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特定技能ビザとは?特定技能1号・2号の違いや在留資格の手続き方法を解説!

「特定技能」とは、比較的新しい在留資格(ビザ)で、2019年5月に新設されました。

この特定技能ビザの目的は、日本国内で人手不足がとくに深刻化している特定の産業について、一定水準を満たした技能や知識を持つ外国人労働者を受け入れることで、労働者不足を解消することです。

特定技能は、特定技能1号と2号に分けられており、外国人を受け入れ可能な業種が全部で14種あります。これらに従事するためには、労働者となる外国人がそれぞれの分野別に実施される試験に合格する必要があります。受験資格に関する要件や、合格後の活動範囲も細かく規定されており、他の外国人就労ビザよりも複雑です。

そこで今回は、この特定技能ビザについて、特定技能1号・2号の違いや在留資格の手続きなどを徹底解説します。

今後外国人労働者の受入れを検討している企業に対し、特定技能ビザを持つ外国人労働者の受入れをすすめたいと考えている人材派遣会社の運営に携わる方は、ぜひ参考にしてください。

在留資格の「特定技能」とは

在留資格は通称「ビザ」と呼ばれており、外国人が合法的に日本で就労し、経済活動を行うことができる範囲を示したものを言います。2022年3月現在、全29種類の在留資格があります。

その中でも特定技能は、2019年5月に新設された外国人労働者を受け入れるための在留資格です。この在留資格は、国内で労働者不足が深刻化している14の産業における人手不足を解消するために制定されました。ただし、受け入れ可能な外国人には一定水準以上の技能や知識の取得が義務付けられており、各産業別に行われる試験に合格する必要があります。

在留資格の特定技能1号と2号について

特定技能は、在留資格「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類に分けられています。2022年3月現在、日本国内に在留するほとんどの外国人労働者は「特定技能1号」であるため、特定技能は「特定技能1号」を指す場合がほとんどです。

特定技能1号とは、特定の産業分野において「相当程度の知識と経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」となっており、ある程度のコミュニケーション能力と知識があれば取得できる内容となっています。

しかし特定技能2号については、特定産業分野において「熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」であり、コミュニケーション能力や知識はもちろん、熟練した技能が求められるのが特徴です。

これらの資格によって、それぞれ日本国内に在留できる期間も定められています。

特定技能1号の場合は、4か月・6ヶ月・1年毎の更新が必要で、通算の在留期間の上限が5年です。特定技能2号の場合は、6ヶ月・1年・3年毎の更新で、更新を続けることで将来的に「永住ビザ」の申請も可能となります。また特定技能2号の場合は、家族の帯同も認められています。

特定技能に申請できる人の条件

特定技能の在留資格を申請するためには、以下の10の要件と基準を満たす必要があります。ここでは、特定技能1号に申請する人が満たすべき基準について解説します。

以下は、出入国在留管理庁が出す「特定技能外国人受入に関する運用要領」において記されている基準の概要です。

  1. 1.満18歳以上であること
  2. 2.健康状態が良好であること
  3. 3.退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
  4. 4.保証金の徴収等をされていないこと
  5. 5.外国の機関に費用を支払っている場合、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
  6. 6.送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること
  7. 7.食費,居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること
  8. 8.分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
  9. 9.要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること(ただし、技能実習2号を良好に修了している者であり、かつ、技能実習において修得した技能が、従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められる場合は、これに該当する必要がない)
  10. 10.特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

なお、詳しくは出入国在留管理庁の「特定技能外国人受入れに関する運用要領」をご確認ください。

特定技能人材を雇用できる企業

産業分類では、以下の14種分野に該当しなければなりません。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材産業
  • 産業機械製造業
  • 電気・電子情報関連産業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食
  • 建設
  • 造船・舶用工業

なお、特定技能2号に該当する産業分野は「建設」と「造船・舶用工業」のみとなっています。また、企業や事業者が特定技能人材を雇用するために満たすべき基準や欠格要件については「出入国在留管理庁のホームページ」よりご確認ください。

雇用契約について

特定技能では、14の産業分野ごとに従事できる業務内容が定められています。そして、その定められた業務を遂行するための適切な雇用契約を締結していなければなりません。とくに特定技能で来日した人材の派遣業務が許されている業種は「農業」と「漁業」のみとなっています。それ以外の業種では企業が直接雇用する形態となります。

特定技能特有の仕組み

特定技能には、他の就労ビザにはない特有の仕組みがあります。

以下では、特定技能だけの仕組みである「支援計画と登録支援機関」「二国間協定」「協議会」について解説します。

支援計画と登録支援機関

外国人労働者の受入機関(就労先の企業や事業者)は、1号特定技能外国人に対し「特定技能1号」に定められた活動を安定的かつ円滑に行えるように支援しなければなりません。この支援は、仕事だけではなく、プライベートにおいても日本の生活になじめるようにするためのものです。このような生活全般のサポートの計画を「支援計画」と呼び、自社で個別に対応できない場合は、外部へ委託することも可能です。この委託先を「登録支援機関」と呼びます。

なお、登録支援機関については、出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」からご確認ください。

二国間協定について

二国間協定とは、特定技能制度を適正に運用するために設けられた協定です。

2022年3月現在、二国間協定の覚書を交わしている国は以下の13ヶ国となっています。

  • フィリピン
  • カンボジア
  • ネパール
  • ミャンマー
  • モンゴル
  • スリランカ
  • インドネシア
  • ベトナム
  • バングラデュ
  • ウズベキスタン
  • パキスタン
  • タイ
  • インド

協議会について

協議会とは、特定技能制度の適切な運用を図るために、特定産業分野ごとの所管省庁が設置するものです。協議会では、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるように、制度や法令順守を周知徹底し、地域ごとの人手不足に対し必要となる対応をしています。また特定技能外国人を受け入れるすべての機関は、これらの協議会の構成要員となる必要があります。

特定技能1号の採用からビザ申請の流れ

2022年3月現在、建設分野と造船舶用工業においては、在留資格「特定技能2号」の取得が可能となっています。「特定技能2号」の技能レベルは在留資格「特定技能1号」よりも高くなるため、資格取得が難しいのが現状です。

そこで、ここでは在留資格「特定技能1号」の雇用と就労手続きについて解説します。

人材の採用から在留資格の申請までに多くの手続きがあるため、以下で手順を確認してください。

特定技能者を雇用するまでの流れ

  1. 1.業務内容の要件を確認する…特定技能で認められる業務内容であるかを確認
  2. 2.事業所の要件を確認する…就業場所が1で確認した業務内容を行うことができるかを確認
  3. 3.人材の要件を確認する…特定技能人材に必要となる資格があるかを確認
  4. 4.求人票を作成する…1~3で確認した要件を満たすように求人票を作成
  5. 5.内定を出す… 内定を出して雇用する人材を確定
  6. 6.支援計画書を作成する…特定技能人材の生活をサポートするための支援計画を策定
  7. 7.事前ガイダンスを行う…特定技能人材に対し、就業前のガイダンスを実施
  8. 8.ビザの申請を行う…必要書類を収集し申請書を作成、入管へ申請(※次の項で詳しく解説します)
  9. 9.雇用後の届け出を行う…日本人の場合と同様に雇用保険や社会保険等の手続きが必要
  10. 10.協議会への入会をする…外国人の就労開始から4か月以内に分野別に設けられた協議会に入会
  11. 11.四半期毎の報告を行う..入管に対し四半期ごとに特定技能人材に関する報告
  12. 12.ビザの更新を行う…在留期限前にビザを更新
  13. 13.支援計画を実施する…支援計画に則ったサポートは随時行う

在留資格申請の流れ

ここでは、在留資格(ビザ)申請(全項の8番目)の流れを詳しく解説します。

全項の7と8の「支援計画書の作成と事前ガイダンスの実施」が完了した後は、以下の手順でビザの申請を行います。

  1. 1.書類の収集をする…入管のHPに記載されている必要書類を収集
  2. 2.申請書類の作成をする…入管のHPからフォーマットをダウンロードして作成
  3. 3.申請書類の内容確認と押印をする…不備がないか確認し押印
  4. 4.入管へ出向き申請する…管轄の入管へ出向き申請
  5. 5.資格の取得の結果を確認する…国内で取得、または在留資格変更の場合は、在留カードを受け取ります。また、海外で認定された人材を招へいする場合は、在留資格認定証明書を受け取ります。

必要書類・申請書類について

在留資格の申請においては、申請書類はもちろん、それに添付する必要書類も多くなります。とくに特定技能は、他の在留資格と比較して申請書類の種類、数ともに多いのが特徴です。そこで申請を行う前に、必ずどのような書類が必要となるかを「出入国在留管理庁ホームページの申請手続」から確認しておきましょう。

申請について

在留資格の申請については、申請する人が拠点とする地域を管轄する入管か、受け入れ予定の企業の所在地を管轄する入管で行います。

特定技能ビザ(在留資格)の概要と手続きのまとめ

ここでは、外国人労働者の就労ビザ(在留資格)の1つである「特定技能」について、その概要や手続きの流れを解説しました。「特定技能」は、特に人手不足が深刻となっている産業を対象とした在留資格です。

特定技能は比較的新しい制度ではあるものの、深刻な人材不足を解消するきっかけとなる可能性があります。そのためにも、人材派遣会社や派遣先企業において、決められたルールをしっかりと理解し、外国人労働者の採用と運用を適正に実施することが重要です。

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