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派遣会社の年末業務効率化!派遣スタッフの年末調整対応マニュアル

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人事労務担当者の方々にとって、秋は年末調整の季節。年末調整は、労務担当者にとっては1年の中でも大きな仕事といえます。早めの準備をすることでミスやトラブルは格段に減るため、9月から年末調整に向けた体制作りが始める企業も少なくないのでは。

年末調整は、毎年のことなので慣れていらっしゃるかもしれませんが、計算方法や提出方法などは変更の頻度が高く、その年ごとのルールに従わなければならないため、注意が必要です。しかもそれが派遣会社となると、一般的な事業会社に比べ多様な雇用形態が考えられるため、複数の派遣元に所属している場合があるなど、派遣会社特有の課題もあり、非常に骨の折れる仕事なのではないでしょうか。

しかし、適切な知識と効率的なツールがあれば、この複雑な業務も効果的に進められます。

本記事では、派遣会社の人事担当者の方々に向けて、派遣スタッフの年末調整を円滑に進めるためのポイントをわかりやすく解説します。10月ごろから始まる準備期から、年末調整の提出までの流れ、年末調整の基本、派遣特有の課題、そして業務効率化のための具体的な方策まで、幅広くカバーしています。この記事を参考に、今年の年末調整の準備を万全に整え、効率的に実施しましょう。

年末調整とは

年末調整とは、1年間の所得税の過不足を清算する労務手続きのことです。法人であれば対応は必須、個人事業主でも、従業員を雇っている場合は原則対応が必要な手続きです。所得税は、扶養親族の有無、生命保険への加入、住宅ローンを組んでいるなどしている場合、控除が受けられるようになっています。しかし、月々の給与から天引きされている所得税は、このような控除状況を勘案せず、概算で算出するため、年末に調整する必要があるのです。

年末調整のやり方は年度によって少しずつ手続き方法や計算方法などが異なるため、国税庁のホームページや、税務署からの案内などに注意する必要があります。

年末調整は、どのような法人であっても必要ですが、派遣企業の年末調整で留意すべき点を以下に説明していきましょう。

派遣会社の年末調整

対象となるスタッフ(基本)

まず、対象となるのは12月31日時点で雇用されている派遣スタッフです。12月31日前に退職した場合は、原則として年末調整の対象外となります。

年末調整は、雇用形態(パート、アルバイト、短期・長期)によって要不要は変わりません。どのような場合であっても、12月31日時点で雇用関係がある場合は年末調整の対象となります。

複数の派遣会社で同時に就労している場合(副業も含む)

派遣スタッフが同時に複数の派遣元からスタッフとして就労している場合、主たる給与支払者を決定する必要があります。通常、給与収入が最も多い事業所となります。主たる給与支払者である派遣会社が他の事業所からの給与も合算して計算し、年末調整を実施します。ただし、主たる給与支払者以外からの報酬金額が年間で20万円を超える場合、派遣スタッフ自身で確定申告をする必要があります。副業や、株の配当所得、不動産所得などでも年間20万円を超える場合は同様です。

年の途中から派遣スタッフになった場合

2社以上の派遣会社で働いているが、期間が重複していない場合は、12月31日に雇用契約を結んでいる派遣会社で年末調整を実施します。このような途中入社の派遣スタッフの場合、入社前の給与や源泉徴収税額も合算して計算する必要があります。前職がある場合は、派遣スタッフに対して年末調整の重要性や必要書類について明確に説明し、忘れないように提出してもらうことが年末調整業務の大きなポイントとなるでしょう。なお、年末調整の期日までに、前職の源泉徴収票が間に合わなかった場合、派遣スタッフ自身が個別で確定申告をする必要があります。

派遣スタッフの年末調整のスケジュール目安

派遣スタッフの年末調整の手順は以下の通りです。

  1. 1:派遣会社から、スタッフへ年末調整に関する書類を送付する(10月末~11月初旬)
  2. 2:必要書類を準備してもらう(~11月下旬)
  3. 3:必要書類を派遣会社へ郵送してもらう(11月~12月初旬)
  4. 4:還付金・徴収金を確認してもらう(12月)

1:派遣会社から、スタッフへ年末調整に関する書類を送付する

派遣スタッフに対し、年末調整のお知らせの連絡とともに、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を郵送します。年末調整のお知らせの連絡は、紙面だけでなく、いつも利用しているコミュニケーションツールでも連絡し、周知させておく必要があります。

2:必要書類を準備してもらう

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」以外に派遣スタッフの年末調整に必要な書類は、次のような書類も派遣社スタッフに準備してもらう必要があります。

  • 前職の源泉徴収票(その年に転職して派遣会社で働き始めた場合)
  • 各種保険料控除証明書(個人で保険を契約している場合)
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書(扶養対象の配偶者がいる場合)

※前職の源泉徴収票は、転職の他、派遣会社を変えた場合でも必要です。

3:必要書類を派遣会社へ郵送してもらう

1,2で準備した年末調整の必要書類を、期日内に漏れなく郵送してもらう必要があります。必須事項が抜けていた、資料が全部そろっていなかったなどのトラブルは想定内として、余裕をもった期日設定と、チェックリストを活用するなどし、ミスを防ぐ工夫が求められます。

4:還付金・徴収金を確認してもらう

還付金や徴収金は、12月か1月に支払われる給与から調整されることが一般的です。12月や1月に給与支払いがない場合でも、還付金は支払う必要があります。また、徴収金についても派遣スタッフとの相談の上、徴収方法を考える必要があります。

年末調整の電子化は積極的に取り組もう

昨今では年末調整手続きを電子化し、メールなどデジタルで対応できる方法もあります。デジタル化したほうが郵送の手間が省けるうえに、日程にも余裕が出ます。しかし、派遣スタッフによっては、紙のほうが対応しやすいなどの傾向がありますから、派遣会社は雇用しているスタッフの年齢や状況をみて選択すると良いでしょう。

派遣スタッフの年末調整作業における課題

派遣会社が直面する年末調整の課題は多岐にわたります。これらの課題を適切に理解し、対策を講じることこそ、効率的な年末調整対策となるでしょう。

多様な勤務先と就労状況への対応

派遣スタッフとして働いていると、複数の派遣先で就労するケースや、年の途中で派遣先が変更になるケースが珍しくありません。このような状況下では、各派遣先からの給与情報を正確に集計し、一元管理することが求められます。

さらに、同時期に2つ以上の仕事をしている場合も、正社員に比べて多くなります。この場合、先に記載した通り、主たる給与支払者の決定や、複数の源泉徴収票の合算など、通常の従業員とは異なる複雑な処理が必要となります。

また、派遣スタッフの就労期間も多様です。年間を通じて就労している場合もあれば、短期間の就労や年の途中からの就労など、様々なケースが存在します。こうした多様な就労状況に対応し、それぞれの状況に応じた適切な年末調整処理を行うことが求められます。

派遣スタッフの個別の事情を加味した年末調整作業が派遣会社には求められます。

大量の書類処理と計算ミスのリスク

派遣会社は多数の派遣スタッフを抱えているため、年末調整時期には大量の書類処理が発生します。この過程で、人為的ミスのリスクが高まります。派遣スタッフ一人ひとりの状況(扶養家族の有無、保険料の支払い状況など)を正確に把握し、適切に処理することも重要な課題となります。

法改正などへの迅速な対応

税制改正は毎年のように行われるため、最新の制度に合わせて迅速に対応する必要があります。特に、年末調整の計算方法や提出方法の変更に注意を払い、適切に対応することが求められます。

毎年、変更された内容を正確に理解し、対応しなければなりません。この対応を怠ると、誤った年末調整処理を行うリスクが高まってしまいます。

データの一元管理の難しさ

派遣スタッフの個人情報、給与情報、控除情報など、多岐にわたるデータを安全かつ効率的に管理することは大きな課題です。特に、1年を通じて派遣先が複数あり、給与が変わっている場合や、年の途中で派遣元が変更になっている場合など、データの散在や不整合が生じやすい状況では、より一層の注意が必要です。

正確な年末調整を行うためには、これらのデータを一元管理し、必要な時に必要な情報にすぐにアクセスできる体制を整えることが重要です。

派遣スタッフの年末調整をラクにする方法

派遣という働き方の特性から、フルタイムから時短、シフト制、超短期など、さまざまな働き方をされているスタッフの勤怠を管理し、給与計算・支払いをしなければならないため、派遣会社の労務担当者の方々は、年末調整以外の通常業務自体が非常に多忙でしょう。

そのような中で、さらに年末調整の業務が増えるのですから、一層大変です。これらの業務を簡単かつラクにする方法としておすすめなのが「派遣会社向けの管理システム」の活用です。

派遣会社向けの管理システムとは、人材派遣業に関わる様々な情報を管理し、業務を効率化するシステムのことです。求人情報や各スタッフの情報、派遣先企業の情報などを管理できるうえに、求人と求職者のマッチング機能や、給与計算、契約書管理、法令対応書類作成機能などもできるものもあります。

管理システムの活用により、年末調整業務の効率化だけでなく、派遣業務全体の生産性向上と品質改善が期待できます。派遣会社の皆様は、この機会に派遣システムの導入や既存システムの見直しを検討してみてはいかがでしょうか。


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さらに「年末調整が複雑で、いまいちよく理解できていない」「対応しているが、抜け漏れがないか不安」などの悩みは、税理士への相談がおすすめです。

年末調整業務そのものを一括でお願いすることもできますし、自社で実施した年末調整の最終チェックだけをお願いすることも可能です。

クイノス総合会計事務所では年末調整業務だけでなく、派遣業界の税務・会計・監査に詳しく、相談から作成までお願いできます。税務・会計に困った場合は相談してみてください。
クイノス総合会計事務所:https://quinnos-cpa.com
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