 住居に関する支援が受けられること、また負担金の有無など
  • 相談または苦情の受付先電話番号など

任意的支援内容

  • 日本の気候や服装について
  • 本国から持ち込みができるものや、できないもの
  • 日本で必要となる金額の目安
  • 雇用者側から支給のある内容について

また返済契約を結ぶことで、渡航費や当面の生活費を受け入れ企業が貸付することも可能です。

②空港送迎

受け入れ機関は、特定技能外国人に空港の送迎を実施することが義務づけられています。

送迎場所や渡航の費用負担については、事前ガイダンスで説明、確認しておきましょう。

義務的支援内容

  • 入国する際の空港や港から、外国人が就労する事業所や住居までを送迎する
  • 出国の際も空港や港まで特定技能の外国人を送迎する
  • 出国時は、空港の保安検査場まで同行し、入場の確認をする
  • 送迎の際の交通費は、受け入れ機関が負担する(※一時帰国の場合は送迎の義務はなし)

任意的支援内容

特にありません。

③-1住居に係る支援

特定技能の外国人の住居は、受け入れ機関側が確保する義務があります。住居の広さは1人当たり7.5平方メートル以上必要です。

義務的支援内容

受け入れ機関は、以下のいずれかの支援を行う義務があります。

  • 不動産情報などを提供し、必要に応じた住居探しのサポートする、また連帯保証人や緊急連絡先として登録すること
  • 賃借人となって賃貸借契約を結び、外国人の同意のうえで住居として提供すること
  • 受け入れ機関所有の社宅等を外国人の同意のうえで住居として提供すること

任意的支援内容

雇用契約終了後、次の受け入れ機関へ移行するまでの間、元の受け入れ機関が外国人にそのまま住居を提供することも可能です。

③-2生活に必要な契約に係る支援

特定技能の外国人には、就労に必要なサポートだけではなく、生活上必要な銀行口座や携帯電話などを提供する必要があります。

ただし、技能実習からの移行などで既に上記を保有している場合は、サポートの必要がありません。

義務的支援内容

銀行などの貯金口座の開設や携帯電話の利用、ライフライン(水道・電気・ガスなどの契約)の際に必要に応じた補助を行うこと

任意的支援内容

生活上に必要な手続きについて、必要に応じた補助をすることが望ましい

④生活オリエンテーションの実施

生活オリエンテーションの実施は、原則として義務的支援となります。

義務的支援内容

受け入れ機関は、特定技能の外国人の入国又は在留資格の変更後に、外国人本人が理解できる言語で生活オリエンテーションを行わなければなりません。

この際は、特定技能の外国人が分かるまでオリエンテーションを続ける必要があり、8時間以上の実施が必要です。

オリエンテーションで実施する内容は以下のように規定されています。

  • 金融機関の利用方法
  • 医療機関の利用方法
  • 交通ルール
  • 交通機関の利用方法
  • 生活ルール・マナー
  • 生活必需品の購入方法
  • 災害情報の入手方法
  • 日本で違法となる行為

任意的支援内容

受け入れ機関は、必要に応じて生活オリエンテーションを定期面談時に実施することができます。

⑤公的手続き等への同行

特定技能の外国人が公的手続きを行う際は、必要に応じて受け入れ機関が同行しなければなりません。

義務的支援内容

必要に応じて同行、書類作成のサポートが求められる手続きは、以下のとおりです。

  • 所属機関などに関する届出
  • 住居地に関する届出
  • 社会保障・税に関する届出
  • その他の行政手続き

なお「社会保障・税に関する届出」にはマイナンバー手続きなどが含まれ「その他の行政手続き」には自転車の防犯登録などが含まれます。

任意的支援内容

国民健康保険や国民年金については、外国人本人が手続きをしなければなりません。そのような際も、できるだけ同行しましょう。

⑥日本語学習機会の提供

特定技能外国人への日本語学習の機会提供が義務付けられています。

義務的支援内容

受け入れ機関は、以下の3つのうち、いずれかの支援を行う義務があります。

  • 就労地域の日本語教室などの情報を提供し、必要に応じて同行や入学手続きのサポートを行うこと
  • 自主学習のためのオンライン講座や学習教材の情報を提供し、必要に応じや利用や入会の手続きのサポートを行うこと
  • 特定技能外国人の同意の上で、受け入れ機関が日本語教師と契約し、日本語の学習機会を提供すること

任意的支援内容

受け入れ機関は、特定技能外国人の日本語学習に対して経済的支援を行うことが認められています。

⑦相談・苦情への対応

苦情や相談への対応は、プライバシー保護の観点からも慎重に行う必要があります。相談を受けた場合は、相談記録書に記載します。

義務的支援内容

受け入れ機関は、相談者が十分に理解できる言葉で相談に応じるだけでなく、必要な助言や支援を行うことが求められます。また、必要に応じて相談内容に応じて適切な機関を介し、必要な手続きの補助を行わなければなりません。

任意的支援内容

相談・苦情への対応窓口を設置しておくなど、いつでも相談できる環境を整えておきましょう。

⑧日本人との交流促進

日本で就労する外国人は、日本人との交流の機会がなかなか作れないこともあります。そこで、日本人との交流機会を提供するのも受け入れ機関の大切な支援です。

義務的支援内容

受け入れ機関は、地域の交流の場を促進するため、地域自治会などの案内や地域の行事ごとへの積極的な参加ができるようにサポートを行います。また必要に応じて、特定技能外国人に同行し、行事の注意事項や行い方について説明することが求められます。

その他にも、日本の文化理解のために必要な情報として、就労又は生活する地域のイベントの情報を提供し、同行するなどの支援を行う必要があります。

任意的支援内容

特定技能外国人がイベントに参加したい場合は、有給休暇の取得や勤務時間にも配慮しましょう。

⑨転職支援

特定技能外国人が、受け入れ側の事情によって雇用契約を解除する場合は、転職の支援を行わなければなりません。

義務的支援内容

転職に関しては、以下のいずれかの支援を行う必要があります。

  • 所属する業界団体や関連企業などを通じ、次の受け入れ先の情報を入手、提供すること
  • 公共職業安定所などの職業安定機関・職業紹介所などを案内し、必要に応じて同行し、次の受け入れ先を探す援助を行うこと
  • 特定技能外国人の希望条件、技能水準、日本語能力などを踏まえ、推薦状を作成すること
  • 受け入れ機関が職業紹介事業の許可・届出を受け、職業紹介事業を行える場合は就職先の紹介あっせんを行うこと

また、以下の支援も義務付けられています。

  • 求職活動に際し、有給休暇を与えること
  • 離職時に必要な手続きの情報を提供すること

任意的支援内容

雇用契約の解除後も、次の受け入れ先が決まるまで、できるだけの支援を行いましょう。

⑩定期的な面談、行政機関への通報

定期的な面談や行政機関への通報に関しては、受け入れ期間中、継続的に行う必要があります。

義務的支援内容

受け入れ機関は、特定技能外国人と、3ヶ月に1回以上の定期的な面談を行うことが義務付けられています。就労や生活全般について、不安や不満がないかといった内容で、面談を実施します。

面談については、特定技能外国人が十分に理解できる言語で行わなければなりません。面談の内容により、労働基準法や入管ルールなどに違反していることが発覚した場合は、労働基準監督署や地方出入国在留管理局などに通報しなければなりません。

任意的支援内容

特定技能外国人が直接通報しやすいよう、関係行政機関の連絡先を事前に通知しておきましょう。

特定技能外国人の受け入れ機関は支援を内製化できる

特定技能外国人の受け入れ機関は、自社で適切に支援を実施できる場合、支援業務を内製化できます。ただし、適正な支援体制があると認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

内製化の条件

外国人の受け入れ機関が支援業務を内製化するには、以下の6つの条件を満たす必要があります。

①中長期在留外国人の受け入れ実績があること(以下イ~ハのいずれかに該当すること)

  1. イ. 過去2年間に中長期外国人の受け入れ実績があること、及び支援の責任者と担当者(事業所ごとに1名以上)を選任していること
  2. ロ. 過去2年の間に、中長期外国人の生活相談業務に従事した経験がある役職員から、支援責任者と担当者(事業所ごとに1名以上)を選任していること
  3. ハ. 上記と同程度に支援業務を実施できるとの証明が可能であること

上記のイ~ハについては、過去に技能実習生を受け入れている企業であれば基本的にクリアできる条件と言えるでしょう。

②1号特定技能外国人が十分に理解できる言語で情報提供や相談体制が整っていること

専任の通訳ではなく、必要な時に委託できる通訳を確保できれば問題ありません。

③支援計画書などの支援に関する書類を作成し、保管できること

④中立的な支援責任者、及び担当者を選任できること

1号特定技能外国人に対して指揮命令権を持たない、人事部などがあれば問題ないでしょう。

⑤支援の実施を怠ったことがないこと

特定技能外国人の雇用契約締結前の5年以内、または締結後に支援を怠っていた場合は、支援体制が不十分と判断される可能性があります。

⑥1号特的技能外国人及び監督者と、定期的な面談を実施できること

原則として、定期面談は3ヶ月に1回以上の頻度が必要とされています。

登録支援機関になる方法

登録支援機関へは、特定の事項を満たしている場合、団体でも個人でも申請可能です。

登録支援機関の資格を受けるためには、下記の条件を満たす必要があります。

  • 機関自体が適切であること
  • 外国人を支援する体制があること

上記の2点については、具体的に以下の6つの条件が規定されています。

① 支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること

②  下記の1~4のうち、いずれに該当すること

  1. 個人や団体を問わず、2年以内に中長期在留者の受け入れ実績があること
  2. 登録支援機関になろうとする個人や団体が、2年以内に報酬を得る目的で、外国人に関する各種相談業務に従事した経験があること
  3.  選任された支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験があること
  4. 上記のほか、登録支援機関になろうとする個人や団体が、これらと同程度の支援業務を適正に実施できると認められていること

③ 1年以内に責めに帰すべき事由により、特定技能外国人、または技能実習生の行方不明者を発生させていないこと

④ 支援の費用を直接、または間接的に外国人本人に負担させないこと

⑤ 刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと

⑥ 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正、または不当な行為を行なっていないこと

上記の条件を満たすことで、原則として登録支援機関への登録が可能となります。

支援業務は内部委託すべきか?

登録支援機関に外部委託する場合、基本的な料金相場は、外国人1人あたり毎月2万〜3万円程度となっています。技能実習の3万5千〜5万円程度と比較すると安いとはいえ、雇用人数が多い企業や長期継続を見込む受け入れ企業にとっては、コストの負担が増大します。

ただし内製化した場合でも、自社のリソースを割くこととなるため、いずれにしても費用がかかります。また人事部などの中立的な立場で支援を実施できる機能がない企業や、外国人材の受け入れ経験がない企業については、基本的に登録支援機関への外部委託が必要です。

仮に上記の要件を満たしている場合でも「自社のリソースが足りない」や「特定技能の受け入れが初めてで不安」という企業においては、登録支援機関への外部委託が賢明と言えるでしょう。

しかし支援業務を内製化できれば、毎月の委託料を払う必要がなくなり、コストの削減とともに労働者への労働条件の向上にも繋がります。今後の労働者不足が懸念される中、労働条件の改善は、最も重要な要素となります。

そこで自社の運営の安定と人材の確保の両面において、特定技能外国人の支援活動の内製化への準備を進めることも重要です。

特定技能における登録支援機関のまとめ

このように1号特定技能外国人を受け入れる場合は、受け入れ先の企業側が直接支援を行うケースと、登録支援機関が代行するケースがあります。しかし、支援業務は外部委託が可能なため、登録支援機関に外部委託する企業が多いのが現状です。

そこで登録支援機関を選ぶ際には、規定された支援だけではなく、外国人材が定着するために独自の支援サービスも行っている登録支援機関を選択しましょう。また登録申請方法を確認すれば、自らが登録支援機関になることも難しいことではありません。

そこで、現在取り扱える業種が農業と漁業のみとなっている人材派遣業務において、人材派遣会社で登録支援機関としての役割を果たす事も十分可能です。今後拡大が期待される特定技能外国人においては、人材派遣会社が登録支援機関を担う準備をしてみてはいかがでしょうか。

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