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リファラル集客とAIで実現する「満足と信頼」で選ばれる人材紹介会社へ

株式会社Matka 中野 祥子氏 リファラル集客とAIで実現する「満足と信頼」で選ばれる人材紹介会社へ

広告費の高騰や求人媒体の値上げが続き、どの人材紹介会社も集客コストに頭を悩ませています。AIの進化によって「求人情報」は誰もが入手できるようになり、求人情報量の価値は低くなりつつある今、これからの時代に選ばれ続けるエージェントには何が必要なのでしょうか。

新卒でリンクアンドモチベーションに入社後、リクルートでキャリアアドバイザーのプレイヤー/リーダー業務を経験し、2020年に株式会社Matka(マトカ)を創業。累計190社以上の人材紹介会社を支援してきた代表取締役社長の中野祥子氏に、これまでのキャリアと、追加の広告費をかけず、通常の集客経路と比較して約3倍の決定率につながったリファラル集客の考え方、そして2025年10月のガイアックスグループへの参画により、今後拡大していく未来について伺いました。

人材紹介部門を立ち上げた社長室の新卒

――まずは中野様がこれまで歩んでこられたキャリアについてお聞かせください。新卒でリンクアンドモチベーションに入社されたそうですね。

中野 祥子氏(以下、中野氏):はい。2013年に新卒で入社して、最初は社長室で秘書と広報を担当していました。実はその1年目の秋から、人材紹介事業の立ち上げに関わることになったんです。現在も続いていますが、株式会社リンク・アイですね。もともと人材紹介がやりたくて入社したわけではまったくなかったのですが、会社がM&Aで一気に拡大していく時期で、社長室にいたこともあり、白羽の矢が立ったのだと思います。

――1年目からいきなり事業立ち上げとは、なかなかハードな環境ですね。

中野氏:そうですね(笑)。当時はまだ「新卒紹介」というサービス自体が世の中に定着していない時期で、学生さんに「紹介事業をやっています」と話すと、無料で色々できるので、逆に怪しまれることも多かったです。企業側にも「紹介料を払って学生を採用する」という発想自体が浸透していなかった。だから市場を作るところから始めなければいけませんでした。

――そんな中、印象に残っている経験はありますか。

中野氏:今では誰もが知る紹介先の企業様も、当時はまだ100人に満たない規模の会社が多かった時代でした。社長の思いを聞いて事業構想を理解し、それを実現するために必要な人材を一緒に定義する。総合商社や大手金融機関を志望している学生に、社長の代弁者として夢を語って魅力を理解いただけるようお伝えをする。そうやって入社した学生さんが活躍して、既存の社員にも刺激を与えて、組織全体が伸びていく様子を目の当たりにしました。その3年間で、リンクアンドモチベーションの株価は10倍になりました。人が事業をつくり、事業がまた人を生かしていく。そのダイナミズムを肌で感じられたことが、今の自分の原点になっています。

印象に残っている経験を語る中野氏

リクルート時代に感じた「ノウハウの属人化」

――その後、リクルートに転職されます。きっかけは何だったのでしょうか。

中野氏:人材紹介事業の立ち上げから3年関わっていたとはいえ、社内に人材紹介の経験者である上司がいなかったんです。トラブルが起きても、謝ることしかできない。自分自身の経験の浅さに、もどかしさを感じることが増えていきました。だったら、人材業界のプロが集まる環境に行った方がもっといい仕事ができるんじゃないか。そう考えて転職を決めました。

――リクルートではどのような業務を担当されたのですか。

中野氏:キャリアアドバイザーとして、建設領域の技術者の方や営業職の方を対象に、年収400万円台から1200万円台の方まで幅広くご支援していました。2018年からはリーダーとして、約20名のグループを約3年間見ていましたね。

――人材のプロ集団の中で働いて、どのようなことを感じましたか?

中野氏:もちろん大手ならではの組織体制や業務も体系化されていました。ただ、面談の質やサービス品質の細かいニュアンスは、事業の生命線のはずなのに、先輩の背中を見て学ぶことが多かったですね。成果を出している人はたくさんいるのに、なぜ成果が出ているのかが、業界最大手のリクルートですら言語化されきれていないと思っていました。これはリクルートに限らず、業界全体の課題なのでは?と感じるようになりました。
実際、リーダー時代にメンバーの成果が出る要素を言語化してノウハウ化する取り組みをしたところ、成果につながった経験もありました。転職は人生を左右する重要なターニングポイント。だからこそ、属人的な勘や経験だけに頼るのではなく、誰もが再現できる「型」にする必要があると思うようになりました。

コスト0円、決定率3倍。リファラル集客という原体験

――2020年、育休中にMatkaを創業されます。かなり大胆なタイミングですね。

中野氏:ちょうどコロナ禍での出産と重なって、外に出られない時間が多かったのです。その中で、これまで感じてきた「ノウハウの属人化」という課題を、自分なりに形にしたいと思うようになりました。

――創業後、力を入れてこられたのが「リファラル集客」の支援だと伺いました。

中野氏:リンクアンドモチベーション時代は、リファラル100%で人材紹介を立ち上げていました。当時から、リファラル経由の決定率は通常の約3倍というデータが出ていて、これはリクルート時代のプロジェクトでも同じ傾向が確認できています。何より、コストが0円というところで、どの人材会社もトライする領域ですが、大事なことは、「サービスが良かった」と思っていただけない限り、絶対に紹介はしてもらえないということです。

――当時は、友人紹介してくれたら謝礼を出す、という考え方も根強かったと思いますが。

中野氏:正直、あまり効果はないと思っています。転職という人生に関わるサービスを、数万円のお礼金のために大事な友人へ勧める人はほとんどいません。だからこそ、思わず誰かを紹介したくなるほどの満足できるサービスを提供できるかどうかがすべてなんです。実際、集客に悩んでいたあるエージェント様にリファラル設計をアドバイスしたところ、およそ一年間で約8,000万円の売上インパクトにつながった事例もあります。特別なテクニックがあるわけではなく、満足度を仕組み化することに尽きます。

「今日、何を期待していますか」――満足度を高める面談の型

――満足度を高めるために、具体的にどのような工夫をされているのでしょうか。

中野氏:最も大事なのは、面談の冒頭で「今日の面談では、何を期待されていますか?」と必ず確認することです。多くのエージェントは、いかに提案して決定させるかばかりを考えていて、目の前の人を満足させるという当たり前の視点が抜け落ちがちです。地図を持たずに山を登るようなものなんですよね。

――それで満足度はどう変わるのでしょうか?何か工夫があるとか。

中野氏:面談の最後は必ず「今日はご期待に沿えていましたか?」と確認します。もし満足度にズレがあれば「どの部分が物足りなかったですか?」と聞く。すると求職者の方も本音を話してくれて、「では別の日にもう一度お時間いただけますか?」とお願いすれば、多くの場合、再チャレンジの機会をいただけます。この一手間があるかどうかで、その後の紹介につながるかどうかが大きく変わってきます。

――それは素晴らしいですね。顧客体験としては当たり前ですが、人材会社として抜け落ちやすい点だと思います。他に人材育成という観点で大事にされていることはありますか。

中野氏:かつての上司に「人材紹介はモチベーションビジネスだ」と言われて、本当にそのとおりだなと思っています。担当者自身が元気で目的を持って働いていないと、求職者の本音も引き出せません。ただ、現場のマネージャーは面談数や推薦数といった数字の管理に追われていて、メンバーの気持ちのケアまで手が回らないことが多いです。そこで弊社が第三者としてメンバーとの1on1面談を行い、言葉にしきれていないモヤモヤを一緒に整理する。そうしたご支援を、会社ごとにカスタマイズしながら提供しています。

「人材紹介はモチベーションビジネスだ」と語る中野氏

ガイアックス参画で描く、AIと人が共存する未来

――2025年10月、ガイアックスグループへ参画されました。その背景を教えてください。

中野氏:これまで様々な企業様のコンサルティングをしてきましたが、カスタマイズされた内容になるものがほとんどで、人の手だけでは限界を感じていました。面談の録画データを分析して、より良い提案につなげる。そうした部分をITやAIの力で効率化できれば、より多くのお客様のお役に立てるのではないかと考えました。現在は、面談データをもとに求職者の満足度の推移をAIで可視化する取り組みなどを進めています。

――今後、AIが普及する中で、人材紹介会社が生き残る鍵は何だとお考えですか。

中野氏:AIの進化によって、求人情報や企業情報は誰でも同じように取得できる時代になってきています。情報の価値が下がる一方で、これからは「誰に相談したいか」という信頼の価値が高まるに違いないと感じています。厚生労働省の最新集計では、全国に3万を超える有料職業紹介事業所がありますが、求人情報を多く持っているかということよりも、一人ひとりに向き合って、有益な情報を与え続けられるか?という点が、求職者から真の信頼を勝ち取るポイントだと思います。心の底からの信頼関係を築ける転職エージェントだけが、今後は選ばれる時代になっていくと思います。

――最後に、集客や育成に悩む経営者の方々へメッセージをお願いします。

中野氏:正解がないからこそ、難しい仕事だと思います。だからこそ、勘や経験だけで終わらせず、誰もが成果を出せる仕組みを作りたいと考えてきました。私たちはこれまで、累計約190社の人材紹介会社の責任者の方々と一緒に、その答えを模索してきました。社内だけで悩まず、他社の事例や取り組みを知ることで、案外シンプルに解決できることもあります。ぜひ一緒に、答えを見つけていけたらと思っています。

――本日は貴重なお話をありがとうございました。

プロフィール

株式会社Matka 代表取締役社長 中野 祥子 氏

中野 祥子

株式会社Matka

代表取締役社長

新卒で株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、社長室での広報業務を経て人材紹介事業の立ち上げおよび新卒採用を担当。その後、株式会社リクルートへ転職し、キャリアアドバイザーとして建設・不動産領域等を担当、年間目標180%達成やチームリーダーとしての組織再建を経験。2020年に株式会社Matkaを創業し、「コスト0円・決定率3倍」のリファラル集客ノウハウやCA育成支援を展開、累計190社以上の人材紹介会社を支援。2025年10月に株式会社ガイアックスグループへ参画し、AI×HR領域での新たなプロダクト開発・支援に取り組んでいる。


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