派遣企業に登録する求職者が、派遣先に就業する前に行うのが「職場見学」です。
職場見学行う派遣先企業の中には、派遣元の企業にとっても初取引となるケースもあります。
そこで今回は、派遣先の企業へ職場見学に伺う前に準備することや注意点を、まとめて紹介します。
職場見学は、求職者だけでなく派遣元にとっても重要なイベントです。人材派遣企業で営業を担当されている方は、ぜひこの記事を参考にして、漏れの無いように職場見学の準備を進めて下さい。
職場見学とは
派遣事業における職場見学とは、派遣スタッフが派遣先候補の職場に訪れることを指します。派遣スタッフは実際に働いている様子や仕事内容などを確認し、派遣先候補の職場が自分にあった環境かどうかを確認できます。
この職場見学は、派遣スタッフがその職場で働くかどうか意思決定するためにあり、職場見学をしたからといって必ずそこで働かなければならないわけではなりません。
職場見学と面接の違い
派遣スタッフの職場見学は面接とは違います。参加はあくまで任意であり強制ではありません。
職場見学をする前に面接をすることは労働者派遣法で禁止されているため、派遣事業運営者の方や、これから派遣スタッフを迎えようとしている方は注意が必要です。
先に派遣先候補である職場を見学することで、派遣先企業と派遣スタッフのミスマッチを解消できます。
職場見学前日まで
職場見学は、原則として派遣スタッフの希望によって行われます。そこで、派遣スタッフが職場見学を希望したら、派遣先企業の担当者と職場見学会の打ち合わせを行いましょう。
今回スタッフを派遣する企業が、初めて自社との取引になる場合には、特に待ち合わせ場所やアクセス等の確認を綿密に行い、見学に要する時間や、担当者との連絡先の交換、緊急時の連絡先も確認しておきます。
また、派遣スタッフへのフォローも大切です。職場見学では、派遣先企業の担当者から派遣スタッフへのスキルや経験等を質問されることがあるため、派遣スタッフと打ち合わせを行い、ある程度シミュレーションしておくと派遣スタッフが安心して見学できます。派遣が初めてのスタッフの場合はとくに不安があるかもしれません。そのような不安感を取ってあげることも、派遣企業の仕事の1つです。派遣スタッフから、職場への疑問などがあれば、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
それでは、職場見学前日までの流れを見ていきましょう。
日程調整
派遣スタッフへ、派遣先企業候補を提示し、求職者が望んだ派遣先企業へ職場見学の要望を伝えます。派遣事業では基本的に求職者の任意によって職場見学をするかどうかを決められます。
もちろん、派遣先企業も日程の調整ができなければ断ることはできますが、職場見学をせずに入社するのは就業後のミスマッチが発生して離職するなどのリスクが高いと考えられます。そのため、できるだけ日程を調整し職場見学を行うようにしましょう。
スキルシートの用意
職場見学の日程が調整できたら、次に求職者のスキルシートを用意します。
このスキルシートを元に派遣先企業は派遣スタッフの受け入れを判断するため、各個人のスキルシートに誤りがないかを確認しておきます。
前日リマインド
最後に派遣先企業への職場見学の前日リマインドをします。
派遣会社に集合する場合もあれば、現地集合の場合など、集合場所は様々です。求職者の自宅に派遣先企業が近い場合などは、直接派遣先企業に向かわせても良いですが、身だしなみや忘れ物など少しでも心配がある場合はできるだけ派遣会社に一旦集合することがおすすめです。
当日はスキルシートを持参することになるため、派遣先担当者も含めて少し多めにスキルシートを印刷して用意しておきましょう。
職場見学当日
職場見学当時はただ求職者と派遣先企業に訪れて見学するだけではありません。
職場見学当日の派遣会社の営業担当者のやることは以下の3つです。
- 1.打ち合わせ(求職者、派遣営業担当の2者)
- 2.職場見学(求職者、派遣先担当者、派遣営業担当の3者)
- 3.面談(派遣先担当者、派遣営業担当の2者)
順に確認していきましょう。
1.打ち合わせ (求職者、派遣営業担当の2者)
求職者と共に職場見学へ向かう前に早めに待ち合わせ、第三者から見て求職者の印象が良いかどうかを確認しましょう。お互いの身だしなみチェックはもちろん、職場の雰囲気や派遣先企業の担当者の方の印象などを説明します。そして、派遣先企業についてからどのような流れで職場見学が進むのかを説明し、この時点で気になることなどを整理しておきます。
2.職場見学(求職者、派遣先担当者、派遣営業担当の3者)
実際に派遣先企業に到着したら、まずは求職者と派遣先担当者から挨拶を行います。
まずは派遣スタッフのスキルシートを提出し、求職者のスキルや経歴、どのような人物かを口頭で説明します。基本的には、派遣スタッフと派遣先企業の担当者の自己紹介と挨拶から始めますが、派遣元の営業として両者の間に入り、補足が必要なケースではフォローを入れるようにましょう。
一通りの挨拶が終ると、次は派遣先が依頼する業務の内容やその他業務に関連する項目の説明に移ります。その際に、何かわからないことや質問事項がないかなど、求職者が積極的に仕事に取り組もうとしている姿勢をアピールし、サポートしてあげましょう。見学終了後は派遣先の担当者から求職者に質問が行われますので、受け答えを聞いて、過不足なくフォローします。そして最後に挨拶を交し、求職者の見学は終了です。
ここまで、職場見学自体に要する時間は30分~1時間程度となりますが、派遣先の企業にとっては就業時間中の忙しい時間にお邪魔することになります。そこで、あらかじめ流れを確認しておき、できるだけ滞りなく進めることが重要です。
面談(派遣先担当者、派遣営業担当の2者)
職場見学が終了すると、求職者には先に帰宅してもらい、派遣先の担当者と2者だけで面談をします。その際に、今回職場見学に訪れた求職者の受け入れ可否や受け入れ予定日を確認します。この時に、受入れについての明確な答えを貰えない時は、いつ返事を貰えるかの確認をしておきましょう。
また、受入れ可能となったときは、求職者の意向も聞かなければなりません。そのため、採用が決まってから就業開始までにどれくらいの時間が必要かを加味しながら打ち合わせを行ってください。
職場見学後
職場見学が終わり、就業が決まれば、求職者や派遣先企業との契約確認や書類の作成などを行います。ただ、派遣先の返答に時間がかかる場合(派遣先に応募が多いケースでは、一通りの見学会が終ってから採用者を決めることがある)には、求職者へのフォローを行います。
求職者からのフィードバック
求職者から職場見学の感想を聞き、見学先の企業への就業の意思があるかどうかの確認をとる必要があります。求職者は、職場見学をしたからといって、必ずしもそこで働かないといけないということはありません。
もしも職場の雰囲気や、仕事の内容が合わないと感じた時は、素直に申し出て貰いましょう。一旦就業してからすぐに辞めてしまうと、派遣先にも迷惑がかかり、今後自社からの派遣労働者の受入れをしてもらえなくなるリスクも生じます。
そうならないためにも、求職者から職場に対する感想をしっかりと聞きながら、派遣就労をきめていきましょう。
派遣先へのお礼連絡
派遣元の営業担当者は、見学会が終わった後少なくとも翌日か2営業日以内に、派遣先へのお礼の連絡を入れるようにしてください。お礼を伝える時は、必ず電話を使います。くれぐれもメールやチャットで済まさないように注意しましょう(相手先から連絡先の指定があれば別です)。お礼の連絡の際は、先日の見学会に時間を割いていただいた感謝と、派遣の受入れを検討していただいた事へのお礼を伝えます。そしてその後から、派遣先から求職者への意思、求職者から派遣先への意思の確認を行います。
求職者が勤務を希望する場合
求職者が見学した派遣先の企業に就業を希望しており、派遣先企業も受入れを決めている場合は、就業日を決定し、それまでに準備する書類等の確認を行いましょう。また、見学終了時点でまだ採用が決まっていない場合は、派遣先企業の他の選考の進み具合や状況を聞き、返答を貰える期限を確認しておきます。選考に長い時間がかかるようであれば、求職者と相談の上、別の案件を紹介することも検討します。
求職者が勤務を希望しない場合
見学会の終了後に派遣先が受入れを決めても、求職者が断りを入れることもあります。そのような場合、迅速に対応して即派遣先に伝えましょう。そして、せっかく時間を取ってもらったことへのお詫びの言葉とともに、求職者が辞退した理由を説明します。そして重要なことは、次の求職者をすぐに選定して紹介することです。また求職者に対しても、派遣先を断る理由を聞き出し、次の求職者の意向に合いそうな企業を紹介しなければなりません。派遣元の企業にとっては、求職者も派遣先も大切なお客様であり、ビジネスパートナーでもあります。そこで、できるだけ迅速に対応するように心がけましょう。
まとめ
今回は、派遣元の営業担当が、派遣先の職場見学会に出向く際の準備や注意点を中心に解説してきました。この見学会に向けた事前準備や調整、そして当日のファシリテーションによって、派遣先と求職者のマッチングの確率向上に期待できます。
職場見学会は、派遣先と求職者が、相互に理解を深め、就業後のミスマッチを避けるためにも重要な役割を果たします。そのファシリテーターを務める重要な役割を果たすのが、派遣元の営業担当です。今後、派遣先や派遣スタッフと長いお付き合いができるように、そして会社の業績アップにも繋がるように、この記事を参考にして確実に準備をしてください。